日産の完成車検査の不正にて116万台のリコール
日産が完成検査の不正問題で116万台のリコールを出した。対象となったのは購入してから一度も車検を取得していない登録車。なぜ車検を取った車両は対象外かと言えば、不正と密接な関係があるためだ。今回のリコール理由を見ると「完成車検査を正規な手続きで受けていないため」になっている。完成車検査とはヘッドライトの光軸調整やブレーキの利き具合、排気ガス検査、サイドスリップ(アライメント)など車検と全く同じ検査を行い、いわゆる「車検場」に持っていくこと無くディーラーでナンバーを付けられる状態になっていることを保証するもの。この手続きに不正があった。
したがって1回目の車検を受けた車両についていえば、検査項目全て「問題無し」ということになり、危険も無い。正規の車検に合格した車両と同じという判断である。それなら「リコール対象になった車両は不正な検査なので危険なのか?」と聞かれたら、答えは「いいえ」。
危険性はないが、悪質だった日産の不正。現場の認識は?
自動車メーカーの完成車検査は厳格に行われており、計測器のデータも残っている。車検に合格出来ない数字になれば完成車検査をクリア出来ないシステム。そういった意味では安心して乗っていてよい。ただ今回の日産の不正は「絶対にやってはならないこと」であり、信頼の原則を根底から崩す。危険性こそないが悪質だ。少しばかり気になったのは、知り合いから聞いた日産ディーラーの対応である。例えばノートを購入した知人は、ディーラーに行ったところ「基本的に品質には問題ないのでごめんなさい程度の認識だった」とのこと。
どうやら販売現場には日産本社からの「安全性に問題無い」という点が強調されて伝わっているようなのである。悪質なことをした結果、ユーザーに迷惑を掛けたという認識をあまり持っていないのかもしれない。もちろんディーラーや営業マンによって認識や対応は全く違うと思う。
リコールのチェック内容とは?
リコールに出すとどんなチェックをするだろうか? 基本的にディーラーには車検場と全く同じ検査機器があり、車検を継続できる認可も持っている。ユーザーから預かった車両をこの検査機器でチェック。もし問題あれば、車検合格の状態にしてくれるというもの。車検と同じだと思えばよい。タイヤやブレーキの減りや、交換時期となっている油脂類についてはリコールの対象外。そもそもすり減ったタイヤ(スリップサイン出ている状態)を履いていたら整備不良である。ディーラーでタイヤ交換しないという人なら、事前にタイヤ交換しておくこと。サイズさえ適合していればOK。
今回のリコール、対応によっては少しお得に?
もし「車検を安く済ませたい」と考えるのであれば、リコールからクルマが戻ってきたらその足で車検場に行き、ユーザー車検を受けることをすすめておく。5ナンバーの小型自動車なら1700円。3ナンバーの普通車でも1800円で車検取れる(その他、自賠責保険+重量税が別途必要)。日産ディーラーで車検に合格しているのだから、何もしないまま100%車検は取れる。逆に車検に落ちるようだと、ディーラーがリコール対応していなかったということになってしまう。日産にしてもリコール対応した車両が車検に落ちたという事態になろうものなら、一段と大きいダメージを受けることに。
そもそも完成車検査不正で迷惑を掛けたのだから、車検のタイミングでリコール対応すれば、自賠責+重量税分の負担で車検を取ってくれる可能性大。そのくらいやってくれてもいい。いずれにしろリコールされてから日が浅いため、現場でどういった対応をしているか情報少ない。
リコール対象車に乗っている人で、車検を受ける際はネットなどで最新の情報を入手することをすすめておく。ちなみに新車購入時、車検や点検のパッケージを付けた人は、リコールに関係無く車検点検無料である。リコールに出す手間が増えるだけ。単純に迷惑を被るのみ。少し悔しいですね。
日産 リコール対象車一覧
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