「現代の和」が集結したGINZA SIXの着物ショップとは
GINZA SIXの着物ショップがスゴイ!
日本の良き伝統や歴史を継承しながら世界の最先端を取りこみ、商業集積地として日本のシンボルとなっている銀座。そんなエリアに新しいランドマークGINZA SIXがオープンしました。
ただ単に高価で高級なものではなく、人生を豊かに充実させてくれる、最高に価値のあるモノや体験を、唯一無二のエリアである日本・銀座から世界に発信するというスローガンは着物の世界にも通じるものがあります。
銀座は、そこを訪れる目の肥えた人たちの期待を裏切らず満足させる、新旧の和関連店がひしめくエリア。そんな場所で、今回出店のお店がいったいどのように和をアピールしていくのかと注目していました。
実際伺ってみると、ここには「現代の和」が集結している!そんな印象がぴったり。吹き抜けの天井には和紙が使われ、地下3階には能楽堂。そして「beyond japanese sweets」のコンセプトのもと桜、紫蘇、酒粕などを盛り込んだチョコレートだったりと「和」の素材に「洋」のエッセンスを加えた洋菓子まで……あちらこちらに「日本」がちりばめられていて、しかも、大人の街である「銀座らしさ」も充分に感じることができます。
今回は、その中でひときわ個性溢れる2つの着物ショップをご紹介します。
染と織の技の伝統を1枚のスカーフに込めるOKANO
着物を全面に出さない着物ショップ
今回このショップで注目すべきは、何と言っても「着物」を表面に出していないということ。六本木のawai by OKANOをはじめ、オーソドックスの中に常に革新を求める株式会社岡野が今回手掛けるのは、なんとスカーフです。
ぼかしの技術が活かされたスカーフ
さながらエルメスのスカーフ売り場を思わせる売り場は、従来の着物ショップとはかけ離れた空間。
着物ショップらしく一角には、江戸時代から続く大川の組子建具を採用した畳敷きの茶室も設置されていますが、その印象はどちらかというと薄めです。
お茶室にはやはり着物が掛けられている
今回発表されたこのスカーフは、博多織の織元であるOKANOらしく、着物の伝統柄をモチーフにした“DEN 伝“、平安時代の襲の色目を表現したKASANE 襲 、帯揚げをスカーフにしたAGE などの8つのシリーズがあり、中でも”KAI回”シリーズは、博多献上(独鈷花皿紋様)をモチーフにしたラインで、独鈷に込められた転生や魔除けの意味が込められています。
エルメスに負けないクオリティー
先日行われた「エルメスの手仕事展」を、感動と憧れを持って見た方も多いかと思いますが、このスカーフの中には、それにも負けない、いえそれ以上の技術が詰め込まれています。色彩、ぼかし、直線等々、日本でしかできない伝統技術。着物をつくり続けてきたブランドであるからこそ出来る、至福の一枚なのです。
その世界観に引き込まれたいJOTARO SAITO
JOTARO SAITOのモダンな店内
海外の著名人にもファンを持ち、そもそも既成の「着物」という概念では収まり切らないブランドであることは、誰しもが認めるブランドJOTARO SAITO。以前、ガイド記事「JOTARO SAITOに学ぶ“今っぽい”着物の小物選び」でも、時代の空気を取り入れる着物の小物テクとしてその着こなしを紹介しました。衿付きコートやファー、クラッチバッグなどを着物に合わせる、和洋MIXの感覚は彼ならではです。
そして、GINZA SIXのお店も、やっぱりその期待を裏切らない世界観です。店内に貼りだされたバービー人形のごとくスレンダーな女性店員の着こなし。これは、従来の着物を売っているという感覚の外にあります。
これから数多く訪れるであろう海外の人たちにも、「これなら自分にも着物が着られるのではないか」と思わせてくれるでしょう。
前衛的な色柄、コーディネートに見えて、誰にも似合うバランス感覚がある
JOTARO SAITOの世界観に引き込まれる
ところがどっこい、実はこのような色柄の着物は、前衛的で難しそうに見えながらも、私達日本人がやっぱり一番素敵に見えるよう計算しつくされてもいます。そしてこれは、JOTARO氏の得意技でもあるのです。
奥のスペースにカフェがある
売り場の奥にはカフェも併設されています。着物ショップに、パフェやアイスクリーム! そしてすべてがJOTARO色。ここまでやるか!の世界観。
ちなみにアイスクリームはテイクアウトが可能で、ちょっとした手土産にもオススメとのこと。JOTAROの世界観そのままに、ちょっと「和」のアイスで心使いを。着物で銀ブラの新定番になるかもしれません。
着物で銀ブラついでに立ち寄ってみませんか?
本来なら「和」の王道であるはずの、銀座の着物店。しかし今回オープンのお店はどちらも、良い意味でオーソドックスとはかけ離れた、いわば一筋縄ではいかないお店です。日本の伝統文化と都会の繁華街としての魅力を見事に融合しているこのバランスこそが、まさに「現代の和」と言えるのではないでしょうか。直球に少し飽きた、大人の女性にこそ是非立ち寄って欲しい2店。あなたの着こなしの幅を広げるヒントになること間違いなしですよ。