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戦争が起きたら株価暴落は本当か?

北朝鮮の危うい挑発行為が、米朝間の緊張を高めています。もし、米朝間で戦闘が始まったら、金融マーケットはどんな反応を示すのでしょうか?一般的な報道と過去の歴史とでは、その方向性が異なるように感じます。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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米朝間で戦闘が始まると株価動向は?

北朝鮮による危うい挑発行為が続いています。もし、米朝間で戦争が起きると、金融マーケットはどんなことになるのでしょう。起きては欲しくないことですが、マス・メディアは、株価は暴落、ドル円は100円を切る円高になるなどと報じています。それは、本当でしょうか?

世界の投資家や投機家は、事態をどう受け止めて、どう解釈するのでしょうか?歴史を振り返ってみましょう。

過去の危機で、株価はこう動いた

過去の歴史を見ると、戦争イコール株価暴落ではありません。2度の世界大戦のとき、日経平均とNYダウは、日常的な上下動を繰り返しており、おしなべて横ばい。むしろ、戦争終結直後に、大きく上昇したことが印象的です。

1962年のキューバ危機では、問題が露見してから半年の間に、NYダウは27%下落しましたが、解決してから3年半で、85%超の上昇を果たしました。2003年のイラク戦争の時には、開戦から3年間で、NYダウは、40%超の上昇でした。

戦争ではありませんが、2001年9.11の米国同時多発テロのときには、NYダウは最大20%も下落しました。しかし、その回復に要した時間は1ヶ月にすぎませんでした。

戦争イコール株価暴落というのは、思い込みかもしれません。韓国総合株価指数は、現在のような緊張の中でも、史上最高値近辺を維持しています。

世界同時株安になるのか?

「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」という投資格言があります。

今回は、日本の隣で起こっている緊張なので、さすがに戦闘開始となると、日本株への悪影響は避けられないかもしれません。しかし、米国株は逆に上昇するという展開もあることでしょう。世界同時株安に至るような事象ではないという見解もあります。

為替は、円高?それとも円安?

ドル円はどうでしょう?近年では、何か悪いことが起きると、円高になります。今回も、米朝の戦争は円高を招くのでしょうか?

一般的には、戦闘→リスク回避→円高という傾向を繰り返すかもしれませんが、万が一、日本国内にミサイルが着弾するような事態になれば、今度は、逆に円が暴落する方向が考えられます。

実際に戦闘になり、米国がその圧倒的な軍事力で、数日で北朝鮮を制圧し、その後に朝鮮半島の非核化が実現すれば、これまた、ドル高円安の方向です。

相場は大衆を裏切る?

2016年の米国大統領選挙では、株価暴落ではなくて、株価は大反発を演じました。トランプ当選イコール株価暴落、ではなくて、トランプ相場のスタートだったのです。

このように相場は、大衆の予測を見事に跳ね返します。無責任な報道や根拠のない思い込みとは、真逆の結果となることは大いにあります。それが歴史から言えることです。何にせよ世界の平和を祈りたいと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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