名所・旧跡

伊根の舟屋 船のガレージが海辺に並ぶ美しい風景

京都・丹後半島にある伊根は、船のガレージ「舟屋」と呼ばれる建物が海辺に並ぶ美しい風景が見られる場所。街中に入ってみると、昔ながらの町並みが残る静かな漁師町の雰囲気を感じることができます。他では見ることができない独特の風景を楽しめる伊根の見どころとアクセス方法などをご紹介します。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

船を入れるガレージ、舟屋が海辺に並ぶ丹後半島・伊根へ

「海辺の風景」と聞くと、美しい砂浜やゴツゴツとした岩が並んでいる風景、港の岸壁や防波堤の消波ブロックなどが思い浮かびます。しかし、これらの風景の他にも素敵な海辺の風景が見られる名所があるのをご存知でしょうか。

日本海に突き出す丹後半島の伊根地区では、「舟屋」と呼ばれる船のガレージが海辺を埋め尽くしており、海側から見てみると他では見られない美しい海辺の風景を楽しむことができます。

今回は海辺の風景が美しい伊根の舟屋の見どころとアクセス方法などをご紹介します。

<目次>
  1. 伊根は「海の京都」の名所の一つ 穏やかな海に向かって舟屋が並ぶ
  2. 伊根の街並みを歩く
  3. 美しい舟屋の風景を見るなら、海から遊覧船で!
  4. 山の上からでも伊根の舟屋を望むことができる
  5. 伊根へのアクセス

 

伊根は「海の京都」の名所の一つ 穏やかな海に向かって舟屋が並ぶ

伊根の位置を示す地図

舟屋で知られる伊根は丹後半島にある町です

伊根Yahoo! 地図情報)は、京都府の北部、日本海に突き出した丹後半島にある街です。

「京都府」に海が面している所があるというのは意外に知られていないようですが、日本三景に数えられる天橋立も京都府(宮津市)になります。

伊根は天橋立の北東に位置し、「海の京都」というキーワードで日本海に面した観光スポットの一つとして天橋立と共に観光PRが積極的に行われている名所です。
伊根の舟屋(1)

伊根湾の海辺を埋め尽くす伊根の舟屋(2015年5月撮影)

伊根の街は、若狭湾につながる伊根湾を取り囲むようにあります。小さな半島と島に囲まれた地形の関係で伊根湾は波が穏やかなため、遥か昔より漁業を生業とする方たちが暮らしてきました。

漁の盛んな港では、たくさんの船が港に係留されていますが、伊根の場合は雰囲気がちょっと違います。漁師の方たちがそれぞれで海辺に船を収納できる「舟屋」と呼ばれる船のガレージ兼住居を造ったため、海辺に舟屋がずらりと並ぶ独特の風景が生まれました。

舟屋の数は230軒以上。現在も漁師の方たちが実際に暮らしており、舟屋から船を出して漁に出ていきます。
伊根の舟屋(2)

遊覧船から見る伊根の舟屋。
漁師の方はここから船を出して漁に向かいます(2015年5月撮影)

そんな伊根の街並みを見ると、昔ながらの漁師町の風景が今も残っています。この海辺に並ぶ舟屋と、古い漁師町の街並みが貴重なことから、2005年に国の重要伝統的建造物保存地区に指定されています。

ちなみに漁村で重要伝統的建造物保存地区の指定を受けているのは日本国内では伊根だけ。1993年にはNHKの連続テレビ小説『ええにょぼ』の舞台にもなりました。

伊根の街並みを歩く

伊根の街並み

細い道を挟んで母屋と舟屋が相対する伊根。 山側(左)が母屋で、海側(右)が舟屋です(2015年5月撮影)


それでは、伊根の街並みを歩いてみましょう。

街の中に入ると、海辺には舟屋があって、車がぎりぎりすれ違える程度の細い道の向かい側に家が立ち並ぶ昔ながらの漁師町の風景が続きます。

舟屋の向かいにある家は、漁師の方たちの母屋であることが多いとのこと。普段は母屋で暮らしていて、漁をする時に道を渡って舟屋から船を出すという生活スタイルが確立しています。
伊根の舟屋(3)/ツツジと共に

ゴールデンウイーク頃に見頃となるツツジと伊根の舟屋(2015年5月撮影)

舟屋は1階が船のガレージで、2階が簡単な住居スペースという構造です。今でも住んでいる方がいらっしゃいますので、勝手に中を見ることはできません。

ただし一部の舟屋については伊根町観光協会が主催するガイドツアーに参加すると中を見学することが可能です。また舟屋の中には宿を営んでいる所も十数軒あり、1日1組限定で舟屋に泊まれる宿もありますので、宿泊してのんびりするのも良いでしょう。

なお車で来た場合、街並みの中には駐車スペースが少ないため、高台にある道の駅 舟屋の里伊根に車を止めて散策するのが良いでしょう。

美しい舟屋の風景を見るなら、海から遊覧船で!

