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朝ドラ主演をオファーされることは幸せなのか?

SMAPの解散を筆頭に多発するタレントと芸能事務所のトラブル。その中で朝ドラヒロインの女優、それもオーディションで選ばれたのではなくオファーされて主演した女優のトラブルが多発していることを発見しました。なぜなのでしょうか。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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タレントと芸能事務所間で相次ぐ問題

のん(能年玲奈)の独立騒動があり、そのあと同じ事務所の後輩、清水富美加の出家騒動も。この時「一回はともかく、二回続くと事務所の問題が大きい」と言われていました。

その後も、SMAPの解散を筆頭にタレントと芸能事務所間の問題が多発していますが、もう一つ共通点のある組み合わせを見つけました。2011~2014年の連続テレビ小説、朝ドラのヒロインを演じた女優の事務所トラブルが多発しています。

朝ドラヒロインたちの事務所トラブル 共通点は?

まず『おひさま』井上真央が2016年10月に事務所を退所し、同年12月に岸部一徳の個人事務所に移籍。冷却期間を置いてこの10月から火曜21時フジ系連ドラ『明日の約束』に主演します。

続いて『梅ちゃん先生』堀北真希。2015年に山本耕史と電撃結婚。出産を経て、2017年2月に事務所との契約を更新せず満了しています。それから『あまちゃん』のん(能年玲奈)。そして『花子とアン』吉高由里子。これは本人の問題ではないのですが、信頼していたマネージャーが辞めてしまい、本人も『東京タラレバ娘』まで大きい仕事は2年あきました。

理由はそれぞれに違うでしょうが、朝ドラヒロインとしての共通の理由もあるでしょう。特に注目すべきはのん(能年玲奈)を除く三人がオーディションを経ずに、オファーされてヒロインになったことです。


高視聴率のプレッシャー

朝ドラはテレビドラマ史上最高視聴率を叩き出した『おしん』(1983)をピークに、多少の山谷はありますが30年近く長期低落傾向が続いていました。

潮目が変わったのは『ゲゲゲの女房』(2010)から。生活時間の変化にあわせて、NHK総合での本放送開始時間を8時15分から8時に前倒し。これに伴い、プロモーションを増やし、主演に松下奈緒を起用するなど内容も強化。これが当たって視聴率低下に歯止めがかかりました。その後『あさが来た』で『ゲゲゲ』以降の最高平均視聴率をマークするまで上昇傾向が続きV字回復に成功。

朝ドラ平均視聴率推移

           朝ドラ平均視聴率推移


上昇傾向が続くとどうしても自分の作品では失敗できない、とプレッシャーがかかります。実際、低視聴率だった『純と愛』の夏菜が朝ドラ後にやさぐれていたことを、最近バラエティでぶっちゃけています。また高視聴率『あさが来た』の波瑠も収録中に「女優をやっていけないと思った」ことがあるとブログで告白。

実績を元にオファーされた女優は、オーディションで選ばれたキャリア浅い女優以上のプレッシャーでしょう。それにキャリア浅い女優は朝ドラを足がかりに、と通過点と考えるでしょうが、キャリアある女優だと一つの到達点になってしまいます。


放送後も背負い続ける朝ドラヒロインの看板

さらにプレッシャーは朝ドラ後にもかかってきます。大ヒットドラマに主演したことで高視聴率を期待されます。それでもキャリア浅い組はヒロインや助演もできますが、実績ある組は主演として矢面に立たないといけません。

井上真央だと『おひさま』の一つ前の連ドラ『獣医ドリトル』は小栗旬主演で井上真央はヒロイン。しかし『おひさま』以降は『トッカン 特別国税徴収官』に大河『花燃ゆ』と主演ばかり。堀北真希も連ドラは『ミス・パイロット』『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~』『まっしろ』と主演のみ。そして全体に視聴率的にはイマイチ。

この仕事におけるプレッシャーが、仕事を持ってくる立場の所属事務所とうまくいかない原因の一つなんじゃないでしょうか。

ドラマが全体的に低視聴率に悩む中、朝ドラは一人勝ち状態。そのヒロインに抜擢されることは本当に幸せなんでしょうか。オーディション組は自ら勝ち取ったものだから苦しいことがあっても耐えやすい。しかしオファー組はプレッシャーがより強く、実はあまり幸せではないのかもしれません。


『ひよっこ』主演・有村架純はどうなる?

『ゲゲゲの女房』以降でオーディションなしでヒロインになったのはあと三人、『ゲゲゲ』の松下奈緒と『ごちそうさん』の杏、そして『ひよっこ』の有村架純。

松下奈緒も『ゲゲゲ』以降、連ドラでは主演ばかりですが、こちらも決定打がありません。ただ所属事務所が、マネージャーが独立してつくった松下奈緒メインのところなので、トラブルはありません。事務所を支えるために頑張らなければいけない立場です。

杏は例外的にうまくいってます。『花咲舞が黙ってない』2作に『デート~恋とはどんなものかしら~』とヒット。その間に結婚して、いいイメージを保ったまま二度目の産休中。父親の渡辺謙が『徹子の部屋』で「大きな仕事のオファーがあるが、出来れば子供が欲しいので、その仕事を受けるかどうか迷っている」と相談されたと明かし、それは『ごちそうさん』スタッフがつくる『おんな城主 直虎』ではないかといわれています。『ごちそうさん』の延長線上の『直虎』、見たい気はします。

それに『花咲舞が黙ってない』は池井戸潤原作の新作が出版されたので日本テレビは第3シリーズをやりたいところでしょうね。

 

そして、有村架純。収録が終わって、『ひよっこ』の視聴率が伸び悩んだ時期には「泣く夜もあった」と明かしています。『ひよっこ』後の初作品は10月公開の映画『ナラタージュ』。濃厚ベッドシーンもあるとのことで、朝ドライメージをあえて破りにきています。これまでのパターンを崩すことができるでしょうか。

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