統合失調症には再発リスクも…数回繰り返すケースも

統合失調症再発の前兆・サイン・前触れ

統合失調症の再発の前触れに、いつもの睡眠が難しくなることもあります

精神疾患では一般に再発が少なからずあります。代表的な精神疾患の1つ、統合失調症でも、通常30代までの初発の後、必ずというわけでは決してありませんが、1回あるいは複数回再発する事はかなり一般的です。

今回は、この統合失調症での、再発への備えとして、その始まりを見逃さないためのポイントを詳しく解説します。それは、この疾患の当人だけでなく、ご家族など周りの方も頭のどこかで、しっかり整理しておきたいことです。
 

統合失調症の再発要因……症状が落ち着いた寛解期に油断がある場合も

統合失調症は、その急性期、すなわち病気がさかんなその時期には、妄想や幻覚などのいわゆる「陽性症状」が出やすいです。時にかなり深刻化することもあり、そうした場合は通常、入院治療です。それでも通常は数ヶ月ほど集中的に治療すれば、そうした問題症状は少なくとも、かなり落ち着くはずです。

それで、それまでの治療を通じて、すっかり問題症状が落ち着いてくれば、その患者さんは、医学用語で、「寛解期」に入ったことになります。治療する側は、この寛解期をできるだけ長く、理想を言えば、一生維持していきたいですが、実はその経過のどこかで、一時的に症状が戻ってくる、あるいは、すっかり前回の入院直前のような様子になってしまうことも少なくありません。

統合失調症の再発要因は複数あります。例えば、薬の飲み忘れが習慣化するような事は、ありがちな要因の1つです。それは同時に患者さん自身の力で何とかしたい再発要因の1つです。この場合ならば、飲み忘れを防ぐために薬の袋を、あらかじめ目に付きやすい場所に出しておく、ご家族も当人が飲み忘れているようならば、リマイドを出す…といった対策を取りたいです。そして、こうした再発要因への対処は、再発のリスクをかなり下げます。とはいえ、現時点では、再発のリスク自体をゼロにはできないことは、残念ですが、再発に関する大事なポイントとして、覚えておきたいです。

それで、仮にいざ、その再発が始まり出した場合、そのまま再発するまで手をこまねいていないで、その手前で、精神科的な対処や治療がスタートできれば理想的です。それは、例えそのあと入院が必要になっても、その期間をかなり短縮できる可能性があります。あるいは、そもそも入院の必要自体を回避できるかもしれません。そのためには、再発の始まりを見逃さないことが大事。そのためには、患者さんだけでなく、ご家族も再発の前兆をよく覚えておきたいです。
 

統合失調症の再発のありかたは個人差が大きい

統合失調症の再発は数日のうちにみるみる悪くなるケースも時にありますが、一般的には数週間程度の期間の中で段階的に悪くなりやすいです。妄想や幻覚など、深刻な問題が出てくるまで、まだ時間がある、この段階で対処できれば理想的です。

再発前のその段階で、どのような症状や問題が現れるかは、実は患者さんごとの個人差がかなりあります。つまり、症状の内容自体はあらかじめ決まっている訳ではないのですが、その一般的な特徴としては、「統合失調症で出てくる問題や症状」の中から、その幾つかが穏やかな形で現れることが少なくないです。

それで、再発の前段階に、その当人に実際に現われる問題の中で、周りの人にもはっきりわかるレベルなのは、そのうちの2つ、3つぐらいかもしれません。ということもあって、再発の前兆を警戒する、やり方としては、その際に当人に現われそうな問題を何でもかんでも頭に叩き込んでおくのではなく、その当人に最も現われそうな問題や変化を2つ、3つ想定しておいて、その2つ、3つを患者さんだけでなく、周りの方も重点的に警戒するのが実際的です。
 

統合失調症再発のサイン…前兆・前触れとして出てくる変化・問題

統合失調症が再発する場合、その直前に出ている、それまでとの違いや問題自体は、患者さん1人1人のストーリーといえる面もあります。

例えば、ある人では、睡眠や気分が普段とかなり違います。具体的には再発の1~2週間ほど前から、寝つきが妙に悪くなり、気持ちも苛立ちやすく、些細なことで家族と言い争った…。また。ある人では、顔に表情がなくなる…といった形で前触れが来る場合もあり、もし再発の前触れが、このような、いわゆる陰性症状的な問題の場合、周りの目には一目瞭然でも、本人自身がそれを自覚するのは、一般にかなり困難です。

また、再発の前に何らかの知覚異常が現われる場合もあります。それはしばしば。あたかも一瞬魔法にでもかけられたかのような、不思議で奇妙な精神体験です。たとえば、鏡に映る自分の顔が一瞬別人の顔になっていた、といった幻覚様の体験です。場合によっては、それは一瞬の事ではなく、数秒から数十秒間、続きます。もしこのような幻覚体験が一時的とはいえ、仮にも現われてきたら、本格的な幻覚がまもなく来る可能性もあります。この時点ですぐ病院に連絡を入れるか、緊急受診するか等、迅速にアクションすることが、その後の経過のためにも、とても大事です。
 

統合失調症再発前の変化にはその人ならではの個性も

再発の前触れにいち早く気付くことはとても大事です。その結果、再発時の入院期間がかなり短縮できる場合もありますし、そもそも入院する必要そのものを回避できる可能性もあります。そのためには、最初の入院から自宅へ戻られたあとも、再発の前触れには充分警戒したいです。

その際の注意点として、再発への警戒ポイントは、必ずしも上述した、統合失調症らしい問題ばかりとは限らないことです。例えばの話、自宅で宅配の到着を知らせるブザーが鳴っても、出て行かない…いったような、普段のその人ならば、かなり考え難い振舞いも、その人ならではの、再発の前触れになっている可能性があります。

以上、今回は統合失調症の再発前の変化や問題を詳しく述べました。最後に繰り返しますが、そうした問題にあらかじめ警戒していくことは、ありがちな再発への大事な備えになる…ということは、皆さま、どうか、この疾患をよく理解したいときのチェックポイントにしておいて下さい。


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