お金の悩みを解決!マネープランクリニック/子どもが欲しいがお金のことが不安な人の悩み相談

33歳貯金500万。第2子と住宅が欲しいが親への援助が(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、現在第1子を妊娠中の30代女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 児童手当+1万円が無理のない教育資金づくり

第2子の出産とマイホームを購入することを前提として、ご家族の今後のマネープランを考えてみましょう。

最初に教育費から。ご主人が60歳になるまであと25年。現在の貯蓄ペースは毎月13万円ですが、奥様が職場復帰されると、その収入は育休時の今よりアップするはず。第2子を出産されると、再び貯蓄ペースは落ちますが、お子さんにかかる費用を考慮しなければ、少なく見ても平均して年間200万円の貯蓄が可能でしょう。25年間継続できれば5000万円となります。

このうち、教育費(保育園または幼稚園から大学卒業まで)を含めた子育てにかかる一切の費用を1人1250万円とすると、2人で2500万円。これを差し引くことで、計算上はお子さん2人にかかる資金は確保できました。残り2500万円に手持ち資金を加えた約3000万円が、住宅資金と老後資金というわけです。

その教育費について「学資保険を利用すべきかどうか」とありますが、「貯めることができる」世帯ですから、保険を利用しても、定期預金で積み立てても構いません。学資保険を利用する場合は、元本割れをしない商品を選ぶことと、高校は公立としても17歳満期がいいでしょう。
貯め方としては、児童手当は全額貯蓄に回す。そして、それとは別に1人月1万円を積み立てる。これで18歳のときに400万円が貯まりますので、私立文系の大学費用(平均390万円)は確保できます。
 

アドバイス2 40歳購入で物件価格は3500万円が上限

次に住宅資金ですが、ご主人40歳のときにマイホームを購入するとします。その間、産休~育休が2回あるわけですが、その間も10万円前後は貯蓄できるとすると(育休を1年程度に想定)、今後5年間で800万円程度貯蓄できる計算になります。

したがって今ある貯蓄と合算すれば、手元にある資金は1270万円。このうち、住宅資金として1000万円を差し引きます。ご夫婦とも会社員ですから、多めに取っても大丈夫でしょう。ただし、諸費用(住宅購入やローン契約に関わる税金や手数料等、さらに引っ越し、家電や家具の購入費用)を200万円とすると、実際に頭金に充てられるのは800万円となります。

さて問題の物件価格ですが、無理なく毎月返済できる金額から逆算していくことが基本です。まず、住宅にはランニングコストが発生します。固定資産税に、フラット35を利用すれば団体信用生命保険料(民間の金融機関は一般にローンに含まれています)。また、一戸建てはマンションのように管理費や修繕費は徴収されませんが、自前で将来の修繕費用を積み立てておく必要があります。それらコストを合計して、月3万円としましょう。

これにローンの返済額を加えて、返済が可能かどうかですが、完済年齢は最長でもご主人65歳としたいところ。したがって、借入期間は25年。借入額を2700万円、全期間固定、金利1.5%とすると、毎月の返済額は10万8000円。これに先のランニングコストを加算すると、住宅コストは約14万円。現在の家賃と駐車場代の計9万円が住宅購入と同時になくなりますので、実質の家計負担はプラス5万円と考えられます。

先の試算で、ご主人60歳のときに3000万円あるとすれば、そこから住宅資金の1000万円、毎月のローン5万円の20年分で1200万円ですから、まだ800万円余ります。計算上、無理はありません。しかし、まだ5年ローンの返済が続くことと、老後資金も考慮すると、別途、退職金が入るとしても、これ以上、物件価格を上げるのはマネープラン的にはきびしいかもしれません。したがって、頭金800万円に借入2700万円ですから、物件価格は3500万円をまずは上限としていいでしょう。
 

アドバイス3 親族への経済的支援は今後はしない

上記試算のベースとなっているのは現在の家計です。したがって、さらに見直して、貯蓄ペースを上げれば、資金的には当然もっと余裕が生まれます。手の届く物件価格の上限を引き上げることもでき、また教育費の負担が増えたとしても安心できるはずです。仮に使わなければご夫婦の老後資金に回せばよいだけですので、貯蓄ペースを上げることは頑張りましょう。

目立つところでは、奥様も指摘されている雑費。出産を機に、いろいろ見直してみてください。細かく支出を見ていけば、現状13万円貯蓄とありますが、15万円も十分可能だと思います。

保険については、ご主人と奥様で低解約型終身保険に2本ずつ入られています。教育資金、あるいは老後資金づくりとして加入されているとしても、保険に偏っている気がします。少なくとも、ご主人か奥様どちらか貯蓄性の低い方の保険は払い済みにしてもいいと思います。ともに貯蓄性がさほど高くなければ、両方とも払済保険でも構いません。ご主人の方だけでも、年間24万円の保険料が浮きますので、これを貯蓄に回してください。

ただ、どちらにしても、ご主人の死亡保障は不足気味です。終身を2本払い済みにした場合、新たに死亡保障として2000万円は欲しいところ。定期保険で、保険期間に20年とすると保険料は4000円台半ば。それでも、保険料コストは年間18万円下げて、必要な保障を確保できます。

貯蓄については、基本は元本保証の商品で貯めていきましょう。普通預金より、多少でも金利の高い定期預金にすべき。一方、しばらくリスクは取れませんので、投資はできません。確定拠出年金もまだ早いと考えてください。時間軸で考えれば、教育資金と住宅資金老が老後資金より優先するからです。

最後に気になる点をもうひとつ。これまで親族にされてきた経済的援助です。諸事情はわかりませんが、断る、あるいは見て見ぬふりはできず、手を差し伸べてられたのだと思います。それ自体、大変立派なことですが、今後は今までのようにはできないと考えてください。

これまで支援したわけですから、今後また頼まれる可能性は否定できません。そのとき、しっかり断る強い気持ちが必要です。将来、義母をまた支援するかもしれないとのことですが、よほどの状況でない限り金銭的なものはすべきではないと考えます。今後は親や兄弟より、自分のお子さんを優先して守らなければいけない立場です。手元にある資金は、お子さんを育て、家族が生きるために大切なお金なのです。心情的には辛いかもしれませんが、ある程度割り切ることが求められるのです。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武



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