食と健康

「米粉の用途別基準」を知れば米粉レシピも失敗なし!?

農水省から米粉製品に関する新たな表示ガイドラインが発表され、年内にも対応商品が発売される予定です。「新粉」「上新粉」などの分類で和菓子に使われてきた米粉ですが、最近はパンやケーキなど様々な食品に使用されています。小麦アレルギーで「グルテンフリー」を求める人からも支持されているようです。新基準を知って、米粉を上手にレシピに活かしましょう。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

米粉とは? 和菓子・パン・スイーツなど幅広い用途

米粉

消費が低迷するコメの活路が「米粉」。パンやお菓子、麺類、ホワイトソースなど、幅広い用途があります。

米粉とは「うるち米を砕いて粉にしたもの」です。長らく和菓子の材料として使われ、その目の細かさによって「新粉」「上新粉」など呼び分けられています。団子や柏餅、ういろうなどに広く使用されています。

日本では、1960年代からコメの消費量が減り始め、現代の一人当たりのコメ消費量は60年代と比べてほぼ半減しています。行政や関係団体はコメの消費拡大を目指し、パンやスイーツなどの加工品の用途を広げようとしてきました。

近年人気を集めた「米粉パン」は小麦粉のパンとは異なるもっちり・しっとりした食感が魅力となり、学校給食にも導入されています。米粉パン専用の稲品種が育成されるなど、行政の支援も行われ、ラーメン、カレーのルー、アイスクリーム、ホワイトソースなど、様々な料理に用途が広がっています。

農水省が策定! 米粉の用途別基準とは

しかし、製粉技術のバラツキや原料米の違いなどがあり、「異なる米粉を使うとレシピ通りに仕上がらない」といった指摘もあって、普及は道半ばです。農水省は2025年度の国内消費量の目標を10万トンとしていますが、近年の実績は約2万トンにとどまっています。

こうした背景から、米粉普及を後押しするため、農水省が新たに策定したのが「米粉の用途別基準」。この基準のポイントは2つあります。順にご紹介しましょう。

【米粉の用途別基準のポイント1】用途を明確に表示

1つ目のポイントは、用途を明確にしたことです。

小麦粉は、グルテンの違いによって「薄力粉(天ぷらやお菓子用)」「中力粉(うどん用)」「強力粉(パン用)」と分類され、消費者が小麦粉の性質の違いや用途について理解しやすくなっています。米粉も、このようにわかりやすいルールづくりがされる予定です(上新粉などの既存用途の米穀粉は対象外)。

2017年3月に農水省が発表した基準では「米粉中のアミロースの割合」に応じてタイプ分けをしています。アミロースは米に含まれるデンプンで、割合が高いほど食品が硬く、低いほど柔らかくなります。
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米粉をアミロース含有量別に大きく3つ(細かくは5つ)に分け、それぞれに適した料理がはっきりわかるようになっています。

  • 1番(アミロース含有量20%未満)……15%未満でシフォンケーキなどに適した「ソフトタイプ」と、15%以上20%未満でスポンジケーキ・天ぷらなどに適した「ミドルタイプ」がある
  • 2番(アミロース含有量15%以上25%未満)……パン全体に適する
  • 3番(アミロース含有量20%以上)……パスタなどの麺類に適した通常タイプと、強い弾力の麺に適した25%以上の「ハードタイプ」がある

【米粉の用途別基準のポイント2】「ノングルテン」強調表示が可能に

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パンの弾力や粘りは、タンパク質のグルテンによるもの。

新表示の2つ目のポイントは、「ノングルテン」の強調表示ができるようになったことです。

小麦粉のタンパク質の主なものがグリアジンとグルテニンですが、それぞれに異なる特性があります。グリアジンは弾力は弱くて伸びやすく、グルテニンは弾力が強く伸びにくい。この2つが絡み合って結びつくと、適度な弾力と粘りのある「グルテン」になります。

パンの場合、適度な量の水を加えてこねることで、グルテンが形成されます。イースト菌により発酵して炭酸ガスが発生して生地が伸びるのは、このグルテンの弾力や伸びのおかげです。うどんのコシや衣のとろみもグルテンによるものです。

米粉は、小麦アレルギーの原因となるグルテンを含まないので、米粉でつくられたパンやお菓子などの加工品は小麦アレルギーの人にも利用しやすい食品です。しかし、これまでは米粉パンをしっかり膨らませるために小麦を含む原材料が使用されるケースや、事業者の記載漏れなどのケースなどがあって、アレルギー事故が発生していました。

きちんと審査を受けて「ノングルテン」を明示することで、小麦アレルギーの人も安心して選ぶことができます。「ノングルテン」表示が可能となるのは、「グルテン含有量1ppm未満の米粉製品」であり、この範囲内かを第三者機関が検査します(「グルテンを含まない」という意味では「グルテンフリー」という言葉が一般的ですが、海外における「グルテンフリー」よりも基準値を厳しく設定しているため、「ノングルテン」と使い分けているとのことです)。

農林水産省によると、2017年5月にも業界や関連団体などで協議会をつくり、より詳細な取り決めや導入準備を進め、年内には新表示を使った商品の販売がスタートする見通しです(加工包装がないもの、例えばベーカリーのパンなどには表示がないのでお店の人に確認してください)。

ぜひ新基準をチェックして、料理やお菓子などに米粉を上手に利用しましょう。

■参考

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