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家計の金融資産残高は過去最高の1800兆円に

家計の金融資産残高は、2005年以降で過去最高の1800兆円になりました。昨年10月以降の円安・株高により、外貨建て資産や株式などの評価額が膨らんだことによるものです。2016年12月末、家計の金融資産残高はどのようになっているのか見ていくことにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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家計の金融資産は1800兆円に

2017年3月17日に日本銀行が発表した資金循環統計によれば、家計が保有する現金・預金、株式などの金融資産残高は、2016年12月末に過去最高を更新して1800兆円になりました。前年同月比では金額にして18兆円、率にして0.9%の増加、2016年9月末と比較する金額にして47兆円、率にして2.7%の増加となっています。

家計の金融資産は過去最高に

家計の金融資産は過去最高に



2016年9月末と比較して急増したのは、トランプラリーによる円安・株高により、外貨建て資産や株式の評価額が大きく膨らんだことがその要因のようです。同期間に日経平均株価、円安(外貨高)ともに10%強の上昇があったことがその背景にあります。

各資産の状況を見ていきましょう。

株式は若干減少している

株高、円安が金融資産を膨らませたのは事実ですが、株式は2016年12月末と比較すると0.4%減少の167兆円となっています。日経平均株価こそ2016年の年間騰落率は若干のプラスでしたが、TOPIX(東証株価指数)はマイナスだったことが影響したのかもしれません。とはいえ、2016年9月末は1年前と比較して2.1%の減少だったのですから、かなり含み損を減少させたことがわかります。ただ、4半期連続して残高が減少していることから、株価は上値が重くなっていることが残高の推移からも見てとれそうです。

投資信託も3四半期連続して残高を減少させていたのですが、4四半期振りに残高はプラスに転じました。2016年12月末と比較して0.2%増の96兆円となっています。

株式、投資信託はぱっとしませんが、順調に残高を伸ばしているのが現金・預金と保険です。現金・預金は、2016年12月末と比較して1.8%増の937兆円になっています。1.8%増というのは、2016年の4四半期を通じて最も増加率は高くなっています。その前年の2015年12月末は4四半期を通じて最も増加率が低かったことから推測すると、2015年末は株式に期待して投資を増やし、2016年末は株式には期待できないので現金・預金を増やしたのかもしれません。

保険も2016年12月末と比較して1.5%増加の370兆円になっています。現金・預金と同じく、2016年の4四半期の中では最も増加率が高くなっています。昨年から標準利率(保険会社が予定利率を決める際の基準)の引き下げられることが決まっていたことから、駆け込みで貯蓄型保険への加入が増えたのかもしれません。2017年3月末の資金循環統計の数字を見れば、駆け込みの有無がわかると思われます。

債券の伸び率は鈍化

現金・預金、保険の残高の伸び率を見ると、安全・確実に運用する傾向が強かったと推測されますが、債券の増加率は鈍化しています。3四半期連続して増加しているものの、2016年12月末と比較して0.4%増、5兆兆円になっています。個人向け国債の利率は、相対的に定期預金よりも高いにもかかわらず残高の伸びが鈍化したのは、家計は流動性を重視して商品選びを行ったのかもしれません。

最後に各金融資産の金額(構成比)を記しておきましょう。

金融資産残高=1800兆円
現金・預金=937兆円(52%)、債務証券(債券)=25兆円(1.4%)、投資信託=96兆円(5.4%)、株式等=167兆円(9.3%)、保険・年金・定型保証=524兆円(29.1%)、このうち保険は370兆円(20.6%)、その他=51兆円(2.8%)でした。皆さんの家計の金融資資産残高は1年間でどのくらい増えましたか?


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