日本のがんの死亡率は世界で3番目に高い

総務省統計局の「世界の統計2017」から死因別死亡率と医療費支出について調べてみました。各死因別死亡率は42か国(地域)を、医療費支出は93か国(地域)を比べており、人口に対する死亡数の割合が高い国(地域)と低い国(地域)を表にしています。数値の単位は人口10万人あたりの死亡数であり、死亡数の死因別割合とは異なります。また、調査年は国(地域)によって多少異なっています。

悪性新生物の国(地域)ごとの死亡率

悪性新生物の国(地域)ごとの死亡率


がんの死亡率が世界で最も高いのは男女ともにハンガリーで男性は378.0、女性は290.0となっています。ハンガリーの人口は985.5万人(世界の統計2017調べ)なので、男女合わせて約6.5万人ががんで亡くなっていることになります。日本は男性が高い方から3番目で350.4、女性も高い方から9番目で226.1となっています。

男性はハンガリーやラトビアと大差なく、日本はがん大国と言えるのではないでしょうか。死亡率の高い国(地域)は、男女とも日本を除いて全てヨーロッパの国々となっています。死亡率の低い国(地域)は男女ともエジプト、フィリピン、メキシコ、ブラジルの順になっていて、ハンガリーとエジプトでは9倍も差があります。食生活ががんに影響しているなら、ヨーロッパの各国や日本の食生活に何か改善すべき大きなポイントがありそうです。

循環器系疾患は東ヨーロッパ各国の高さが目立つ

循環器系疾患には心疾患や高血圧性疾患、脳血管疾患等が含まれています。
循環器系疾患の国(地域)ごとの死亡率

循環器系疾患の国(地域)ごとの死亡率



循環器系疾患で最も死亡率が高いのは、男性がブルガリアで女性はウクライナとなっています。死亡率が高い方には東ヨーロッパの国々が見事に並んでいます。死亡率が低い方は韓国、イスラエル、メキシコ等で、悪性新生物と同様に国(地域)によってかなりの差があることがわかります。日本は男性262.5女性279.9で比較的低い方になります。

呼吸器系疾患は日本が最も死亡率が高い(男性)

呼吸器系の疾患にはインフルエンザや肺炎等など。
呼吸器系疾患の国(地域)ごとの死亡率

呼吸器系疾患の国(地域)ごとの死亡率


呼吸器系の疾患では、男性は断トツで日本の死亡率が高く、女性でもイギリスと僅差の2番目になっています。死亡率の低い方は男女ともベラルーシで、特に女性はイギリスや日本の19分の1程度しかありません。アジアの国(地域)で呼吸器系疾患の死亡率が高いのは日本だけで、韓国は日本の3分の1以下しかありません。地域性より日本国固有の要因が何かありそうです。

消化器系疾患も東ヨーロッパ各国の高さが目立つ

消化器系の疾患には、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、肝疾患等が含まれます。
消化器系疾患の国(地域)ごとの死亡率

消化器系疾患の国(地域)ごとの死亡率


消化器系疾患の死亡率では、最も死亡率が高いのは、男性がルーマニアで女性はリトアニアとなっています。循環器系疾患と同様に東ヨーロッパ各国の高さが目立ちます。最も死亡率が低いのは、男性がアイスランドで女性はフィリピンとなっています。アジアの国は4か国(日本・イスラエル・韓国・フィリピン)しか比べていませんが、女性は日本を除く3か国が死亡率の低い国(地域)に並んでいます。

交通事故の死亡率は男女に大きな差がある

交通事故の国(地域)ごとの死亡率

交通事故の国(地域)ごとの死亡率


交通事故の死亡率は男女ともブラジルとロシアが目立って高く、低い方は西ヨーロッパの国々が多く並んでいます。死亡率の高い国(地域)と低い国(地域)の差がかなりあり、女性ではロシアはアイスランドの16倍にもなります。また、交通事故の死亡率は、他の疾病と違い男性と女性に大きな差があります。例えば、ブラジルは男性35.9に対し女性は7.7、アイスランドは男性7.4に対し女性は0.6しかありません。日本は交通事故による死亡数が以前よりかなり減っており、男性は低い方から8番目に入っています。

自殺・自傷の死亡率はリトアニアと韓国が高い

自殺の国(地域)ごとの死亡率

自殺の国(地域)ごとの死亡率


自殺・自傷の死亡率は、男性はリトアニア(56.7)が断トツで韓国、ロシア、ウクライナと続きます。女性は韓国(17.3)が断トツで、日本、リトアニア、ベルギーと続きます。韓国は男女とも死亡率が高く、日本も女性で2番目に入る等かなり高い方になります。死亡率が低い方は、男女ともエジプト、フィリピン、ギリシャの順になっています。自殺・自傷も国(地域)による差や男女の差が大きくなっています。

日本の医療費は公的支出割合が比較的高い

最後に医療費の支出に関して、「医療費の対GDP比率」「公的医療費支出の割合」「1人あたりの医療費支出」を調べてみました。医療費支出とは公的・私的支出の合計で、予防や治療に関する保健サービス対策等の費用も含みます。公的には、国や地方自治体等の公的機関の他、健康保険基金、海外からの借り入れや贈与等が含まれます。
国(地域)ごとの医療費支出

国(地域)ごとの医療費支出


医療費の支出がGDPに対する比率で最も高い国(地域)はアメリカ(17.1%)で、2番目とスウェーデン(11.9%)とは大きな差があります。日本は93か国(地域)の中で14番目に高くなっています。GDP比率が低い国(地域)はミャンマー(2.3%)を筆頭に10番目まで全てアジアかアフリカの国(地域)となっています。経済成長していくと医療費支出の割合が高まっていくようです。

公的医療費支出の割合が最も高い国(地域)はキューバで、実に95.6%にもなります。以下、オマーン(89.8%)オランダ(87.0%)タイ(86.0%)クウェート(85.9%)と続いています。キューバは社会主義国だからでしょうか?産油国や北欧諸国が比較的高い割合になっています。公的医療費支出の割合が最も低い国(地域)はコンゴ民主共和国で僅か6.4%しかありません。以下、カンボジア(22.0%)イエメン(22.6%)ウガンダ(24.9%)ナイジェリア(25.1%)と、アジアとアフリカの国(地域)の低さが目立ちます。日本は83.6%で10番目に高くなっています。国民としてはかなり恵まれている方なのかもしれませんね。

1人あたりの医療費支出では、多い方はスイス(9,674ドル)ノルウェー(9,522ドル)アメリカ(9,403ドル)スウェーデン(6,808ドル)デンマーク(6,463ドル)の順になっています。医療費支出が多い国(地域)では、公的負担が多ければ国の財政が厳しくなり、私的負担が多ければ病院に行きたくても行けない人が増えるのではないでしょうか。一方で少ない方は、コンゴ民主共和国(12ドル)ミャンマー(20ドル)マラウイ(24ドル)エチオピア(27ドル)バングラデシュ(31ドル)の順になっています。医療費支出が少ない国(地域)では、病気やケガをしないのではなく、病気やケガをしても病院へ行かない(行けない)人が多いのではないでしょうか。日本は3,703ドルでイギリスやイタリアと同程度になっています。それにしても医療費支出の差は国によって大きいですね。

他の国(地域)を知ることで、日本の現状を少しは知ることができたのではないでしょうか。将来、移住や転勤等で他の国(地域)へ行く人は、医療費が高額になる可能性や公的サポートをほとんど期待できないこともある等、日本とは違うということを十分に理解し、事前に心の準備だけでなく経済的な準備も万全にしておきたいものです。


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