預貯金だけではなく、お金にも働きに出てもらう
お金について、いたずらに「不安」を持たなくてもよいように、現実を正しく把握して、計画的に、行動をおこしましょう。必要貯蓄率を知り、貯蓄を始めましょう。貯蓄とは、預貯金だけではなく、お金にも働きに出てもらう必要があります。前回は、「お金を増やすために知っておきたいリスクの考え方」について お話しました。今回は、実際にどういった運用をすればよいのかをお話します。
運用の目的は「効率よく」「より確実」に
自分の必要貯蓄率を決めて、貯めたお金をどうやって増やしていけばよいのでしょうか。運用には、様々な方法がありますが、これからご説明する方法は、普通の人が、一生使うことのできるシンプルで正しい運用の方法です。「運用」とは、お金を経済活動に参加させることです。そうすると、お金がお金を稼いでくれるのです。自分も働いて稼ぎますが、お金にも稼いでもらうことができるのです。運用で目指すのは、お金を「効率よく」「より確実」に増やすことです。
お金が増える効率を「リターン」と言います。
「利回り」とも言いますが、通常は、一年あたり、お金がどのくらいの率で増えるかを「%」単位で表します。例えば、100万円が一年後に103万円になればリターンは「3%」です。
当然ながら、リターンは大きい方がいいですし、前回お話した「リスク」 は小さい方がいいわけです。そのためには、リターンとリスクのバランスをとることが大切になってきます。
リスクは無理に取らなくてよい
一般的には、リスクを取った方が、取らないよりもリターンは高く望めるとされています。しかし、必ずそうだとは言えませんし、損をする可能性だってあります。ですから、お金を一円たりとも減らしたくないという人は、無理にリスクを取る必要はありません。しかしながら、恐らくは、リスクを取った運用の方が、取らないよりも、よりリターンを見込める確率が高いと思います。あなたが、全くリスクを取らないと決めたならば、その分、計画的により多くの貯蓄をする必要があるでしょう。
では、リスクとって運用した場合、必要貯蓄率を減らしてもよいのか言うとそういうことではありません。あらかじめ、儲けを期待して、それを計算に盛り込むなどという「捕らぬ狸の皮算用」はいけません。
実際に、大きな儲けがでた場合、或は、損失が発生した場合には、その都度、「人生設計の基本公式」に反映させて、「必要貯蓄率」を計算し直します。当然ながら、運用で利益がでると、必要貯蓄率は下がりますし、損がでると上がります。必要貯蓄率が下がれば、当面、使えるお金が増えますし、上がれば、当分の間、支出を抑えなければなりません。
間違っても、運用で高い利益が得られることを当てにして、必要貯蓄率を下げたりしないことです。
人生設計の基本公式への詳しい使い方は、『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)をご参考にしてください。
次回は、「シンプルで正しい運用法」についてお話します。
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1回目「お金って何?お金に振り回されないようにするためにはどうすればよいのか」
2回目「あなたの必要貯蓄率がわかる『人生設計の基本公式』」
3回目「今日から始めたい『貯蓄プロジェクト』」
4回目「どこで運用するかで大きな差がつく『お金の置き場所』」
5回目「お金を増やすために知っておきたい3つのキホン」
6回目「お金を増やすために知っておきたいリスクの考え方」