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トイレのトップメーカーTOTOの凄さとは?

TOTO(5332)はトイレ、洗面器などの衛生陶器で国内シェア6割を誇る、住宅設備機器のトップメーカーです。中国など、海外市場での業績拡大で業績は堅調に拡大しており、今後一段の成長が期待できるところです。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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トイレのトップメーカーTOTOの凄さとは?

ウォシュレットで「おしりを洗う習慣」を生み出し、一時代を築いたTOTO。、売上は7割を国内が稼ぐのに対し、営業利益は8割を海外が稼いでいます。よって、同社の利益成長を占うには、海外事業の動向がカギとなると思います。

ウォシュレットで「おしりを洗う習慣」を生み出し、一時代を築いたTOTO。売上は7割を国内が稼ぐのに対し、営業利益は8割を海外が稼いでいます。よって、同社の利益成長を占うには、海外事業の動向がカギとなると思います。


TOTO(東証1部<5332>)はトイレ、洗面器などの衛生陶器で国内シェア6割を誇る、住宅設備機器のトップメーカーです。衛生陶器を主力に、水栓金具や浴槽、システムキッチンなどの住宅設備機器を手がけ、さらに新領域事業として、半導体製造装置向け部材や環境建材を展開しています。

同社は、1917年に、森村グループの衛生陶器部門が分離して設立された会社です。森村グループは、1876年に設立された日本最初期の貿易商社森村組(現:森村商事)をルーツとし、日本の陶磁器産業を代表する企業集団と呼ばれています。

森村組は、明治期に陶磁器や雑貨の対米輸出で発展し、その後陶磁器の製造に参入。1904年に日本陶器合名会社(現:ノリタケカンパニーリミテド)を設立しました。そこから1917年に衛生陶器部門を分離して東洋陶器(現TOTO)が、1919年には碍子部門を分離して日本碍子が設立されました。そして、同社のライバルであるINAX(現LIXIL)も伊奈製陶としてグループに入っていました。つまり、日本の陶磁器産業のルーツは同じということです。

1980年に発売した「ウォシュレット」は、日本に「お尻を洗う」という新しい習慣を根付かせた画期的なトイレ。日本のトイレ文化に大変革を起こし、同社の一時代を築いた革命的製品として知られます。以降、システムキッチンや内装タイルなど、トイレ空間から水まわりの住宅設備機器全般へと事業を広げていったのでした。

高級ブランドとしてのポジションを確立した中国市場

同社には、国内住設事業、海外住設事業、新領域事業の3つの事業軸があります。2017年3期の売上構成比は、国内住設が72%、海外住設が23%でした。これに対し、営業利益の構成比は、国内住設が32%、海外住設が81%と海外住設の比率が高いことが分かります。

営業利益率を見てみると、国内住設が2.3%であることに対して、海外住設は18.4%と高水準です。同社の業績を見るポイントは、利益率の高い海外住設事業の伸びと、国内住設の利益改善にあると見られます。

ウォシュレットが発売された、同じかそれより少し前の1979年、同社は早くも中国進出を果たしています。政府の迎賓館への納品をキッカケに知名度を上げ、1980年代には高級ホテルや大規模オフィスビルに次々と納入を進めていきました。こうして、同社は高級ブランドとしての地位を獲得していきました。

そして同時に、営業拠点の設置や販売網の構築に注力し、今に繋がる事業基盤を整えていきました。1990年代の中国は、経済成長率10%台という目覚ましい発展を遂げていくのですが、事業基盤を持っていた同社は、個人所得の増加や住宅着工数の増加、設備入れ替えなどの恩恵を一挙に享受することに成功しています。

中国の衛生陶器の年間需要は5000万個と言われ、その1割程度が高級品市場とされます。高級ブランドとして知名度を上げていた同社は、もちろん高級品市場をターゲットとしており、ここで30%のシェアを獲得しています。中国の営業利益率は26%とかなり高水準であり、差別化された製品展開によって、さらなる利益成長が可能だと思います。

IoTの波に乗る新領域事業:半導体製造装置用部材

同社はウォシュレットや、バスタブなどの水回り製品で知られていますが、実はすでに1980年代には半導体製造に関わる研究は進められていました。

まだ、収益化し始めたばかりですが、IoT社会の到来、データセンターの建設ラッシュにより、半導体・高速光通信・表示デバイスなどの需要が増加するなかで、収益拡大による新たな収益柱に育ちつつあります。また、同社が得意とする静電チャックは、消耗部品であることから取り換え需要も発生するので、安定した収益基盤になり得ます。

高利益率の海外住設事業の拡大をベースとした利益改善を期待

国内では、新規需要の頭打ちやリフォーム需要の縮小が続く環境となっており、高級機種や画期的な新製品の登場、国内住宅投資の拡大などが、業績拡大のカギとなりそう。好調な海外事業は、引き続き中国やアメリカ、アジア圏での伸びが期待できると思います。また、足元の為替状況から円安のメリットも享受し、通期業績は上振れの可能性が高まっています。

2018/3期を最終年度とする中期経営計画では、「真のグローバル企業TOTOへ」というコピーの下、売上高6,500億、営業利益610億円、ROA、ROE共に10%以上が掲げられています。

今期には、2カ所の衛生陶器工場と1カ所の水栓金具工場が稼働予定で、その増産効果も期待できると思います。世界的な景気拡大の中、ビルや住宅の建設需要に伴う需要増を取り込むことが見込まれ、業績寄与が期待されます。

また、290億円の設備投資、196億円の研究開発費、215億円の減価償却費が計画されています。タイ工場の建設にも着手しており、将来的には経済成長が続くアジアでのシェア拡大に注目したいと思います。

17年6月時点の財務状況は良好で、自己資本比率は55.6%。有利子負債が249億5500万円ですがキャッシュポジション厚く実質無借金経営です。17年3期実績ROEは11.8%と収益性も良好です。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。

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