伊根湾めぐり遊覧船乗り場

伊根へ行く道の途中にある伊根湾めぐり遊覧船乗り場(2015年5月撮影)

舟屋が並ぶ伊根の風景を満喫したい場合は、遊覧船に乗るのがお薦めです。

天橋立方面から伊根に来ると、街に入る手前に伊根湾めぐり遊覧船の乗り場があり、30分ほどの遊覧で海から舟屋が並ぶ風景を見ることができます。
伊根の舟屋(4)/伊根湾めぐり遊覧船と共に

伊根の舟屋を海から楽しむ伊根湾めぐり遊覧船。
この他にもいろいろな形の遊覧船があります(2015年5月撮影)

遊覧船乗り場を出た遊覧船は、乗客の皆さんが持っている餌が目当てで飛んでくるカモメやトンビなどの鳥に囲まれながら、一路伊根湾の中へ移動。

舟屋が良く見えるところまで来たら、遊覧船はゆっくり航行を始め、伊根の舟屋に関する説明を聴くことができます。
伊根の舟屋(5)

遊覧船から見る伊根の舟屋。
遊覧船を取り巻くように飛ぶカモメやトンビを見るのも楽しみの一つ(2015年5月撮影)

海から見ると2階建てという舟屋の構造が良くわかりますね。色合いはそれぞれの建物ごとに異なりますが、湾内の海辺を舟屋が埋め尽くす風景が印象に残ります。

遊覧船は伊根湾の中心をくるりと旋回するコースをたどりますが、海辺を舟屋が埋め尽くしているため、船の左右どちらからでも舟屋のある風景を望むことができます。
伊根の舟屋(6)

山の緑と、海辺を埋め尽くす伊根の舟屋と美しい海(2015年5月撮影)

海辺の近くまで山が迫っているので、山の緑と舟屋、そして美しい海が一つのフレームに収まります。伊根でしか見ることができない素晴らしい風景です。
伊根の舟屋(7)/伊根航路の船と共に

伊根の舟屋をバックに進む天橋立からの伊根航路の船(2015年5月撮影)

ちなみに海から伊根の舟屋を見る方法として、伊根湾めぐり観光船の他に、天橋立から伊根湾をめぐった後、伊根の港へ向かう伊根航路も期間限定で運行されています。天橋立とあわせて伊根を見たい時には伊根航路を利用すると便利です。

山の上からでも伊根の舟屋を望むことができる

伊根の舟屋(8)/道の駅 舟屋の里伊根から

道の駅の「舟屋群展望所」から望む伊根の舟屋(2015年5月撮影)

海からの眺めがたくさん紹介されている伊根の舟屋が並ぶ風景ですが、実は陸からも望むことができます。
伊根の舟屋(9)/道の駅 舟屋の里伊根から望む

道の駅の「舟屋群展望所」から望む伊根の舟屋(2015年5月撮影)

伊根の高台にある道の駅 舟屋の里伊根の奥には「舟屋群展望所」が設けられており、眼下に伊根湾と舟屋の並びを遠くに望むことが可能です。

海からの眺めとは一味違う舟屋の風景をここから楽しんでみて下さい。


海辺に舟屋が並ぶ独特の風景が見られる伊根をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。天橋立からも近いですし、丹後半島には断崖絶壁が続くダイナミックな風景が望めるスポットも点在していますので、ゆっくり時間を取って訪れてみて下さい。

伊根へのアクセス

地図:Yahoo! 地図情報

<鉄道>
東海道新幹線 京都駅より、山陰線特急「はしだて」で天橋立駅下車。
丹後海陸交通バス 伊根郵便局、宇川温泉、蒲入行きに乗車し、伊根バス停下車。
伊根湾めぐり遊覧船に乗車する場合は、伊根湾めぐり・日出バス停下車。
伊根へのバスとして、期間限定で運行する「ぐるっと丹後周遊バス(ぐるたんバス)」も利用できます。
天橋立から伊根を結ぶ伊根航路の乗り場

天橋立から伊根へ向かう伊根航路は、天橋立の廻旋橋近くから発着しています(2015年5月撮影)

また天橋立の廻旋橋近くから伊根を結ぶ伊根航路も利用可能です。

<高速バス>
品川バスターミナルから、舞鶴を結ぶ夜行高速バス「シルフィード号」(京都交通バス、京浜急行バスの共同運行)で西舞鶴駅前バス停下車。西舞鶴駅から京都丹後鉄道に乗車し、天橋立駅下車。以降は<鉄道>に準じます。

<車>
京都縦貫自動車道 与謝天橋立インターチェンジから国道178号線に進み、案内に従う。
伊根湾めぐり遊覧船乗り場や、道の駅 舟屋の里 伊根に駐車場があります。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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