SUZUKI(スズキ)/スズキ

スイフト・フルハイブリッドの仕上がりは?

スズキ・スイフトに加わったフルハイブリッド仕様。NAエンジン、直噴ターボ、マイルドハイブリッド、フルハイブリッドと多様な仕様を用意している現行スイフトの中で最も高価格帯になっている。その価値はあるのか、マイルドハイブリッドとの違いを含めてお届けする。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

スズキ・スイフトにフルハイブリッドを追加

スズキ・スイフト

スズキ・スイフトに加わったフルハイブリッド仕様。価格は「HYBRID SG」が166万8600円、「HYBRID SL」が194万9400円。なお、スイフトの価格帯は134万3520円~194万9400円


2017年7月、新型にスイッチしたスズキ・スイフトにフルハイブリッド仕様が加わった。

新型の登場時から設定されていたマイルドハイブリッドを合わせると、2種類のハイブリッドが用意されることになり、両側スライドドアのコンパクトカーであるソリオと同じハイブリッドの陣容となる。

フルハイブリッドの追加により、1.2L NAエンジン(5MT/CVT)、1.0L直噴ターボエンジン(6AT)、1.2Lエンジン+モーターのマイルドハイブリッド(CVT)、1.2Lエンジン+モーターのフルハイブリッド(5AGS/オートギヤシフト)と、パワートレーンの充実ぶりが目を惹く。

街乗りが中心で、距離が短く、近所の足程度であれば1.2L NAエンジンでも不足はないだろう。それに、モーターのアシストが加わり、加速が良く、さらに燃費や静粛性を重視するならハイブリッド仕様の出番。

ハイブリッドで4WD狙いならマイルドハイブリッドのみ

スズキ・スイフト

スズキ・スイフトのサイズは、全長3840×全幅1695×全高1500mm(2WD)


マイルドハイブリッドにするか、フルハイブリッドにするか。予算や使い方に応じて選ぶのはもちろんだが、駆動方式と先述したトランスミッションの差がある。

マイルドハイブリッドは、トランスミッションがCVTになり、2WDだけでなく4WDも設定するのがポイント。ハイブリッド狙いで、4WDが必須なら選択肢はマイルドのみ。

フルハイブリッドのAGSの完成度は?

スズキ・スイフト

エンジンコンパートメントの下側に駆動用モーター、減速機、トランスミッションのAGS(オートギヤシフト)を配し、さらに助手席下に12Vのリチウムイオン電池、後席後ろの荷室下にパワーパック(100V+インバーター)を配している


一方のフルハイブリッド仕様は、2WDのみでトランスミッションはシングルクラッチで2ペダルMTの5AGS(オートギヤシフト)。MTに乗ったことのある人ならシフトフィールに違和感を抱くことなく慣れやすいはずだ。

問題は、CVTやトルコン付ATにしか乗ったことがない場合。スイフト・ハイブリッドの5GASは、専用チューニングが施され、変速時のクラッチ切り離し時間を短縮することで、変速する際の「間」がさらに縮まった。

シングルクラッチのシフトフィールとしてはかなり出来がよく、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)には機構的には当然及ばないものの、CVTやAT、DCTからの乗り替えでも問題なく慣れるレベルにまでアップデートされている印象だ。ソリオのフルハイブリッドと同じシステムを搭載しているスイフト・フルハイブリッドだが、ソリオよりもさらに洗練されたマナーなのが確認できた。

EV走行にも対応するフルハイブリッド

スズキ・スイフト

フルハイブリッド仕様「SL」のインパネ。ブルーの専用メーターや「ECO」モードスイッチ、ブルーのオーナメントが付く専用シフトノブなどが与えられ、エコと上質感を強調している


モーターが加速時にアシストすることで、スムーズな走りを実現するというのはマイルドハイブリッドもフルハイブリッドも同じ。

しかし、フルハイブリッドの駆動用モーター(MGU)は、エンジン停止時からモーターのみでの加速が可能で(最初にイグニッションをオンにすると、システムチェックのため必ずエンジンがかかる)。

さらに60km/h以下の場合、モーターのみの走行が可能。60km/h以下でもバッテリーの残量が少なかったり、アクセルを強め(深め)に踏み込んだりすると、エンジンは比較的早く再始動するものの、一定速で走る際はかなり燃費にも貢献してくれそう。

なお、フルハイブリッドは32.0km/L、マイルドハイブリッド(2WD)は27.4km/LというJC08モード燃費。前者はエコカー減税が免税となり、グリーン税制による自動車税も75%減税になる。マイルドハイブリッド(2WD)は、自動車取得税40%、自動車重量税50%減税、自動車税50%減税。

差額を埋めるフルハイブリッド仕様の魅力

スズキ・スイフト

日産ノートをはじめ、ホンダ・フィットやマツダ・デミオ、トヨタ・アクアなどのライバルよりも全長が短いため、荷室は小さめ。取り回しの良さを重視するのであれば魅力だが、積載性も大切ならほかのBセグメントモデルとの比較は必須になるだろう


問題はエコカー減税の減税率が大きいとはいえ、たとえば上級仕様でデュアルセンサーブレーキサポートを標準化している「HYBRID SL」の場合、200万円に迫る価格が気になるところだろう。なお、「HYBRID SL」の減税額は合計で8万9200円。マイルドハイブリッドの上級仕様の「HYBRID RS」は4万1400円。

エコカー減税を加味すると、フルハイブリッドの「HYBRID SL」とマイルドハイブリッドのセーフティパッケージ装着車の「HYBRID RS」との差額は、約11万円程度になる。

また、5AGSのシフトフィールをどう考えるか。MT派であれば肯定できる仕上がりだし、MT以外からも十分に慣れる範囲であるはずだ。「燃費で元を取る」ということを考えなければ、スイフトのフルハイブリッドの上質感のある力強い加速はかなり魅力的といえそうだ。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます