年金

すぐわかる!年金額の計算方法 平成29年度版(3ページ目)

公的年金の額は、物価の変動や現役世代の賃金水準の変動に連動する仕組みとなっており、毎年4月に改定されます。2017年度の年金額はどうなったのか、年金額の改定の仕組みと年金額の計算方法を解説します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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2017年度の年金額の改定について

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なぜ年金額は毎年度見直されるのか、そのしくみをみていきます

それでは、最後に、今年度の年金額がどうしてこのような額になったのか、年金額の改定方法について、みておきましょう。

年金額の改定は、法律上規定されており、改定の方法は既裁定者(68歳到達年度以後の既裁定者)であるか新規裁定者(68歳到達年度前の新規裁定者)であるかにより異なります。原則として、既裁定者は、購買力を維持する観点から物価変動率により、改定することとされています。一方、新規裁定者は、現役世代の賃金水準に連動する仕組みとなっていて、名目手取り賃金変動率によって改定します。

2017年度についてみてみましょう。2017年度の既裁定者の改定率となる物価変動率は▲0.1%でした。一方、新規裁定者の改定率となる賃金変動率(名目手取り賃金変動率)は、▲1.1%となりました。賃金変動率(▲1.1%)、物価変動率(▲0.1%)がともにマイナスで、賃金変動率の下落率の方が大きくなっています。

年金額の改定については、法律上、物価変動率、名目手取り賃金変動率がともにマイナスで、賃金変動率が物価変動率を下回る場合、年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともに、物価変動率によって改定することとされています。

このため、2017 年度の年金額は、新規裁定年金、既裁定年金ともに、物価変動率(▲0.1%)によって改定されたわけです。
 
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 2017年度の年金額改正率について

なお、マクロ経済スライドは、2004年改正で導入された保険料上限を固定することと連動して、そのときの社会情勢に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整するために導入された仕組みです。少子高齢化への対応として、現役世代の将来の給付水準を確保することにつながります。

具体的には、賃金水準や物価水準の変動をそのまま年金額に反映するのではなく、保険料を負担する現役世代の人口の減少と給付を受ける高齢者の平均余命の伸びを勘案した率で調整します。ただし、下限措置があるため、マクロ経済スライドが実際に発動されたのは2015年度だけです。賃金・物価水準の変動率がプラスだったので、そこからマクロ経済スライドの調整率を反映して年金額が決定されました。

2017年度についても、マクロ経済スライドの調整率は▲0.5%となる予定でした。このスライド調整率(▲0.5%)は、現役世代が減少していくことと平均余命が伸びていくことを考えて、「公的年金全体の被保険者の減少率の実績(▲0.2%)」と「平均余命の伸びを勘案した一定率(▲0.3%)」で計算されます。ただし、マクロ経済スライドは、賃金変動・物価変動がプラスになった場合に発動されることになるため、今年度は、年金額が減額改定となったこともあり、マクロ経済スライドの発動(スライド調整率)も見送られました。現在の受給者世代の給付を考慮した措置となっています。

しかしながら、このことは、同時に現役世代の将来の給付水準を確保する取組みがまた足踏みしてしまったことを意味するともいえます。そこで、2018年度からは、公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するため、できる限り早期に調整する観点から、名目下限措置は維持し、賃金・物価上昇の範囲内で、前年度までの未調整分を調整することが予定されています。
 
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(厚生労働省 HPより) 


将来の公的年金の額がどのくらいなのか、50歳以上の人であれば、ねんきん定期便やねんきんネットで年金見込額を確認することができます。一方、50歳未満の人であれば、まだ見込額が表示されないため、ねんきんネットで見込額を試算することはできます。

いずれにしても、自分の将来のために、より豊かな老後を過ごすために考える最初の一歩は自分の公的年金を知ることです。それから、上乗せ年金を考えるなど、早めに検討していくのがよいでしょう。その際、自営業者やフリーランスであれば、将来受け取る年金額が確定していて、公的年金と同様、終身年金が基本である国民年金基金を選択肢のひとつとして検討してみるのもよいでしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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