新型カムリに試乗、どんなクルマか?
今や日本車の4ドアセダンは、クラウンなど限られた車種を除き絶滅危惧種という雰囲気。興味深いことに輸入車を見ると一定の販売シェアとなっている。自動車メーカーからすれば「魅力的な国産セダンがないから売れない」と思っているようだ。そんな状況の中、間もなくホンダはシビックのセダンを発売し、トヨタがカムリを発表した。
果たしてどんなクルマか? 新型カムリに試乗してみたので紹介したい。
フルモデルチェンジした新型カムリ
アクセルを踏んだ直後に感じたパワフルさ、「パワー不足」の評価が一転
初代カムリこそ日本専用車種だったものの、3代目モデルあたりからアメリカで売れ始め、今や15年連続のベストセラーカー(乗用車ジャンル)になっている。裕福なユーザーの多いアメリカでは、カローラクラスよりカムリクラスが人気なのだ。デザインもアメリカ市場を重視しており、日本人向きかといえば微妙。ただ徐々に好みも替わりつつあるようで、若い世代を中心に評判も良いという。加えてミニバンやSUV人気の我が国で、むしろトラッドなセダンは目立つ存在かもしれない。私の世代だと、現行モデルで絶版になると言われているマークXに惹かれる?
デザインは若い世代を中心に評判が高まっている
パワーユニットは新開発となる2500ccの4気筒ガソリンエンジンを使うハイブリッドで、システム出力211馬力と先代モデルの205馬力より若干高くなった。しかし乗って驚く! 6馬力どころの違いではない! アクセル踏んだ時に湧き出すモーターのトルク感がハッキリ違う。おそらく20%くらいパワフルになったようである。
従来型カムリに乗ると、アクセル踏んだ時に「パワー不足ですね!」とがっかりさせられた。アメリカ市場でも同じ反応らしく、新型カムリのメディア試乗会を行うとハイブリッドは明らかに不人気だったという。期待されていなかった、ということ。けれど新型に試乗すると評価がガラリと替わったそうな。その気持ち、よく解ります。
アクセルを踏んだ瞬間にハッキリと違いがわかるパワフルさに
新型はアクセル踏んだ直後にモーターがグイッっと車体を前に引っ張る。その後、軽快なエンジン音と共に、必要にして十分な加速が始まっていく。3000cc程度のエンジンを搭載するクルマより気持ち良く走ってくれる感じ。燃費を優先したパワーユニットというイメージ無し。これが新しい世代のハイブリッドなのかもしれない。
燃費、足回りもレベルアップ! 自動ブレーキも上々の評価
興味深いことに燃費も良いらしい。プリウスのエンジンを凌ぐ41%という熱効率(ディーゼルエンジンに匹敵する)を実現していることもあり、実燃費は先代より30%も向上している。1時間半ほどの短い試乗でチェックしたら、普通に走って20km/L。少し丁寧に走ったら25km/L! 先代モデルだと相当頑張らないと20km/L走らなかった。ハイブリッドシステムの小型・軽量・高効率化技術を組み合わせることで、優れた動力性能と低燃費を実現。
足回りもレベルアップ。プリウスから導入されたTNGAコンセプトを使った新世代のシャシということもあり、ボディの剛性感や素直な挙動など上々。動きが渋いKYB製のダンパーを使うため、硬いタイヤを履く18インチ仕様の乗り心地はゴツゴツしていて安っぽいものの、17インチ仕様なら何とか私でも納得出来るレベルに届いている。
今や新車を買うときに最も気になる自動ブレーキ性能だけれど、このクラスのセダンとして評価すれば上々である。マツダや日産の新しいシステムやスバルのアイサイト3にこそ届いていないが、カムリクラスの省燃費セダンには採用されていない。セダンの購入を考えているなら、輸入車を含め新型カムリもリストに入れたらよいと思う。
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