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日米の株価感応度がこんなに違うワケは?

日米の株価は同じように動いていると思われていますが、ときにはまったく異なる動きをします。今回は、政局に対して、株価がどう動いたのかを比較して、株価変動の理由を考えてみました。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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弾劾寸前でも史上最高値を更新

アメリカのワシントンでは、FBI前長官や現・司法長官が議会に呼ばれ、トランプ大統領の疑惑に絡んだ証言を行なっています。現役の大統領が弾劾されるかどうかという時局になっているのですが、そこでニューヨーク株価は、どんな弱気を見せるかと思いきや、その議会証言の真っ最中に、史上最高値を更新しました。なんてことでしょう!

これがいかに違和感のあることか、我が国の現状と比べてみれば明白です。いち学校法人の個別の問題で、忖度があったとかなかったとか、あいまいで違法性が確認できていない問題で、安倍政権の信認性がゆらいでおり、支持率は低下。株式市場も敏感にそれを反応して、日経2万円の維持もできない状況にあります。

米国では、FBIやCIAが現実に捜査に着手しているのに、株式市場は楽天的に上昇を続け、かたや、日本では、そのはるかに初期の段階で、株式市場が不安と狼狽で揺れている。この株価感応度の違いは、どこにあるのでしょう。

私が思う、日米の株価感応度の違いの原因は、次の3つです。

・企業活動や株式への信認
・大統領が交代しても政権は安定しているという自負
・司法や警察への信頼

企業活動や株式への信認

米国では、政治的なトラブルやスキャンダルがあっても、経済は、それに引きずられない自立性を持っていると考えられています。たとえ、政権が倒れようと、戦争が起きようと、経済が健全であれば、社会の安定は崩れません。これが、世界一と言われる金融立国としての強さです。

だからといって、株高ならば、政権が信任されているかといえば、それはまったく別の話です。政治が悪くても株価は成長しますが、株高が政治を是認している証拠とはなりません。

その点、日本では株価が高ければ政権の支持率が上がるので、政権は株高に誘導します。ですから、「株価連動内閣」などと揶揄されているのです。政治的国民としての成熟度、投資家としての成熟度が、日米で大きく異なることが原因です。

政権の安定性と代替性

第二の政権の安定ですが、トランプ大統領が辞任すれば、次の大統領は、ペンス副大統領になります。同じ共和党であることには変わりありません。ポスト・トランプの政権には、不安はありません。ニクソン大統領がウォーターゲート事件で辞任したときにも、フォード副大統領が新大統領に昇格してから、NY株価は大きく反発したことを思い出してください。

しかし、今の日本は、「安倍一強体制」などといわれるほど、政権の選択肢がありません。安倍内閣が倒れれば、日本の株価は暴落するという噂もささやかれるほどに、政治的には薄氷の上の微妙な安定状態にあります。

司法や警察への信頼

最後の強みは司法や警察への信頼です。トランプ大統領の違法行為はまだグレーですが、これがブラックと認定されれば、司法や警察は、断固とした対応をするに決まっていると国民は疑っていません。正義は、最後には必ず勝つのです。

どこかの国のように、官邸の最高レベルからの指示で、捜査が中断されたり、罪を帳消しにしたりという情状酌量など、ありようがないと強く強く信じられているのでしょう。それは、証券取引所への信頼にもつながっています。

日本株価を不安定にする3つの理由

アメリカの株価が、時局に鈍感である3つの理由の正反対が、日本の株価が、あまりに敏感である3つの理由となります。

1、株価を信頼できない
2、今の首相に代わる対抗馬がいない
3、司法や警察が常に公平とは限らない

特に、1の株式に対する不信に関しては、本当に根深い問題を抱えています。それは日本株のリスクを押し上げています。また、次号で、触れたいと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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