正誤が逆転している!間違えやすい言葉とは

正誤が逆転している!言葉とは?

ふだん何気なく使っている言葉の中にも、正誤が逆転してしまうほど誤用の多い言葉も

文化庁が発表した平成28年度の『国語に関する世論調査』によれば、「話のさわりだけ聞かせる」の“さわり”について、本来の意味である「話などの要点のこと」で使う人が36.1パーセント、本来の意味ではない「話などの最初の部分のこと」で使う人が53.3パーセントという正誤が逆転した結果が出ています。

【関連リンク】
平成28年度「国語に関する世論調査」の結果について(PDF)

この「さわり」の意味の取り違いは、平成28年度のみでなく、以前行われた調査でも同じように誤用が正解を上回っていました。

平成28年度の詳しい調査結果と、そのほかの慣用句や言葉の問い、そして過去の調査結果からの問いも合わせていくつかあげてみましょう。案外どれもうっかり間違えて解釈してしまっているものばかりかもしれません。正しく理解できているかどうか見直してみましょう。


全問正解できる? 正しい意味・使い方をチェック

■以下の語句に関して、正しい意味はA・Bどちらでしょうか?

問1:「さわり」
例文→話の「さわり」だけ聞かせる

A.話などの要点のこと
B.話などの最初の部分のこと

問2:「ぞっとしない」
例文→今回の映画は、余り「ぞっとしない」ものだった

A.面白くない 
B.恐ろしくない

問3:「知恵熱」
例文→「知恵熱」が出た
A.乳幼児期に突然起こることのある発熱
B.深く考えたり頭を使ったりした後の発熱

問4:「失笑する」
例文→彼の行為を見て失笑した
A.こらえ切れず吹き出して笑う
B.笑いも出ないくらいあきれる


■A・B、どちらの言い方を使うのが正しいでしょうか?

問5:「はっきりと言わない曖昧な言い方」を表現する言葉
A.口を濁す
B.言葉を濁す

問6:「卑劣なやり方で,失敗させられること」を表現する言葉
A.足下をすくわれる
B.足をすくわれる

問7:「存続するか滅亡するかの重大な局面」を表現する言葉
A.存亡の機
B.存亡の危機


それぞれの回答と割合はこちら!

なお、回答の割合は、これ以外にも、AB両方使う、ABとは全く別の意味、分からないなどの回答もありますが、こちらは省略しました。

問1:「さわり」
○話などの要点のこと(36.1%)
×話などの最初の部分のこと(53.3%)

問2:「ぞっとしない」
○面白くない(22.8%)
×恐ろしくない(56.1%)

問3:「知恵熱」
○乳幼児期に突然起こることのある発熱(45.6%)
×深く考えたり頭を使ったりした後の発熱(40.2%)

問4:「失笑する」
○こらえ切れず吹き出して笑う(27.7%)
×笑いも出ないくらいあきれる(60.4%)

問5:「はっきりと言わない曖昧な言い方」を表現する言葉
×口を濁す(17.5%)
○言葉を濁す(74.3%)

問6:「卑劣なやり方で,失敗させられること」を表現する言葉
×足下をすくわれる(64.4%)
○足をすくわれる(26.3%)

問7:「存続するか滅亡するかの重大な局面」を表現する言葉
○存亡の機(6.6%)
×存亡の危機(83.0%)

(上記問題および回答結果は『文化庁平成28年度国語に関する世論調査』および同23年度調査より抜粋しました)


なぜ誤用してしまうのか?

いかがでしょうか。案外これまで全く間違いに気づかなかったという言葉も中にはあるかもしれません。

「さわり」の意味が間違えられてしまう原因として考えられるのは、「さわり(触り)」という言葉の響きから、ちょっと触る、触れるといったことを連想して、曲や話の最初、出だしの部分と思ってしまうためと考えられます。しかし本来は、 義太夫節の曲の中で、一番の聞きどころとなる部分という意味。それが転じて、芸能などの世界で、中心となる部分、見どころ、聞かせどころとなる部分となりました。文章では、最も感動的であったり印象的である部分のことを指します。

「ぞっとしない」は、「ぞっと」という副詞だけをとらえますと、意味は次のようにあります。

寒さや恐怖などのために、また、強い感動を受けて、からだが震え上がるさま。「ぞっと寒気をおぼえる」「今地震が来たらと思うとぞっとする」「ぞっとするほど美しい顔立ち」(『デジタル大辞泉より』)

しかし、「~しない」(「ぞっとしない」)の形になった場合、この「ぞっと」は怖いという意味ではなくなるという点が混乱するのでしょう。少々ややこしいのですが、考え方としては、「ぞっとしない」は「ぞっとする」を否定形にしたものではなく、面白くないなどの意味で使われる、ひとつのつながった慣用句のような言葉ととらえるほうがわかりやすいのではないかと思います。

「口を濁す」の誤用は、言葉は口から出るものなので、似ているという点から混同するのでしょう。○「言葉を濁す」×「口を濁す」などの誤用は、間違って言ってしまっても意味はわかりますが、「さわり」や「失笑」などは、意味が逆になってしまい、お互い違って解釈してしまうために誤解が生じる恐れもあります。

正誤だけがすべてで正しければいいというわけではありませんし、言葉は変わっていくものもあるものですが、誤解を避けるためには、よく使う言葉もときには意味を見直すなどして、意味を知ったうえで使うほうが安心と言えますね。

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