「パティスリー ショコラトリー シャンドワゾー」で食べてほしいお勧めケーキ達
2017年9月、2号店となるアイスクリーム&チョコレート専門店の「シャンドワゾー グラシエ ショコラティエ」をオープンした川口の人気店「シャンドワゾー」。そのイートイン席には、すぐ近くにあるパティスリーのケーキを購入して持ち込み可能なので、ぜひ活用したいですね!生菓子の中で、まずはぜひとも召し上がっていただきたいのは、『マツコの知らない世界』でも絶賛された注目のスペシャリテ、「ミゼラブル」。村山シェフが修業したベルギーの伝統菓子で、生地の間にサンドするバタークリームに、牛乳などの乳製品を使わず、卵と砂糖と水でべースのアングレーズを炊くのが本来的な製法となります。
「シャンドワゾー」でも、この作り方を踏襲。クリームには、フランス産イズニー社の、原材料や製法に厳密な条件が定められた「A.O.P.」規格の発酵バターを贅沢に使用。空気を入れてふわっと軽く仕上げるバタークリームではなく、バターそのものを食べているかのように重ためで、糖度も高め。そこに、フランス・ブルターニュ地方産の海塩フルール・ド・セルを、とけきらないように最後の方でさっと混ぜ込み、あえて粒のまま残しているのがポイント。食べた時に、所々舌に当たる、塩粒のじゃりっとした食感と濃い塩味で、キレが感じられるようになっています。
このクリームを、ほのかにアルマニャックブランデーが香るシロップを薄く均一に吹き付けたアーモンド生地でサンドし、自家製で漬け込んだラムレーズンも入れて、オリジナルにアレンジしてあります。「ミゼラブル」は、“みじめな”といった意味で、本来は乳を使って炊くアングレーズに水を使うことが所以とされますが、とてもそうは思えない、リッチな食べ応えのお菓子です。
真っ赤なドーム形が目を引く「スーヴニール」は、村山シェフが修業したベルギー・ブリュッセルの「パティスリー ショコラトリー ヤスシササキ」佐々木靖シェフのスペシャリテである「rubis(リュビ)」というお菓子への敬意を込めて、赤いデコレーションと、チョコレートとベリーとの組み合わせというイメージを継承したもの。中身は村山シェフ流にアレンジしているということですが、カソナードを使ったキャラメルべースのアングレーズを加えてコクのあるガナッシュを作り、それをムースショコラに仕立てるという技法は、佐々木シェフのやり方に学んでいるそうです。
中心にはベリー類のジュレ、土台にはダクワーズショコラ生地とフィヤンティーヌのサクサク食感。コロンビア産の中でも、カカオ豆産地を指定したカカオ分61%チョコレート「マランタ」を使用。エキゾチックなフレーバーで、やわらかな酸味があり、カカオの持つフルーツ感が感じられると言われるチョコレートであり、ベリー類の爽やかさと相性よくまとまりつつ、ムースが口の中でとけていくと共に、カソナードを焦がした香ばしい余韻が広がるのが特徴的です。
ちなみに、同じくベルギーで佐々木シェフに師事した鈴木貴信シェフの「ラ・パティスリー・ベルジュ」にも、同じお菓子をべースにした「ベルジュ」というケーキがあるので、食べ比べてみるのもお勧めです。
鴨川でベルギーの味を「ラ・パティスリー・ベルジュ」
「エクレール・キャラメル」は、オープン当初からの人気商品の一つ。香ばしくしっかりと焼き込んだシュー生地の中には、キャラメル味のカスタードクリームと生クリームを合わせたディプロマットクリーム。カスタードクリームに混ぜ込む自家製のキャラメルペーストには、塩味を少し強めに効かせてあるため、完成した時に、ほんのり甘じょっぱい味わいのバランスがぴたりと決まります。
上には、キャラメリゼしたアーモンドやヘーゼルナッツを飾り、食感のアクセントにすると共に、最後にこれらの味が残ることで、後味を甘ったるく感じさせないという意図があるそうです。
