蚊はどうやってターゲットを感知するの?
同じ場所にいても、何箇所も蚊に刺される人もいれば、一箇所も刺されてない人もいます
本来、蚊は花の蜜や草の汁などを吸って生活しています。ところが5~10月の産卵期になると、卵に栄養を与えるために、メスだけが人や動物から血を吸うようになります。この産卵期のメスは、人や動物が発するさまざまな成分に反応して、吸血のターゲットを感知して寄ってくるのです。
蚊を引き寄せるものとして、人や動物が呼吸するときにはき出す二酸化炭素、熱(体温)、汗などはよく知られています。また蚊の色覚は白と黒のみで、暗くて濃い色を好んで寄っていきます。このような習性から、「汗をかいている人」「体温の高い人」「黒など濃い色の服を着ている人」は、蚊のターゲットになりやすいといえます。
なお、都市伝説のような「O型の人は蚊にさされやすい」という説は、実は本当のことのようです。ただし、はっきりした理由は不明です。一部の実験で、4つの血液型の中で、O型の分泌する成分が蚊を引きつけやすいという結果はありますが、その成分が何かは解明されていません。
蚊に刺されやすいのはどんな人?
蚊のターゲットになる条件、「二酸化炭素」「熱(体温)」「汗」「血液型がO型」から、刺されやすい人をさらに具体的に見てみましょう。■お酒を飲んでいる人
お酒を飲むと、皮膚の血管が広がって体温が上昇します。また体温が上がれば発汗も促されるので、さらに蚊を引きつけます。
■運動をしている人
運動をすれば体温が上がり、発汗も多くなります。呼吸数も増えるので、はき出す二酸化炭素の量が増えると、蚊を引きつける条件がすべて整うため、蚊にとって絶好のターゲットになります。
■子ども
子どもは体温が高く、代謝が盛んで汗をかきやすいため、蚊を引き寄せてしまいます。
■肥満の人
体の面積が広いため、刺される確率が高くなります。また肥満の人は汗をかきやすいため、格好のターゲットといえるのかもしれません。
■妊娠している人
妊娠中は普段より体温が高くなり、体の面積も広くなっています。とくに妊娠後期はお腹で肺が圧迫されるので、呼吸数が増えて二酸化炭素の量も増えるので、蚊に感知されやすくなるようです。
■日焼けしている人
蚊には白黒の色覚しかないため、色白の人より日焼けをした人に集まりやすい傾向があります。
生きている以上、呼吸をしないわけにはいきませんし、体温や汗も自分で調節するのはむずかしい。となれば、蚊に刺されるのは仕方がないと、諦めるしかないのでしょうか……。
蚊に刺されないための対策法・簡単にできる蚊避け
体質を変えることはできませんが、蚊が寄ってきにくくし、来ても刺されにくくする対策はできます。まず、自宅の庭やベランダには、蚊の産卵場所になる水たまりができないように、空き缶やバケツなどを放置しないこと。またベランダや玄関に虫除けグッズを置いておくと、蚊が家の中に侵入しにくくなります。外出時には、明るい色の服を着て、肌の露出を控えること。草地や木陰などに行くときは、ゆったりとした薄手の長袖や長ズボンを着用しましょう。肌が出ているところには、虫除けスプレーで対処します。裸足にサンダル履きの場合は、足元へのスプレーも忘れずに。また、汗の臭いで蚊を引きつけないように、こまめに拭きとりましょう。
ちなみに、蚊の種類によって、吸血する時間帯が異なります。一般にみられる蚊のうち、アカイエカは夕方から夜にかけて、ヒトスジシマカ(通称ヤブ蚊)は昼から夕方にかけて吸血します。
2014年の夏は、約60年ぶりに発生した、ヒトスジシマカが媒介するデング熱が社会問題になりました。蚊に刺されることは、かゆみや腫れが起こる不快な症状だけでなく、このように感染症になる危険もあります。できるだけ蚊に刺されないように注意をして、毎日を快適に過ごしましょう。
(監修:美と健康ガイド・蘇原 しのぶ(皮膚科・皮膚外科医))