星野源が主演で話題!アニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』
2016年の最大のヒット作『君の名は。』をきっかけに日本アニメの勢いが止まりません。以前から世界中にファンが多いジブリアニメはじめ、アニメ人気はもともと高かったけど、その裾野が広がっているような気がします。2017年はアニメ映画がもっと増えそうな予感!というわけで、今回ご紹介するのは、星野源さんが声の出演をしているアニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』です。
物語のあらすじ
京都の大学に通う先輩(声・星野源)は、後輩である黒髪の乙女(声・花澤香菜)に片思い中。恋愛にオクテな先輩は、仲良くなる手段として「ナカメ作戦」を決行します。それは「ナ:なるべく・カ:彼女の・メ:目に留まる」という意味で、彼女が行く場所に先回りして偶然を装い距離を縮めようとする作戦です。しかし、乙女は天然少女で先輩の気持ちに気付いていない様子。マイペースな行動で、無意識のうちに先輩を振り回しています。そのうちに大学の仲間などが、先輩と乙女の間に入って来て、先輩はますますアタフタ。はたして先輩の恋は成就するのでしょうか。
アニメ界の天才クリエイター湯浅政明監督が放つ、色鮮やかな世界
それほどアニメに詳しくない人は、アニメの画風や世界観の違いは気にならないかもしれません。アニメ作品を見ようとするとき、SF、BL、ファンタジー、青春など内容によって選んだりしているのではないでしょうか。でも『夜は短し歩けよ乙女』を見たら驚きますよ。この映画のキャラクター原案は、原作者である森見登美彦の小説の表紙イラストを担当した中村佑介氏。鮮やかな色使い、ポップな画風、彼にしか描けない独特で美しいイラストは、何気にお洒落です。ワンシーンワンシーン、カラフルで可愛くて思わず飾りたくなります。
『君の名は。』を始め、リアリティを追求した背景に美しい光を加えた映像は、実在する場所を100倍キレイに見せますが、この映画はイラストにそれほどリアリティを与えず、どちらかといえばデフォルメさせている印象があります。
舞台は京都ですが、ファンタジーの中の京都で、これがマイペースすぎる黒髪の乙女の行動にピッタリマッチし、非現実感が彼女の天使性を高めているのです。先輩と一緒に観客も乙女に振り回されるような気持ちに。これに加えて、見た目かわいいけど”酒好き”という意外なキャラ設定も乙女の魅力になっています。
湯浅監督のTVアニメ『四畳半神話体系』再び
湯浅政明監督のアニメは、『MIND GAME マインド・ゲーム』を見たことありますが、本作とはまったく違い、可愛さ皆無です。声のキャストの顔をアニメーションの世界に落としていくシーンもあり、見たこともない不思議な世界が展開されていました。誰もマネできない湯浅監督の世界です。 しかし、一方、テレビアニメ作品『四畳半神話大系』は、原作者・森見登美彦、キャラクター原案・中村佑介と、本作と同じメンツ。ゆえに同じヴィジュアルが展開されています。テレビアニメでやってきたことを、劇場アニメで挑戦したのが『夜は短し歩けよ乙女』。ゆえにテレビアニメ『四畳半神話大系』を見ていた人にとっては、劇場で本作を見て「キタキタ~」という喜びがあるでしょう。
ただこのテレビアニメは深夜枠なので、知らない人も多いかも。ワタクシも含め、そういう人にとって、『夜は短し歩けよ乙女』は「こんなアニメもあるんだ~」という新たな発見なのです。
星野源が声の出演を決めたのは、湯浅監督ファンだったから
星野源さんが声の出演を決めたのは、湯浅監督からの直筆の手紙がきっかけだそうです。「ぜひ一緒に仕事を」と言う内容の手紙に、星野さんは監督と面識はなかったけれど、監督の大ファンだったゆえに「断る理由などありません」と快諾。そして星野源が演じる”先輩”が誕生したのです。”先輩の声は星野源さん!”と言われなければ、たぶん声が星野さんだと気付かなかったかもしれません。それくらい何も違和感なくハマっていました。星野さんはドラマ「逃げるが恥だが役に立つ」の大ヒットにより、超メジャーな存在になりましたが、御本人は今でも、こういったサブカルテイストな世界観を大事にされているのではないかと思いました。
映画やドラマの主演もするし、大きなホールでのコンサートもやるけど、選ぶ作品は自身の好みや世界を大切にしていくという。アニメ『夜は短し歩けよ乙女』は、そんな星野さんの湯浅作品への愛も詰まっているのです。
『夜は短し歩けよ乙女』