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父親が子供の親権を要求するケースも増加中!
最近は男親が親権を主張するケースも増えています!
まだ子どもが幼い場合、離婚が決まった夫婦のどちらが子どもを育てるか、話し合いでスムーズに決まれば、問題は少なくてすみます。
ですが、夫婦がともに「自分こそ親にふさわしい。だから、自分が子どもを引き取って育てたい」と主張をした場合、親権争いという形で子どもの奪い合いが始まることも少なくありません。
最近、とくに年齢が若い夫婦の場合、父親の側も親権をほしがる傾向があるように感じます。これは、育児が母親にまかせきりだったひと昔前とは異なり、いわゆる「イクメン」も増え、子どもが小さい頃から積極的にかかわっている父親が増えたことも関係があるようです。「自分が子どもをここまで育ててきた」というような、子どもに対する思いが強くある父親だからこそ、これからも継続して子育てをしていきたいという願望と自信があるのです。
裁判所により親権を決める際は、夫と妻の経済状態や生活態度、子どもへの愛情などが考慮され、両親のうちどちらが子どもを育てる環境にふさわしいか、が検討されることになります。
親権者は、子どもの年齢によっても変わることも
一般的には、母親が親権を持つケースが主流と言われていますが、子どもの年齢によっても親権者が変わることがあります。たとえば、子どもの年齢が0~9歳では、母親による身の回りの世話や教育、スキンシップなどが大切な時期とされています。そのため、親権者は母親になることが多いのです。子どもは幼いほど、社会的通念として「子どもには母親が必要だ」と考えられることがあることを理解しておきましょう。
子どもの年齢が10~14歳の場合、子どもの精神的や肉体的な発育によっては、子どもの意見を尊重して親権を決める場合もあります。子どもの年齢が15歳以上になると、子どもの意見を聞く必要があります。ただし、子どもが結婚している場合は、親権の指定はありません。
子どもの幸せは「お金」じゃない!
どちらが子どもを引き取るかでもめたケースのなかで、ときどき「私には経済力がないから引き取っても悲しい思いをさせてしまう。だから、本当は子どもと一緒に暮らしたいけれど、豊かな暮らしができる夫にまかせようと思います」などと、身を引いてしまう母親がいます。これが母親の本心からの考えなら、その選択は応援したいところですが、もしも「本当はどうしても子どもと暮らしたい」と思っていて、子どものほうも「お母さんと一緒にいたい」と思っているならば話は別。経済力のことより大切にしたいのは、「気持ち」でしょう。
なぜなら、ある程度の年齢までの子どもにとっては、「自分の家が金銭的に裕福かそうでないか」はそれほど大きな問題ではないことだと思っていることが多いからです。それよりも、大好きなお母さんに毎日抱きしめてもらえたり、一緒にいることができたりするほうが幸せと感じることも少なくないのです。
経済力がなくても、元夫から金銭面で援助を受けながら、母親が親権を持って子育てをしていくことも可能ですので、親権を決める際は自分たちの気持ちに妥協することなく、とことん話し合うことをおすすめします。
そこで次に、親権争いがきっかけで夫婦関係が変わった実例をご紹介します。
「親権争い」がきっかけで離婚をとどまった実例
子どもの幸せを最優先して考えた結果、離婚をとどまる結果になることも……。
■Aさん(30代後半・女性)のケース
「結婚当初から、夫婦関係はなんとなくギクシャクしていました。それでも『子どもができればうまくいくはず』と思い、5年前に出産。子育てをしてきたなかで、やっぱり価値観にズレがあるような気がして、子どもが4歳になった頃に『お互いにやり直そうか』ということで離婚を合意しました。ところが、夫も私も子どもが大好きで、子どもと離れて暮らすことなんて考えられなかったんです。子ども本人はまだよく事情がのみこめていないせいか、『パパもママも好き』と言って困った顔をするばかりでした」
……このように、「夫婦間で離婚には合意したものの、子どもの親権をめぐって話がこじれ、離婚話が進まない」ということで私のところに相談にきたAさんでした。
話を聞いてみると、この1年間はずっと親権を決められないまま三人家族としてそれなりに過ごしてきたとのこと。夫のことは「大嫌いというわけではないけれど、一生をともにするパートナーとは思えない」ということでした。ちなみに、夫婦どちらにもパートナー以外に好きな人がいるということはありません。
「家族それぞれが幸せになる準備期間」と考えて離婚を回避!
そこで私がアドバイスをしたのは、「別れると決めてからでも1年間という時間を一緒に暮らせたのだから、この先についても考え方を変えてみては?」というものでした。「一生、一緒に過ごす相手ではないから別れる」ではなく、「一生、一緒に過ごす相手が現れたときに夫婦として結論を出そう」という考え方もアリではないかと思ったからです。価値観が異なっても生活が一緒にできるのなら、無理に愛する子どもから大切な両親を引き離す必要はないのです。妻として見たときは「価値観の異なる男性」であっても、子どもにとっては「子煩悩なパパ」であることもあります。とくに「なにがなんでも別れたい」という理由もなく、夫婦ともに子どもの幸せを最優先に考えているのであれば、今、わざわざ離婚する必要もない、ということを伝えたのです。
その結果、Aさん夫婦は「子どもが成長するときの大切な時期を優先して考えよう。離婚という形ではなくても、夫婦それぞれ、家族それぞれの幸せのために自立する準備期間を考えよう」ということで、離婚をするのをやめたと言います。現在は、お互いに以前ほど相手に過度な期待をすることもなく、穏やかに暮らしているとのこと。
子どもの幸せを考えたとき、両親がケンカをしたりののしり合ったりしている姿を見せるより、穏やかに暮らしている環境をつくろうという共通のゴールを目指すことにしたAさん夫婦の出した結論でした。
離婚がすべてではないし、親権をとることがベストでもありません。大切なのは、家族がみんな幸せになることなのです。
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