企業年金制度と特別法人税の関係

企業年金制度はいろいろありますが、合計すると約80兆円にもなる大きな資産になっています。もちろん、従業員やOBの支払のために使われるお金であって、会社の勝手に使われることはないわけですが、それでも大きなお金が民間にストックされていることに違いありません。

この企業年金への掛金(積立金)は非課税で積み立ててよい、ということになっています。これは企業年金制度を採用してもらい会社員の老後の安定を促進するための支援策なのですが、資産が巨大になればなるほど、企業に対する課税が緩すぎるのではないか、という議論になります。実際に課税されるのは年金受け取りの時点ですので、新卒の学生であれば約40年後まで課税されないことになります。遠い話です。

そこで企業年金の積み立てについて一定程度の課税を行おうという整理になりました。1962年(昭和37年)のことです。金利状況や税率等を勘案して決められたのがこの1.173%という税率で、企業が企業年金に積み立てた資産に課税することとしました。名前は「特別法人税」となりました。

たかが1.173%ですが、されど1.173%です。しかも資産残高から引きますので、運用がうまくいこうがいかなかろうが、利回りが0.1%だろうが、10%だろうが、1.173%きっちり引いていくことになります。個人に対して資産課税をすることはきわめて難しいこととされていますが、企業年金については(相手が法人ということもあり)実行されていたというわけです。
ただ、当時は5~7%程度の運用が当たり前のようにできていた時代だったため、あまり問題になりませんでした。

この制度が想定したのは、適格退職年金という企業年金制度でしたが、21世紀に入って確定拠出年金制度の法律(および確定給付企業年金という法律)を作るときも対象とされる、としていました。
しかし、確定拠出年金(日本版401k)をスタートしたときには、この課税を行われることはありませんでした。なぜなら、1999年の春から特別法人税は凍結されていたからです。また、企業年金の積立不足が相次いでいる状況において特別法人税の課税復活は不適当であるという意見が多く、凍結の延長が何度も行われることになりました(2001年春より2年延長、2003年春より年延長、2005年春より3年延長、2008年春より3年延長…という具合)。

実は、2001年10月にスタートした確定拠出年金(日本版401k)では特別法人税が課税を行われたことは一度もないのです。実際に401kの口座をもつ人もこの法律については知らない人がほとんどだと思います。

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