「タルト・ヴァニーユ・マルティニック」は、マダガスカル産バニラと、カリブ海のフランス領・マルティニック島で作られるラム酒を主役にしたケーキ。クリーミーなバニラのタルトに自家製ラムレーズンを合わせ、濃厚なバニラアイスクリームの味を思わせるババロアを上にのせた、村山シェフこだわりの一品です。
タルト生地の中には、バニラの香りを移した「コンフィチュール・ド・レ」、つまりミルクジャム入りで、とろんとしたやわらかな食感。その中にラムレーズンを忍ばせ、ラム酒のシロップをしみこませたジェノワーズ生地を重ねてババロアとの間に挟んであります。バニラのババロワの中央のくぼみに流されている黄色いソースは、ラム酒とバニラが香るアングレーズ。今や貴重なバニラを存分に堪能できます。
「タルト・アマンド・パッション」は、2017年の夏に考案したケーキ。土台のタルトの中には、ナイフを入れると流れ出すほどやわらかなパッションフルーツ味のキャラメル入り。イタリア・シチリア産のアーモンドを随所に使っていて、まず、上にのっているのはアーモンドをペースト状に挽いて作る白いババロア。タルトのパッションキャラメルの中には、皮をむいてうっすらとローストしたホールサイズのアーモンドが、ゴロゴロと贅沢に入っています。さらに、周囲の飾りは、スライスアーモンドに砂糖をからめたクラックラン。パッションフルーツのキャラメルは、焦がし方はごく浅く、鮮やかな酸味。そこにアーモンドのまろやかな甘さがあいまって、全体でちょうどいい味のバランスに。
ヴィエノワズリーや焼き菓子の中で、特にお勧めしたいのは、やはり、村山シェフが修業したベルギーの伝統菓子である「スペキュロス」。特徴は、「ヴェルジョワーズ」、すなわち甜菜糖(てんさいとう)を使うことで醸し出される、バリバリとした食感。村山シェフは、クラシックな配合を少しアレンジし、日本人が食べやすいよう、バターの量の調整などで少しだけやわらかい食感にしているそうですが、しっかりとカリッと硬い歯応えが楽しめます。
そして、独特のスパイスの香り。現地でもおなじみの、シナモン、クローブ、ナツメグ、ペッパーをブレンドしたスペキュロス用のミックス粉に加えて、シナモンを多めに配合しているそうです。もともとこのお菓子は、12月6日、子供を守る守護聖人の祝祭日「サンニコラの日」に作られて食べるものだったので、寒いベルギーの冬に、体を温めるスパイスの味わいがぴったりです。
他にも、バターをふんだんに使い口当たりやわらかな「サブレフォンダン」や、サクサクと軽い食感の絞り出しクッキー「ヴィエノワ」など、それぞれの焼き菓子の食感の違いを食べ比べてみるのも楽しいですよ。
「シャンドワゾー グラシエ ショコラティエ」のオープンで、生菓子と焼き菓子、ボンボンショコラなどに加え、アイスクリーム類や、気軽に食べられるチョコレート菓子のラインナップが増え、ますます魅力的になった「シャンドワゾー」。
先に「パティスリー ショコラトリー シャンドワゾー」を訪ね、生ケーキを買って「シャンドワゾー グラシエ ショコラティエ」のイートイン席へ。村山シェフが選んだお勧めのコーヒーや紅茶と共にケーキを味わった後、アイスクリームもいただくか。あるいは、先にアイスクリームを食べてから、ケーキやチョコレート類をお土産に買って帰るか。いずれの選択でも、これまでの何倍も楽しめそうですね!
<ショップデータ>
「パティスリー ショコラトリー シャンドワゾー」
http://www.chant-doiseau.com/
埼玉県川口市幸町1-1-26
電話 048-255-2997
営業時間 10:00-20:00 ※売り切れ次第終了
定休日 不定休