夏のボーナスは前年比2.75%減
賃金動向調査の中間集計によれば、2017年夏のボーナスは支給額が5年振りに減額となる見込みです。全産業平均の支給額は2016年夏のボーナスと比較して2.75%の減少です。企業業績の改善などを背景に、支給額こそ2008年のリーマンショック前の水準は確保しましたが、円高の逆風により自動車など製造業が支給額を減らしたことなどにより、マイナスとなる模様です。春の労使交渉では主要企業が4年連続ベースアップを行ったものの、先行きに不透明感が高まっていることから、賃金の伸び幅は縮小などというように、勤労者の収入増は頭打ちになりつつあることがうかがえます。
景気は回復基調にあるとはいえ、収入が増えないことを考えれば今夏のボーナスはなおさら有効に活用しなければならないでしょう。
長期金利は底を打ったが低金利に変わりはない
1年前を振り返ると、昨夏のボーナス期には、日本銀行のマイナス金利政策により長期金利は底なし沼のように低下していました。その動きを受け、預貯金や債券の金利も大幅に低下したのはご存知の通り。地方銀行のインターネット専用支店の高金利定期預金ですから、1年物で0.3%を提示しているのは1行のみ。新窓販国債に至っては、唯一募集されていた10年物ですら、募集停止となってしまったのです。
長期金利が大幅に低下したことを受け、日本銀行は2016年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に政策を変更。政策変更により、長期金利が短期金利を下回ることが無くなり、その後、米国の長期金利急騰を受け、わが国の長期金利もプラス圏に浮上しています。
プラス圏に浮上したとはいえ、日本銀行は0.1%を大幅に上回るような長期金利の上昇を容認しているわけではありません。言い換えれば、超低金利が続いていることに変わりはないということです。ちなみに、長期金利は2016年7月上旬のマイナス0.3%で底を打ったようです。
夏のボーナスキャンペーン(特別金利)は期待薄
ボーナスといえば、ネット銀行などを中心とした「ボーナスキャンペーン(特別金利)」が注目されますが、残念ながら年々キャンペーンを行う銀行は減少。かつ、キャンペーンを行ったとしてもその金利は地方銀行のインターネット支店を下回っている状況が続いています。長期金利を考慮すれば、今夏のボーナスキャンペーンも高望みはできないでしょう。ボーナスキャンペーンに期待するより、地方銀行のインターネット支店の高金利預金を狙うべきでしょう。表は5月29日現在の高金利を提供している主な銀行です。預入金額が100万円とややハードルが高いですが、愛媛銀行四国八十八か所支店の「だんだん定期」が1年物で0.30%。高知銀行よさこいおきゃく支店の「よさこいおきゃく定期」、香川銀行セルフうどん支店「超金利トッピング定期」、トマト銀行ももたろう支店「スペシャルきびだんご定期」が1年物0.25%と続いています。この序列は当面変わりそうにありません。
債券は個人向け社債に期待?
債券に関しては、個人向け国債は3年固定、5年固定、10年変動共に全期間の金利が、最低保証金利の0.05%になっています(2017年5月募集)。ただ、長期金利が上昇した2017年2月募集ものは、10年変動が0.06%と0.01%ほど引き上げられました。長期金利の本格的な上昇は見込めませんが、長期金利が底を打っている以上、若干の金利引き上げはありえないことではありません。個人向け国債に預入れるなら、10年変動を利用すべきでしょう。なお、一部証券会社が行っている個人向け国債のキャンペーン(キャッシュバック等)は、財務省から金融機関に支払われる販売手数料が引き下げられたため、キャッシュバックの金額が引き下げられています。たとえば、今までは100万円あたり3000円でしたが、同2000円となっています(証券会社によって異なる)。
個人向け国債では、メガバンクの定期預金より金利は高いものの、その金利が0.1%を超えるようなことは当面考えにくいでしょう。0.1%超の金利を期待するなら、情報のアンテナを張り巡らして好条件の個人向け社債をゲットするようにすべきでしょう。個人向け社債などによる企業の資金調達は活発だからです。