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信頼できる健康情報を見分ける3つのコツ

ある医療情報や健康情報が「信頼できるかどうか」を判断するのは、大変です。しかし特別な専門知識がなくても、「健康情報に絶対はない」という前提を持った上で、その情報に使われている表現などを見ることは判断に役立ちます。信頼できる医療や健康情報を見分けるための、シンプルで実践的な3つのコツを解説します。

執筆者:森 臨太郎

専門的な情報の真偽、専門知識がなくても判断は可能か

判断に迷う女性

情報が溢れる時代、その真偽を見抜くリテラシーは大切です。専門知識がなくても覚えておくと役立つ情報の見分け方を覚えておきましょう

医療や健康に関して、ある情報が「信頼できるのかどうか」を判断するには、さまざまな側面があります。信頼性を突き詰めていくと、かなり学問的な話になり、一般的なレベルの知識では、解説そのものが理解できないような話になってしまうのも無理はありません。相反するような様々な研究報告もあり、真実を追求すると、何が答えなのかわからなくなってしまうことがあると思います。

ここでは、学術的な観点から情報の信頼性を見るのではなく、より信頼できる情報の「表現の仕方」など別の側面に着目して、信頼できる医療や健康情報の見分け方について解説してみたいと思います。

表現の仕方から信頼性を見分けるコツはいくつもありますが、今回はその中から3つをご紹介します。

チェックポイント1:「医療や健康に絶対はない」を前提に

ある治療法や健康法が誰かに効いたとしても、別の方に同じように効くとは限りません。また効いたからと言って、副作用の出方も人それぞれです。自然に存在するものだから副作用がないとも言えません。

このように突き詰めていくと、医療や健康に関する事柄で、断言したり、強い調子で肯定したり否定したりできるものは、ほとんどありません。逆に考えると、断言するような調子で示されている情報は、むしろ、信頼性が低い可能性があります。

健康に関する情報において、「必ず」「絶対」「100%」というような言葉を使って示されている情報はあまり信用できないと考えた方がよいでしょう。

しかし、得られる情報が絶対的なものでなくても、例えば癌のような病気で治療法の選択をしなければならないような場合、そのときに置かれた状況の中で、手に入る情報に基づいてどの治療法や健康法を選択するかしないかを決めなければいけません。この「意思決定する」ということと、得られる情報には、必ず距離があるということも心にとめておきましょう。

重大な選択はもちろん、比較的軽い選択であっても、なかなか判断がつかず決めきれない時はあると思います。こういったときには、強い調子で背中を押してくれる断言調の言葉に頼りたくなるものです。

そんな場合は、すこし気持ちに「溜め」をとり、「医療や健康に関する情報に絶対はない。このような断定した情報を信じて大丈夫だろうか?」と一度思い返してください。

チェックポイント2:その情報で誰が得するのか(利益の相反)を考える

医療の多くは、政府や自治体、社会保険など、公的なお金で賄われています。一方で、医薬品や医療機器を作っているのは一般の営利企業です。また医療の範囲にはまらない、さまざまな健康法に関連したものは、商業活動と結びついています。こういった商業活動が悪いというわけではなく、利益から得た多くの資金を投じながら開発された医薬品などで、医療は機能しているとも言えます。

ただ、医薬品、医療機器、さまざまな健康法を販売や製造している企業にとって、製品が売れる・売れないということは文字通り死活問題であり、当然広告の究極の目的は「買わせる」ということになります。この「広告」も情報の一部です。

さらに、あからさまに広告とわかると、警戒する方も増えてきたため、この広告の仕方も、最近ますます巧妙になってきました。よい結果が出るように工夫された研究を行うことで、客観的な情報のように見せかける、というような事例も多くあることが分かってきています。

そうすると、情報の上流がブラックボックスとなってしまうため、医師や医療従事者でも騙されてしまうことが少なくありません。

こんなときは、その情報の源と、結果が与える影響について想像し、「誰が得するのか」という視点で見てみてはいかがでしょうか。得する人や組織がその情報を提供している場合は、少し距離を取って、その情報の信頼性を疑ってみるという手があります。

ただ、これは何も、産業界に限った話ではありません。お金が関係していなくても可能性がある話です。

例えばある友人が、ある健康法について熱心であったとします。熱心に信じていて、実際に、その友人にはよく効いたのかもしれません。この友人があなたに、この健康法を勧めます。この健康法をあなたが実践することで、友人は「得する」でしょうか。

逆の立場になって考えると分かりますが、たとえ金銭的な利益がなくとも、あなたが実践することで、ご友人は自身の健康法が認められた、自分の言うことを聞いてくれたと感じる承認欲求が満たされるという側面もあります。

医師をはじめとする医療従事者や研究者も同様に、それぞれ、研究や医療の現場で自身が専門とする、あるいは、熱心に取り組んでいる、治療法や健康法が存在します。たとえ、金銭的な関係がなくとも、自分の専門とするものが広く世間に認められたり、場合によっては研究費や予算が増えたり、といった形で、「得する」可能性があります。

このように、広い意味で、「誰が得するのか」という視点でも、情報を確認すると、違うものが見えてくることがあります。

チェックポイント3:常識と照らし合わせて考える

医療や健康情報は命に直結する話も多く、実はその分、ほとんどの治療法や健康法が、危ない橋を渡らないようにする、別の言い方をすると保守的になり、その世界では「常識的な」ものとなります。

もちろん、一般常識と医療界の常識が異なることもありますし、それまでの医療の常識では考えられないような新しい治療法が生まれてきたことも多くあります。

一方で、常識を超えるようなことは、日常的に起こりません。だからこそ「常識」が生まれる、とも言えます。

治療法や健康法に関して新しい情報に触れたときには、このように、それまでのご自身の常識に照らし合わせてみることも、重要です。

専門的な知識がないためにきっちりと説明できなかったとしても、何となく違和感を覚える、あるいは腑に落ちない、という場合、今まで様々なかたちで得てきた情報や経験が形作っている、あなたの中にある「知の体系」が総合的に判断している可能性があります。

ただし、「だまし絵」のように認知のかたちに引きずらせることで過って判断させるものもあります。いずれにしても、画期的にも思えるような新しい情報や、それまでの常識的にはすこし違和感を覚える情報を得た場合は、時間をおいて、再度、判断するということも大事です。

医療や健康に関しては、世界的に巨額の研究資金が投じられ、日夜多くの専門家が研究を進めています。その中で、目新しくドラマティックな方法の発見というものは、やはりそうあるわけではありません。やはりみなさんの人生や人類の歴史の中で形作られてきた「常識」も大事にしてください。

いかがでしょうか。医療や健康情報の信頼性を確かめるのは難しいと考えられがちですが、情報に接する際の心構えをいくつか知っておくだけで、判断の助けとなるコツもたくさんあります。また折に触れて紹介していきたいと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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