100人に1人…もし身近な人が統合失調症と診断されたら

人々

100人に1人は発症する「統合失調症」。身近な人がこの病気と診断されたら、どのように対応すべきなのでしょうか?

統合失調症は代表的な心の病気のひとつですが、日常的にはあまりなじみがないかもしれません。

しかし、この病気の発症率は人口の約1%。100人に1人は統合失調症を発症すると考えられるので、思っているよりも身近にこの病気を持つ方がいらっしゃる人は少なくないかもしれません。そしてこの病気は誤解されがちな面もあるのも事実です。この病気をしっかり理解している人もそれほど多くはないのではないでしょうか。

そのため、統合失調症を発症された方が身近にいる際、どのように接したらいいかわからない場合もあるでしょう。場合によっては知らず知らずに、相手の気持ちを傷つけてしまうこともあるかもしれません。今回は統合失調症を持つ方に対する接し方のポイントを、その理由とともに分かりやすく解説します。
 

そもそも統合失調症とは? まずは病気を正しく知ることが大切!

統合失調症に限らず、一般に何かの病気を持つ方に接する際に戸惑うようなことがあるとすれば、その病気がどんな病気なのか、よく理解できていないことが多いと思います。また、その病気の何となくのイメージに戸惑う場合もあるかもしれません。

特に「心の病気」というとつかみどころがない病気のように感じられる人がいるのかもしれませんが、心といっても、一般には脳内の医学的問題が原因となる病気です。

統合失調症はその発症時には幻覚や妄想が現、現実と非現実の境を見失ったような状態になります。まわりの人は、こうした精神症状を当人の生活態度や人間性と結び付けてしまうかもしれません。しかし、統合失調症もまた、他の心の病気と同じく、脳内の問題が原因となって起こっているに過ぎません。具体的には脳内神経伝達物質が適切に機能していないといったことが原因です。

言い換えれば、それまでどんな生活をしてきた人でも、あるいはどんな人間性の方であっても、脳内神経伝達物質が適切に機能しなくなれば、この病気を発症する可能性がある、ということです。これは一般的な身体疾患、たとえば糖尿病が血糖値をコントロールする内分泌ホルモンに関連する問題が原因で発症するのと同じことといえると思います。

したがって、統合失調症の患者さんに対する接し方は基本的に他の身体の病気の患者さんに対する時と同様です。相手に優しい気持ちや同情が伝われば充分OKです。また、この病気に関しては、患者自身、まわりの人のなかに、自分の病気をよく分かっていない人もいることは、よく分かるものです。実際の状況では、相手の病気をよく理解していることが相手にはっきり伝わるような接し方も相手をより励ますことになるでしょう。
 

どんな言葉や態度が相手の心を傷つけてしまうのか?

統合失調症を発症された方に接する際、言葉や態度が知らず知らずのうちに相手の心を傷つけている可能性があります。そうなってしまう原因の多くは、病気に対する誤解にあるのではないかと思います。

実際、統合失調症の症状にはまわりの人が誤解しやすい内容もあります。特にその傾向が強くなるのが、陰性症状と呼ばれる症状のときです。

「陰性症状」とは、簡単に言うと、日常生活を構成する通常の精神活動や身体活動の一部が失われてしまう状態。具体的な状態にはかなりの個人差がありますが、例えばひとつひとつの動作がスローになってしまうことなども陰性症状の1つです。

こうした症状はまわりの人だけでなく、患者さん自身も病気の症状だと認識できていないことが少なくありません。そして、こうした症状に対して患者さん自身が対処できる余地はほとんどありません。しかし、まわりの人から見ると、本人の気持ちで対処できる問題だと思われてしまうようです。動作がスローなのを見て、「のろのろしないで」といった言葉が出てしまうと、相手の心を傷つけてしまう可能性もあります。

また、この病気をからかうような言葉も絶対に避けるべきです。患者さん自身も、身近な人の口からもしそのような言葉が出て傷ついてしまったのなら、相手の誤解を正すためにも、そうした言葉がどんなに心が傷つくのか、相手にはっきり言っておいた方が良い場合も多いと思います。
 

「死にたい」という言葉が出たら要注意

統合失調症において、死にたい気持ちはまざまな要因からしばしば現れる可能性があります。

統合失調症は妄想や幻覚といった精神病様症状だけでなく、気分や感情にも問題が現れることがあります。現れる時期は個人差がかなりあり、病気の発症前に予兆のように現れることもあれば、病気の最中に現れることもあります。あるいは治療によって、妄想や幻覚が落ち着いたあとに気分や感情の問題が目立ってくることもあります。その際は、うつ病のレベルになる事も少なくなく、死にたい気持ちも生じやすくなります。

場合によっては精神病様症状が直接的に自殺の引き金になってしまう可能性もあります。たとえば自殺をうながす幻聴が現われて、それが自殺につながることも、病状によっては起こり得る事です。

また、この病気から回復するということは、見失っていた現実と非現実の区別を取り戻すことになります。この病気の発症は一般に10代後半から20代のいわゆる青春時代です。治療を通じて現実検討力を取り戻していくと、この時期に、この病気になってしまった自分には、それまで思い描いていたような人生を送れないのではないか…といった絶望感が過剰に強まってしまうことがあり、それが自殺願望につながるリスクもあります。

このように統合失調症の患者さんはさまざまな要因から、死にたい気持ちが生じる可能性があるのです。この病気における自殺のリスクはおよそ10%近くもあります。もしこの病気を持つ方の口から、「死にたい」といった言葉が出れば、それは深刻な事態です。決して軽く聞き流さず、迅速に適切な対処を取りたいところです。

以上、今回は心の病気を持つ方への接し方として、統合失調症の方の場合を取り上げました。もしまわりにこの病気を持つ方がいらっしゃる方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
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