フィルム現像に必要な溶液は3種類
ここからの解説は、現像するモノクロフィルムを現像リールに巻き取り、現像タンクに収納済みのところから始めます。現像リールの巻き取り方については、「カメラフィルムの現像、リールの正しい巻き方」の記事で詳細に説明しています。
フィルム現像に必要な道具をまず揃えます。現像するのに最低限必要なのは、現像液、停止液、定着液の各溶液。これからはカメラメーカーから発売されています。このほかに調合した各溶液を保存しておく薬品ボトル、水温計、水量カップなども揃えます。
各溶液を決められた配合で水と混ぜて調合して作ります。調合方法は各溶液に書かれてある説明通りに行います。
このとき現像液の水温は現像速度に影響するので、適温になるように管理が必要です。水温が高い場合は、氷水を張った中に溶液のボトルを入れて水温調整します。
現像には正しい撹拌(かくはん)が大事
各溶液の準備が整ったらいよいよ現像をスタートさせます。現像タンクのキャップを外して現像液を流しいれていきます。フィルムが現像液に触れた瞬間から化学反応が起こり始めますから、素早く現像液をタンク入れます。
現像液を入れる容量はタンクの8から9分ほど。この後タンクを振りながら撹拌させるのでタンクの容量なみなみに溶液を入れなくても大丈夫です。
現像タンクの撹拌方法は、まず現像タンクをキャップの上からしっかりと持ちます。そして、腕の上げ下げを繰り返していきます。ゆっくりとした動作で構いません。大事なのは、タンクの中のフィルムが溶液にしっかりと浸すようにすることです。
現像液の撹拌は、現像液の水温によって撹拌時間が変わります。フジフイルムの現像液スーパープロドールの解説を引用しますと、水温が22度のときは撹拌時間が5分30秒、24度で4分30秒、26度で3分45秒となっています。
タンクに現像を注入してから時計で時間を計りながら撹拌をしていきます。また最初の1分間は連続で撹拌を続けて、その後は5秒に1回の撹拌で続けていきます。
現像液の撹拌時間が終わったら、タンクのキャップを外して現像液を流し出します(各溶液の廃液は、各地で決められた処理方法で廃棄してください)。
そして次に停止液をすぐに入れます。フィルムを現像液に浸したままにしておくと現像が進んでいってしまうので、停止液はその化学反応を止める役割をします。停止液を入れてからの撹拌は数回程度行い、溶液を流し出します。
最後に定着液を入れてまた撹拌を始めます。定着液を入れてからの撹拌時間は5分から10分程度となっています。
定着液の撹拌まで終われば、タンクのふたを開けることができます。ふたを開けたタンクに水を注ぎこみ流水作業を行います。この流水作業はフィルムに付着した薬品を洗い流す作業で、ここでしっかりと水洗いをせずに薬品がフィルムが付着したままだと、後にフィルムが変色したりする原因になります。少なくとも10分程度流水を行ったほうがよいでしょう。
流水作業が終わったらいよいよリールからフィルムを取り出します。ゆっくりとフィルムを延ばしてくると、現像されたフィルムが出てくるはずです。現像作業で嬉しい瞬間がこのとき。これまでのひとつずつの作業の結果、現像したフィルムをやっと日の目を見た瞬間です。
最後にフィルムを上からクリップのついたハンガーなどにつけて乾燥させます。フィルムの下には重り代わりとなる大きめのクリップを付けるとまっすぐにピンっと張った状態で乾燥できます。
乾燥させるときは、水滴が残らないように先に取り除いておきます。水滴がついたまま乾燥させると水滴の跡がフィルム面に残ることがあります。なお乾燥ムラを防ぐ水滴防止剤という溶液もあるので、使うと便利です。
乾燥させたフィルムは、フィルムリーフに入れやすいようにハサミで切って分けておきます。自分で現像したフィルムを見ると、またデジタルカメラの手軽さとは違った感覚で画像を見ることができるかもしれませんね。