アジア最大級のキャンピングカーショー、「ジャパンキャンピングカーショー2017」が2月2日~5日、幕張メッセで開催されました。
一般の乗用車と違って、キャンピングカーはすぐ近所に売られているものではありません。全国各地のビルダー(キャンピングカーの製造者をビルダーといいます)の最新作が一同に会するショーは、さまざまなキャンピングカーを一度に見られる絶好の機会なのです。
今年のショーに出展されたキャンピングカーは実に341台。過去最高の台数です。軽自動車サイズから全長9mのヨーロッパ製大型モーターホームまで、価格的にも160万円台から2400万円台と、実に幅広くバラエティ豊かな展示となりました。
会場では、小さなお子さんを連れた若いファミリーからシニアカップルまで、様々な層の来場者が熱心に展示車両を見ていました。4日間の来場者数はこれまた過去最高の74259人。キャンピングカー人気の高さを裏付けています。
年々加熱するキャンピングカー人気。今年のショー会場を見渡して見えてきたのは「ますます進化・熟成してきた」キャンピングカー市場の成長ぶりでした。
今回はその進化・熟成ぶりを象徴するようなトピックスを、ご紹介しましょう。
リーフの技術を流用したバッテリーで、連続3泊4日も利用可能!
さて、今回のショーで特に注目を集めていた車両がふたつありました。まずひとつめが日産の「NV350キャラバン グランピングカー」。
この車は同社の電気自動車「リーフ」に搭載しているリチウムイオンバッテリーシステムを利用して、どこにいてもエアコンや冷蔵庫、電子レンジといった家電製品を、バッテリーの残量を気にすることなく使えるようにしたもの。しかも連続して3泊4日程度使えるといいますから、週末旅行には十分な容量と言えるでしょう(ちなみに車両自体はガソリンで走行します)。
キャンピングカーにとって、居室部分のバッテリーは快適に過ごすための生命線とも言えるポイントです。従来の鉛バッテリーより格段に性能が良いリチウムイオンバッテリーは、まさにキャンピングカーに最適なツールなのです。
さて、日産がこうした車を発表することで、いよいよ一般の自動車メーカーがキャンピングカーを製造・販売するのか? と思われた方もいたかもしれません。日産の真意としては、あくまでも、このバッテリーシステムを組み込んだ車両を「キャンピングカーの素材として」ビルダーに供給する計画なのだといいます。
日産リーフは既に世界で23万台も走っており、そのバッテリーシステムの信頼性は絶大なものです。しかもバッテリー部分の点検、故障、メンテナンス、リコールなどもすべて同社が責任をもって行うといいますから、今回の展示は画期的なトピックスとして、ビルダーの間でも話題になっているようです。
ヨーロッパでシェア70%以上を誇る人気車種が上陸?
もう一台注目を集めていたのがイタリア・フィアット社の「デュカト」です。デュカトといえば、キャンピングカーのベース車両としてヨーロッパではシェア70%以上を誇る人気車種。日本で言えばハイエースのような人気ぶりです。当然、これまでにも多くのデュカトベースのキャンピングカーが輸入されており、ヨーロッパ製ならではのデザインや高い走行性能が人気を集めています。
では、今回何がそんなに注目されたのかといえば、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)ジャパン株式会社が、デュカトを「ベース車両として」「正式に」「国内販売を計画している」という点です。
これまで輸入されてきたデュカトベースのキャンピングカーは、すでにキャンピングカーに加工された状態で日本に入ってきていました。中身はもちろん、ヨーロッパの事情に合わせたレイアウトになっています。もちろん、それはそれで魅力があるのですが、日本人のキャンピングカーの使い方からすると、ちょっと不便なところもあります。
もし、デュカトが素材(ベース車両)として販売されれば、日本のビルダーが独自にプランニングした居室を作ることができる。日本とヨーロッパの「いいとこ取り」のキャンピングカーが誕生する、というわけです。
「日産・NV350キャラバン グランピングカー」と「フィアット・デュカト」。両車とも、現時点で発売されるかどうかも未定ですが、どちらも本格的に登場すれば日本のキャンピングカー界にとっても大きなインパクトになりそうです。
どんどん進化を続ける、日本のキャンピングカー。これからどんな製品が登場するか、ますます楽しみです。
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