京都の観光・旅行

京都で遅咲きの桜を楽しむなら、仁和寺の「御室桜」

桜の季節の京都に出かけてみたいけど、多くの場所で桜が見頃を迎える3月下旬~4月上旬に京都へ行くのは無理!という人に紹介したいのが、仁和寺(にんなじ)の「御室(おむろ)桜」。一般的な桜よりも10日ほど遅咲きの、背が低めな八重桜が多数、花を咲かせます。2017年の見頃時期や歴史などとともに、他にも京都で遅咲きの桜が楽しめる場所として、平野神社と原谷苑も紹介します。

森川 天喜

執筆者:森川 天喜

国内旅行ガイド

京都の遅咲きの桜として知られる「御室桜」の見頃は?

2017年の春、どこにお花見に出かけようか迷っている人におすすめしたいのは、やはり京都。

京都は一年を通じて、いつ訪れてもいいですが、春の桜の季節は格別。円山公園や平野神社、平安神宮、醍醐寺など、京都を代表する桜の名所は花見客で溢れかえります。

遅咲きで知られる仁和寺の「御室桜」

遅咲きで知られる仁和寺の「御室桜」


桜の季節の京都に出かけてみたいけど、多くの場所で桜が見頃を迎える3月下旬~4月上旬に京都へ行くのは無理!という人に紹介したいのが、仁和寺(にんなじ)の「御室(おむろ)桜」。一般的な桜よりも10日ほど遅咲きの、背が低めな八重桜が多数、花を咲かせます。

なお、ウェザーマップが発表した2017年の京都の桜(ソメイヨシノ)の開花予想は、平年並みとのことで、御室桜の見頃は4月10日前後になると思います。本記事の御室桜の写真は、すべて2016年4月10日に撮影したものです。

京都駅から仁和寺へ向かうルート

京都駅から仁和寺へ向かうのにおすすめのルートを2つ紹介したいと思います。

1つ目のルートは、京都駅からバスで金閣寺へ移動し、「きぬかけの路」を歩いて仁和寺を目指すルート。

きぬかけの路(写真提供:きぬかけの路推進協議会)

きぬかけの路(写真提供:きぬかけの路推進協議会)


きぬかけの路は、およそ2.5kmの観光道路で、沿道にある金閣寺、龍安寺、仁和寺という3つの世界遺産を楽しめることで人気があります。

2つ目のルートは、一部区間が路面電車になっていて、京都の街中を走り抜けるかわいらしい姿が人気の「嵐電(らんでん)」に乗って向かうルート。

嵐電の「御室仁和寺」駅

嵐電の「御室仁和寺」駅


京都駅からなら、JR山陰本線で「太秦(うずまさ)」駅に移動し、徒歩3分ほどの場所にある、2016年4月に開業した嵐電の新駅「撮影所前」駅から嵐電に乗り換えれば、仁和寺の最寄り駅である「御室仁和寺」駅まで4駅6分ほどです。

「御室桜」とは、どんな桜?

仁和寺の境内に入り、参道をまっすぐ進み「中門」をくぐると、左側に、樹高2~3mほどの八重桜が、200本ほど植えられています。これが、国の名勝にも指定されている御室桜です。

「中門」横に咲く御室桜

「中門」横に咲く御室桜


桜の木々の間に遊歩道が整備されており、御室桜は一般的な桜より背が低いため、本当に間近で花を楽しむことができます。

御室桜は一般的な桜より背が低いため、間近で花を楽しむことができる

御室桜は一般的な桜より背が低いため、間近で花を楽しむことができる


ところで、御室桜の「御室」というのは、どういう意味でしょうか。これは、仁和寺の別名「旧御室御所(おむろごしょ)」から来ています。

仁和寺を完成させた宇多天皇(在位:887~897年)は、退位後、出家して仁和寺に「室(むろ)」を設けて住まわれました。室とは僧房を意味し、尊称して「御室」と言ったのが、仁和寺付近の地名として定着しました。

御室桜と仁和寺の五重塔

御室桜と仁和寺の五重塔


その後、明治維新まで皇族が仁和寺の門跡(住職)になられ、仁和寺は「御室御所」と呼ばれるようになりました。

御室桜とは、御室御所、または御室の地に咲く桜、という意味なのですね。

次に、御室桜は、なぜ背が低いのでしょうか?

御室桜には、花(鼻)が低いことから、「お多福桜」の別名も

御室桜には、花(鼻)が低いことから、「お多福桜」の別名も


これについては、仁和寺のホームページにも書いてありますが、御室桜が植えられている場所の土壌が粘土質または岩盤質であるため、桜が根をのばせず、また、土中に酸素や栄養分が少ないのも原因ではないかとのことですが、詳しくは現在も調査研究中とのこと。

ちなみに、御室桜は、花(鼻)が低いことから、「お多福桜」とも言われます。

<DATA>
■仁和寺
住所:京都市右京区御室大内33
アクセス・地図:仁和寺ホームページ
仁和寺では、桜の夜間ライトアップは、例年行われていません

遅咲きの桜を求めて、平野神社と原谷苑へ

仁和寺の近隣で、他に遅咲きの桜が楽しめる場所として、平野神社と原谷苑があります。

平野神社は、古くから花見の名所として知られ、約400本、60種類の桜が植えられているため、3月中旬頃から長期間、花を楽しむことができ、夜桜のライトアップも行われます。

古くから京都で花見の名所として知られる平野神社。境内には、この桜が咲くと京都の花見が始まると言われる「魁(さきがけ)」という枝垂れ桜もある(2016年3月29日撮影)

古くから京都で花見の名所として知られる平野神社。境内には、この桜が咲くと京都の花見が始まると言われる「魁(さきがけ)」という枝垂れ桜もある(2016年3月29日撮影)


また、平野神社では毎年4月10日に「桜花祭」が催され、時代衣装に身を包んだ人々の行列が、街を練り歩きます。

毎年4月10日に催される平野神社の「桜花祭」(2016年4月10日撮影)

毎年4月10日に催される平野神社の「桜花祭」(2016年4月10日撮影)


次に紹介する原谷苑(村岩農園)は、個人所有の約4,000坪の桜の苑。一山すべてに桜が植えられ、この世のものとは思えないような素晴らしい景色が楽しめます。

見頃を迎えた原谷苑の桜(2016年4月10日撮影)

見頃を迎えた原谷苑の桜(2016年4月10日撮影)


原谷苑は、周囲よりもやや高度が高い場所に位置するため、全体的にやや遅咲きで、4月上旬頃からおよそ1ヶ月にわたって、様々な種類の桜が花を咲かせます。

<DATA>
■平野神社
住所:京都市北区平野宮本町1
アクセス:「御室仁和寺」駅から平野神社の最寄り駅である「北野白梅町」駅までは、嵐電で4駅5分ほど。「北野白梅町」駅から徒歩10分
地図:平野神社ホームページ

■原谷苑
住所: 京都市北区大北山原谷乾町36
アクセス:原谷苑へは、徒歩またはタクシーを利用。徒歩の場合、仁和寺から30~40分
地図:原谷苑ホームページ

【関連記事】
2017年京都の桜散歩に!東山エリアの桜の名所7選

【京都】天下人・秀吉が豪華な花見を催した醍醐寺の桜

花見の名所として人気の円山公園から桜咲く京都を歩く
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます