お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

39歳貯金300万。学費準備と住宅ローン60歳完済したい(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、住宅ローンと教育費に悩む2人のお子さんの母親。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 教育費の準備は十分に可能

まず、教育資金から見ていきます。

希望されているように高校まで公立、大学は私立でもいいが自宅通学できる範囲で、とのこと。そうなると、事前に用意すべきは大学費用となります。卒業までの4年間で大学にかかる費用は、私立文系なら平均で390万円、理系なら520万円。

対して、用意できる教育資金ですが、現時点でお子さん名義の預金が計300万円。他に学資保険が240万円ずつ。また、毎月の預金のうち、定期部分の1万2000円を教育資金とすれば、次男の方が高校卒業するまでに約180万円増えますので、このまま何もなければ(貯蓄ペースが維持できる、高校までは2人とも公立、など)、その時点で用意できる教育資金は計960万円。2人とも私立理系に進学しても、入学後も貯蓄を続けることで、学費は間に合うと考えていいでしょう。
 

アドバイス2 住宅ローンの返済期間短縮は借り換えも選択肢

ただ、教育費はさほど心配は要りませんが、住宅ローンは検討の余地が大いにありということになります。ご相談者のチップさんも心配されているとおり、ご主人の定年時までには終わらせたいところですが、このままでは完済は68歳。これは早急に手を打っておきたい課題です。

返済期間を短縮させる方法としては、繰上返済が一般的ですが、状況によっては借り換えも選択肢になります。超低金利の今、10年固定は低いところでは0.9%程度。20年固定でも1.2%程度。チップさんのローンに当てはめると、0.9%で借り換えた場合、毎月の返済額は7000円下がって月額で約6万9000円となります。

しかし、借り換え時に発生する諸費用(登記費用、税金、各種手数料など。総額は30万~70万円程度。ローン残高等で変わる)を考慮した上で試算しなくては、借り換えが「効果的」かどうかは決められません。

また、チップさんのケースは単なるローン負担の軽減ではなく、効果的な返済期間の短縮が目的ですから、借り換え時に返済期間を前倒して設定する必要があります。仮に、60歳完済に設定すると、10年固定金利0.9%なら、返済額は約10万円、20年固定金利1.2%なら約10万2500円となります。このアップが家計的にきびしいなら、完済を62歳もしくは63歳に設定(63歳の場合、10年固定で約8万5000円、20年固定で約8万7800円)し、その後は繰上返済も併用することになります。

63歳完済で借り換えたとしたら、この程度の上昇なら教育費は確保できるので、家計的に無理なプランにはならないはずです。

ただし、現在借りている住宅ローンは10年の固定期間があと1年で終了します。その時点で利用されている金融機関の10年固定、20年固定がどの程度の金利なのか。他の金融機関と比較して高くなければ、継続して長期固定で借り入れるということでもいいと思います。その場合、完済時期は68歳のままなので、より積極的な繰上返済が必要ですが、借り換えをした場合の手数料は発生しません。

どちらが得かは現時点では判断が難しいところ。事前に今利用している金融機関に相談する、さらには他の金融機関の金利状況も絶えずチェックし、諸費用や繰上返済の手数料も加味した上で総合的に考慮することが大切でしょう。
 

アドバイス3 車両費のコストダウンは今後の課題

では、教育費や住宅ローンの早めの返済も踏まえた上で、家計について見てみましょう。

支出で気になるのは「車両費」が大きいこと。2台保有は仕方がないとしても、毎月2万円、ボーナスで20万円ですから年間48万円が発生しています。今後、徐々に教育費や食費等が上がっていく中、家計をやりくりする上での大きな負担になりかねません。かかる費用の詳細はわかりませんが、今のうちに検討しておくと必要はあるでしょう。

保険については、ご主人の死亡保障が不足しています。保険期間10年、死亡保障1000万円は新たに確保したい。保険料は3000円前半といったところです。一方、お子さんの共済は不要だと思います。

目標とする貯蓄ペースとしては、チップさんのパート収入も上がるということですから、定期預金の積み立て分とは別に、住宅ローンの支払いが上がれば(借り換えで60歳完済した場合)現状と同水準、上がらなければ月7万円には頑張ってアップしたいところ。

ご主人が定年となるまでの16年間、その貯蓄ペースが維持できれば、今ある貯蓄と合わせて約1000万~1400万円。後者の場合、繰上返済分を差し引く必要がありますが、それでも退職金+1000万円程度が老後資金として用意できることになるはずです。

老後資金として足りるかどうかは、わかりません。しかし、実際はまだ老後までは気が回らないでしょうし、それで構いません。今言えることは、少なくともご夫婦とも65歳までは元気で働いて、少しでも収入を得ること。そのためには健康を維持することです。それが今できる、もっとも有効な老後対策だと考えてください。
 

相談者「チップ」さんから寄せられた感想

深野先生、忙しい中、解答してくださり、どうもありがとうございます。今、ちょうど、住宅ローンの借り換えを検討しておりましたところです。繰り上げ返済か、借り換えか悩んでいました。今回の詳細な解答で、後押しされました。借り換えを検討したいと思います!ありがとうございます!あと。主人の保険、子どもたちの保険も悩んでおりましたので、解決に向かいそうです。子どもたちの学費においては、安心しました。これからも、何とか継続できるように頑張ります!


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん 
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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