勢いをつけて新年度を迎えた銘柄には、ある共通点がある?
名実ともに4月相場入りとなりました。国内機関投資家が運用をスタートするなど、需給面の改善なども期待できる展開になるかもしれません。ちなみに、16年3月末と17年3月末を比較すると、日経平均は12.8%の上昇でした。日経ジャスダック平均が同23.7%上昇、東証2部総合指数は同36.8%上昇、昨年4月にピークをつけた東証マザーズ指数は同4.9%の上昇でした。総じて小型株が優位の展開でした。今年度はどんな相場になるでしょうか。
新年度の活躍銘柄を占ううえで、年度の最終日に昨年来高値を付けた銘柄に注目しています。新年度を前に高値を記録した企業は、新年度での活躍を期待している投資家が多い可能性があるためです。一般的に4月1日からは高値の基準が年初来になります。今年1月からの高値より、昨年16年以来の高値銘柄の方がトレンドは強いといえるでしょう。勢いをつけて4月を迎えた企業5銘柄をご紹介します。
キリンホールディングス<2503>
ビール「一番絞り」などが主力の総合飲料メーカーです。傘下には医薬品を展開する協和発酵キリンがあります。ビールの好調や新薬の拡大で、業績は順調に推移しています。海外事業では、不振のブラジル子会社の全株式を売却する方針。今後はアジアやオーストラリアに注力します。景気の影響に左右されにくいディフェンシブ銘柄としての位置づけ。バイオケミカル分野の拡大などで、18年度の営業利益1600億円以上(前期実績は1418億円)を目指しています。ソニー<6758>
大手の電機メーカーですが、ゲームやイメージセンサー、映画・音楽分野など幅広く展開しています。海外でのブランド力は絶大です。市場で注目されているのはイメージセンサーとVR(仮想現実)ゲーム機です。イメージセンサーとはレンズから入った光を電気信号に変換する半導体。人間の眼に例えると網膜に相当し、この性能がデジタルカメラの写真画質を左右します。ソニーは世界のトップメーカー。車載での搭載数増に加え、IoTが実用段階に入り、センサーの需要が一段と増加の方向です。プレステVRは品薄状態ですが、年末商戦では目玉商品になりそうです。東京エレクトロン<8035>
半導体製造装置で世界有数のメーカーです。半導体業界はスマホの高性能化や、次世代通信規格の5G導入の動き、モノのインターネットであるIoT普及で需要が増加しています。高性能化に対応するため、微細化、立体化の動きが出ています。微細化とは線の幅を細くしてチップに多くの情報を入れるようにすること。立体化は半導体メモリーを重ねて性能を上げようとするものです。いずれも新規の製造装置が必要になります。もちろん、業績も好調です。テクノプロ・ホールディングス<6028>
国内最大級の技術系人材サービスグループです。1万3000人を超える技術者・研究者を正社員で採用・育成します。そして、大手企業や大学、官民の研究機関などに派遣するビジネスモデルです。取引先は2000に近いようです。分野も機械や電気・電子、IT、バイオ、エネルギーなど、ほぼ全ての領域をカバーしています。少子高齢化や景気の回復などで人材不足が慢性化しており、同社へのニーズが高いです。また、国の働き方改革も追い風になっています。セーレン<3569>
繊維の精練(セーレン)が祖業で、繊維を使った様々な分野にビジネスチャンスを作り出して成長しています。繭の成分を加えた化粧品、人工血管なども手がけています。繊維の原料から染色加工、企画製造販売まで一気通貫で手がけているのは同社だけです。業績のけん引役は自動車のシート。高級外車はかつて皮製でしたが、手入れが困難で汚れやすいなどの欠点があります。同社は高度な技術で皮と同じ質感で、しかも手入れしやすい素材を提供しています。一方、AR(拡張現実)を使った衣料を販売。画面で自分のシルエットを見ながら柄や形状を選択。世界で1枚だけのオーダー衣料を作る仕組みです。【関連記事】
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●文:和島英樹(わじま・ひでき)