孤独死・孤立死とは
近所づきあいが苦手で、地域での存在感が小さい、そんな人は孤独死・孤立死の予備軍かも。
行政では、「孤独死」ではなく「孤立死」という名称を使い、「人の尊厳を傷つけるような悲惨な孤立死が発生しないようにする必要がある」と孤立死に対して説明しています。
「孤独死」も「孤立死」も厳密には解釈の違いがあるかもしれませんが、どちらも仮に一人暮らしで急逝しても、連絡を取り合う親戚が友人がいる場合は「孤独死」「孤立死」とは言いません。
孤立死の正確な数の把握はできませんが、2011年にニッセイ基礎研究所が調査した「セルフネグレクトと孤立死に関する実態把握と地域支援のあり方に関する調査研究報告書」によると、全国65歳以上高齢者の孤立指数の推計(死後4日以上経過)は年間1万5603人と公表されています。死後2日以上経過した人や、65歳未満を含めると、年間3万人もの人が孤独死・孤立死しているのではと推計されます。
孤独死・孤立死の発見
孤独死の発見は「部屋から異臭がする」「新聞や郵便がたまっている」「なんとなく様子がおかしい」等、近隣住民からの通報がほとんどです。通報により管理会社などの立ち会いのもと、部屋の鍵が開けられ警察が現場確認にあたります。遺体を確認したら、死因を調べる検視が行われ、身元確認と事件性の有無が調べられます。
場合によっては、行政解剖や司法解剖にまわされることもあります。
遺体の引き取り
遺体の身元確認が行われるのと同時進行で、故人の親族の捜査が始まります。これは警察が行う場合と市区町村が行う場合があるのですが、判明したら血縁関係が濃い順に連絡がとられます。その時、引き取りの承諾、拒否について尋ねられます。遺体の引き取りをする場合は、死体検案書を一緒に受け取ります。
葬儀を行う家族・親戚がいる場合
死後数日経ってから発見される「孤独死・孤立死」の場合、親戚や友人・知人との関係性が希薄であることが多いため、葬儀も簡素で火葬のみで済ます「直葬(ちょくそう)」スタイルが服なくありません。セレモニーを行う場合でも、遺体の状況によっては、セレモニーに先だって火葬をすませ、後に葬儀・告別式が開催されるケースが多いようです。
葬儀を行う家族・親戚がいない場合
身元は判明していても、家族や親戚と疎遠になっていたり、家族はいても「関わりたくない」と遺体の引き取りを拒否したり葬儀を執り行う人がいないケースも多々あります。この場合、市区町村が遺体を引き取って「墓地埋葬等に関する法律(※)」に基づいて、自治体で火葬されます。火葬した後の遺骨は、自治体が委託している寺院などに引き取られ、数年間保管されます。一定の保管期間が過ぎると、集合墓にまとめられ合葬されます。
※身元が判明していていない場合は、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」、扶養義務者以外の葬祭執行者がいる場合(友人・民生委員など)は「生活保護法」に基づいて火葬が行われます。
孤独死・孤立死の場合の後片づけ
遺品の整理は専門の遺品整理業者に依頼する人も増えています。
これらの荷物の撤去と清掃にかかわる費用ですが、賃貸の入居時に連帯保証人がいた場合、連帯保証人が費用の負担をするものと判断されます。次に見込まれるのが「相続人」です。連帯保証人も相続人にも連絡がつかない場合、部屋の所有者である管理会社や大家さんが負担することになります。
連帯保証人や相続人が賃貸住宅の原状復帰をする場合は、まず管理会社(大家さん)と話し合いをします。床や壁紙の張替えや風呂釜の交換まで求められることもありますが、自殺のように本人に「故意や過失」がある場合と違って、孤独死は自然死になりますので、すべての要求をのむ必要はありません。
連帯保証人や相続人の負担は、遺品の撤去と臭いや跡を消す費用の負担等、「経年による劣化」以外の部分の負担になります。話がこじれる場合は、法律の専門家や不動産会社などに間に入ってもらうと良いでしょう。
なお、持ち家であっても、孤独死の場合、汚染状況によっては害虫や異臭の発生、感染症などの問題から近隣に迷惑をかけている可能性がありますから、早めに専門業者による清掃に入ってもらうことをおすすめします。