子どもがアンパンマンに惹かれる理由とは
<目次>
なぜアンパンマンは子どもに人気なのか
アンパンマンのテレビに夢中
かくゆう私も、おもちゃは木を基調としたものを、絵本は大人が見てもかわいいものを、キャラクターものはできるだけ使いたくない、なんて妄想していましたが、出産祝いで「アンパンマンのプレイマット」が家にやってきた瞬間、そのこだわりも雲散霧消、使えるものは使っておこうとシフトチェンジをしたものです。
他のお母さんたちにも話を聞くと、同じくアンパンマンを敬遠していたものの、両親(赤ちゃんのじいじとばあば)がお土産やプレゼントでもってくる、というパワープレイにより、どんどん増えているという話。
我が家のプレイマットは、おかげさまで子供たちから溺愛され、ワンオペで育児を回す身にとってはありがたいツールとなりました。お古となったものを同じく「キャラクターものはちょっと……」という友人にあげたら、しっかり使われている様子。赤ちゃん本人がご機嫌になるから、というのが大きな理由ですが、なぜアンパンマンはこんなにも愛されるのでしょうか?
「親しむ」しかないアンパンマンの出没率
アンパンマンに接触する機会は多い!
お気づきのように、ショッピングモールには、オモチャ、絵本、DVDはもちろん、洋服、お菓子、ジュースの自販機があり、子育て支援センターや児童館、小児科、保育園にも「お手製」のアンパンマンたちがお出迎え。
ビジュアル系だけかと思いきや、無形の「手遊び」にも登場。昭和から続いているであろう『ひげじいさん』の手遊び歌のメロディーに乗せて、「トントントントン、アンパンマン~」と定番の替え歌として遊ばれているのです。
まさに「石を投げればアンパンマンにぶつかる」育児環境にいれば、イヤでも「親しんで」しまいます。私たち母親も、「アンパンマン=子連れOK!」との刷り込みが行われ、例えば子連れで初診の耳鼻科に行き、壁にアンパンマンが貼ってあろうものなら「ここで良し!」と安心するのではないでしょうか。
アンパンマンは旦那さんより子守がうまい!?
子供が成長していくと、単なる絵だったものが、ドラマを構成していることに気づきます。その食いつきたるやすさまじく、我が家では子守代行として大変お世話になりました。下手をすれば「旦那さんより使えるサポート役」。その数十分でお母さんたちは休憩したり、筋トレを行えるのです(←ママ友の実話)。登場キャラクターで人気どころは、アンパンマンに並んでバイキンマン。どうやら悪いことをして町の住民たちを困らせ、最後にはアンパンチで飛ばされる。けれど彼のスキルには目を見張るものがあり、空飛ぶマシンや巨大ロボットを作るは、城を修理するは、変装して住民に溶け込むは、時々不本意ながらオクラちゃんの農業を手伝っちゃうはでバイタリティが天井知らず。
不屈の精神で、勝ち組の人気者に立ち向かっていく姿は、我々酸いも甘いもかみ分けてきた大人として、涙なしには見られないものがあります。
それに対してアンパンマンの面白味のなさといったら。お腹の空いている子に顔をちぎり渡し、困っている人を助け……良いことをしているんだけど、どこか地味。パン工場で食事をしているシーンでは、ドア付近に立って絶対着席はせず、スキあらばパトロールに行ってしまう。しょくぱんまんとカレーパンマンはおいしそうにごちそうを食べてるのに。なぜ?
アンパンマンこそ本当の正義を体現するヒーロー
それは原作者である、やなせたかし氏の戦争体験から来た信条にありました。「本当の正義のヒーローは、まずお腹を空かせている人に食べ物を与えられる人」というものが根底にあるからこそ、アンパンマンは常にパトロールをし、町民のお腹を満たして回っているのです。確かに、政治的発想で勝手に「悪」と決めたものを攻撃する正義より、もっと根本的な「お腹が空く、食べたい」という命に関わる生理的欲求に応えてくれる方が、優しい正義です。アンパンマンは弱者を助ける自己犠牲の精神で成り立っているがゆえに、うかうかお茶なんてしていられないのですね。
アンパンマンの正体は……お母さん!?
母親は子供にとっての正義のヒーロー(ヒロイン)
これぞ心身を削っての奉仕、自己犠牲の精神!
そう紐解いていくと……
子供がアンパンマンを好きなのは、お母さんのことが好きだから。
お母さんがアンパンマンを許容するのは、自分の分身だから。
多少強引ですが、そんな結論が見えてきます。
これから道端でアンパンマンの自動販売機を見かけたら、世のお母さんに思いを馳せ、「おつかれさま」と声をかけてしまうかもしれません。願わくば、アンパンマンの味方が、うんと増えていきますように。
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