新しいコンセプトを打ち出すレジャーホテルが急増
ゲストから料金を徴収して宿泊させることを業とする場合には、旅館業法の許可が必要です。レジャーホテルも旅館業法の許可を受けています。旅館業法では「ホテル」「旅館」「簡易宿所」「下宿」と業態分類されており、レジャーホテルは「ホテル」または「旅館」で認可を受けています。レジャーホテルといえば、客室写真で選ぶタッチパネルや、客室に自動精算する機械が設置されているイメージを持つ方もいるでしょう。そのような特有の設備があるホテルは、風俗営業法の許可を受けています。規定されている条項から4号営業ホテルと言われています。一方、対面式のオープンフロントを設置し、鍵の受け渡しや料金精算なども対面で行う施設も見られます。詳述は避けますが、過去の風俗営業法改正の経緯に絡み、新法営業ホテルと呼ばれています。
参照:フロントのあるラブホテルが増えている理由
4号営業ホテルをラブホテル、新法営業ホテルをレジャーホテルと定義づけする向きもありますが、ラブホテルという伝統的な呼称そのものが、レジャーホテルという表現に移行していると見るべきでしょう(本稿ではレジャーホテルと表現します)。また、時々メディアなどで、風俗営業法許可オンリーのレジャー(ラブ)ホテル的な表現を見ますがこれは誤りで、前述のとおりレジャーホテルでも全て旅館業法の許可が前提となっています。
難しい話が続きましたが、近年目新しいコンセプトを打ち出すレジャーホテルが急増しています。そうした施設は新法営業のレジャーホテルというイメージですが、新法・4号にかかわらず、伝統にとらわれない新たなトライが多くみられます。ガイドはレジャーホテルも評論の範疇で、業界専門誌で連載など持っていますが、秀逸なコンセプトのレジャーホテル開業情報は毎月のように入ってきます。そこで今回は、従来のイメージを一新させる注目のホテルを紹介します。
レンタサイクルのあるレジャーホテル
ホテル プティバリ東新宿(東京都新宿区)
2017年2月に開業、早くも多くのゲストに支持され話題になっているのが「ホテル プティバリ東新宿」。首都圏を中心に展開する「ホテルバリアンリゾート」と同一の運営会社が手がける新コンセプトのホテルです。到着していきなり驚くのが、オープンエアのロビーラウンジとレンタサイクル。明治通りから1本入った人通りのある場所とはいえ、レジャーホテルが多くあるロケーションですから、その斬新さに驚きます。リゾート感溢れるハイセンスなロビーには無料サービスがたくさん。ドリンクバー、スイーツ、パンにスープまで全て無料です。なんと赤・白・ロゼワインも無料! そうそう前述のレンタサイクルも無料です。無料尽くしのジャブ攻撃で既にメロメロです。こうした仕掛けによりロビースペースへ自ずと足を運んでしまいます。ロビーラウンジでカップルがワイワイドリンクやスイーツを楽しむ姿もここでは当たり前。
客室をはじめ館内全体はバリがテーマです。リゾートの非日常感と共に、明るく清潔感の高い好感度ホテルと言えるでしょう。対面フロントで外出も自由。もはや一般のホテルと変わりありません。デイユース(休憩)も可能で、レジャーホテルの要素はもちろんありますが、リゾートホテル・シティホテル・ビジネスホテルなど様々なホテル業態のエッセンスが取り込まれています。
ホテル プティバリ東新宿
東京都新宿区歌舞伎町2-5-1
0120-759-105
スイーツショップのようなレジャーホテル
ホテル&スイーツ フクオカ(福岡市博多区)
2017年1月に開業、ここはスイーツショップか!? と話題になっているのが、その名も「ホテル&スイーツ フクオカ」です。4号営業ホテルですが、オープンフロントも設置。客室セレクトや精算はタッチ画面ですが、カードキーが発行され客室の出入りは自由で扉はオートロックです。白を基調とした清潔感溢れるイメージの外観はリゾート感も意識され、淫靡、妖艶といったイメージの強いレジャーホテルの雰囲気は皆無。そんな外観から一歩入ると驚きの光景が広がります。スイーツショップのようなロビーなのです。飲食も可能なカフェスペース、美味しそうなスイーツが並ぶショーケースが印象的です。ショーケースの後ろにはガラス越しのスイーツキッチンがあります。が、ショーケースのところには誰もいません。ショーケースの後ろにはトレーが置かれており、裏から扉を開けてスイーツを自らピックアップします。このシチュエーションで想像する光景は、ショーケースの前で彼女が指さすスイーツを向こうにいる彼がトレーにピックアップしている姿でしょうか。
スイーツはもちろん客室でも楽しめます。窓が大きくとられた明るい客室にはかわいい花が。また、ソファとテーブルの高さが食事をするのに抜群のバランスです。客室でルームサービスメニューを楽しむのはレジャーホテルの定番ですが、食事のしにくいローテーブルというミスマッチは多くみられます。
ガイドは評論家として、一般のホテルはもちろん、殊にレジャーホテルにはストーリー性が重要と指摘していますが、その点でも秀逸なホテル&スイーツ フクオカです。スイーツブッフェはデイユース・宿泊共料金に含まれており、滞在中何度でもスイーツを楽しむ事ができます。スイーツは毎日手作り。「プライドと自信を持って提供しています!」と高田行人シェフは語ります。立地は、福岡空港や九州自動車道の太宰府インター近くで、カップルばかりではなく一般ゲストのニーズも高そうです。
ホテル&スイーツ フクオカ
福岡県福岡市博多区金の隈3-11-24
092-583-3133
とかくクローズドなイメージのあったレジャーホテル業界ですが、異業態で成功する運営会社や、若き2代目経営者の斬新な発想とコンセプトを持つホテルの出現により、新たなステージを迎えつつあります。一方、まさにラブホテルというイメージの旧態型施設でもリニューアルするホテルは増加、利用者のニーズから生まれる新しいウエーブは更に続くことでしょう。