『ロキソニンS』は第一類医薬品の解熱鎮痛薬の一つ

ロキソニンS

『ロキソニンS』(第一三共ヘルスケア) 包装単位:12錠 メーカー希望小売価格は648円(税抜)

出先で急な頭痛に襲われた時などに助かるのがドラッグストアで販売されている痛み止め。ドラッグストアで販売されている一般用医薬品の中でもカゼ薬や抗アレルギー薬と並んで需要が高いのがこの痛み止めのカテゴリーです。専門的には「解熱鎮痛薬」と呼びます。

そのような一般用医薬品における解熱鎮痛薬の一つが『ロキソニンS』(第一三共ヘルスケア)です。『ロキソニンS』の有効成分はもともと病院でのみ処方されていましたが、2011年から一般用医薬品にも使用が可能となりました。ちなみに病院で処方される場合の商品名は『ロキソニン』(第一三共)であり、語尾の「S」が付きません。

『ロキソニンS』と『ロキソニン』の違いは?

上記のように『ロキソニン』は病院で処方される解熱鎮痛薬でした。では一般用医薬品の『ロキソニンS』とは何が違うのでしょうか? 結論から言うと『ロキソニンS』と『ロキソニン』の間に差はありません。

どちらも1錠中に有効成分のロキソプロフェンナトリウム水和物を68.1mg含有しています。しばしば一般用医薬品に転用された薬は有効成分が少なめに設定されていることがあるのですが、『ロキソニンS』に関しては有効成分の量も同じです。

『ロキソニンS』が効く症状は頭痛・腰痛・歯痛など様々

頭痛

『ロキソニンS』は頭痛や肩こり痛などに代表される幅広い痛みの症状に有効

『ロキソニンS』はとても幅広い痛みの症状に用いられます。具体的には下記のような症状に使用されます。
  • 頭痛
  • 月経痛(生理痛)
  • 歯痛・抜歯後の疼痛
  • 咽喉痛
  • 腰痛
  • 関節痛
  • 神経痛
  • 筋肉痛
  • 肩こり痛
  • 耳痛
  • 打撲痛
  • 骨折痛
  • ねんざ痛
  • 外傷痛
さらに『ロキソニンS』は鎮痛効果だけではなく「解熱」鎮痛薬ですので発熱時にも使用できます。列挙してみると本当に多くの痛みの症状に使用できる使い勝手の良い薬であることがわかります。しかしながら、その使い勝手の良さから、注意が必要な側面もあるのです。

『ロキソニンS』は胃痛・腹痛には使用できない

上記では『ロキソニンS』を使用できる症状を確認しました。ここからは『ロキソニンS』が使用できない症状や状態を下記に列挙しましたので確認してみましょう。
  • 『ロキソニンS』の成分を含んだ薬でアレルギー症状を起こしたことがある
  • 『ロキソニンS』の成分を含んだ薬でぜんそくを起こしたことがある
  • 15歳未満
  • 胃・十二指腸潰瘍、肝臓病、腎臓病、心臓病で治療中
  • 貧血や出血が止まりにくいといった血液の病気がある
  • 出産予定日12週以内の妊婦
  • 他のカゼ薬や解熱鎮痛薬、鎮静薬を服用している
  • 『ロキソニンS』服用前後での飲酒
  • 『ロキソニンS』を3~5日間服用しても効果が得られない
ここで注目していただきたいのが『ロキソニンS』は胃・十二指腸潰瘍には使用できないという点です。そしてすでに挙げた『ロキソニンS』が有効な痛みの中に「胃痛」と「腹痛」がないことに気付かれましたか?

『ロキソニンS』は色々な痛みに使用できるので、ついつい胃痛や腹痛にも対応できると考えてしまいそうですよね。

実際に私の営んでいる薬局に「胃痛が続いているので家にあった『ロキソニンS』を服用しているが良くならない」と訴えられるケースがありました。

『ロキソニンS』に代表される解熱鎮痛薬の多くは胃を保護している粘膜を減らしてしまう副作用があります。その中でも『ロキソニンS』は胃の負担を軽くするよう工夫された有効成分を含んでいますが、無視できるものではありません。

胃粘膜が減ってしまうと胃酸で胃が傷つけられてしまい、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの原因になってしまいます。つまり、先に紹介した方はまったく正反対のことをしていたことになります。

胸やけをともなうような胃痛には胃酸を抑制する『ガスター10』(第一三共ヘルスケア)、キリキリするような痙攣(けいれん)による胃痛を鎮めるには『ブスコパンA』(エスエス製薬)がより適しています。『ブスコパンA』は胃痛だけではなく、腹痛にも有効です。

子供は使用不可!『ロキソニンS』でライ症候群の危険性も…

子供と薬

子供に薬を服用させる際は必ず年齢制限に触れないかを確認することが重要

胃・十二指腸潰瘍などにくわえて、『ロキソニンS』は15歳未満の子供には服用できません。付け加えると『ロキソニンS』を含む非ステロイド性抗炎症薬というグループに属する薬は原則的に子供には使用できません。

その理由のひとつとして、子供がインフルエンザを含むウイルス性の感染症にかかった状態で非ステロイド性抗炎症薬を服用すると、ライ症候群という状態を引き起こしやすくなるからです。

ライ症候群は意識障害、嘔吐、けいれんなどを起こすもので、命を落とすこともあります。一般の方には子供が発熱や頭痛を訴えても、それがインフルエンザなどによるものなのか、それ以外のものなのかを判断することはできません。

万が一の事態を防ぐためにも、『ロキソニンS』を含む非ステロイド性抗炎症薬を子供に服用させてはいけないのです。

『ロキソニンS』以外の非ステロイド性抗炎症薬としては『バファリンA』(ライオン)、『イブ』(エスエス製薬)、『ノーシン』(アラクス)、『セデス・ハイ』(シオノギヘルスケア)などが挙げられます。さらに多くのカゼ薬(総合感冒薬)にも非ステロイド性抗炎症薬が含まれているので要注意です。

知人のお母さんが子供の発熱に『バファリンA』を服用させたと偶然聞いたとき、ドキッとした記憶があります。「胃にやさしい」「半分はやさしさでできている」というキャッチフレーズから特にマイルドなイメージがある『バファリンA』ですが、子供にはNGです。

子供も服用できる解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンを含むもの

逆に子供でも服用できる解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンという成分を含んだ薬です。一般用医薬品において子供に適した量のアセトアミノフェンを含むものは『小児用バファリンCII』(ライオン)や『小中学生用ノーシンピュア』(アラクス)などが挙げられます。

多くの場合において「小児用」や「ジュニア」といった子供向けを明示したフレーズが使用されていますので確認してみましょう。

胃弱の方は『ロキソニンS』と一緒に胃粘膜保護薬の併用を

やや『ロキソニンS』の話から脱線してしまいました。ここからは再び『ロキソニンS』に戻ります。『ロキソニンS』は優れた解熱鎮痛薬ですが、どうしても胃粘膜を減らしてしまう欠点があります。

もし胃の調子が良くない、または胃弱気味の方は『ロキソニンS』と一緒に胃粘膜保護作用がある『セルベール』(エーザイ)などと一緒に服用するのが良いでしょう。『ロキソニンS』にこだわらないのであれば、上記で登場したアセトアミノフェンを含む『タイレノール』(ジョンソン・エンド・ジョンソン)が勧められます。この理由としてアセトアミノフェンは胃への刺激が相対的に弱いからです。

『ロキソニンS』の相談は必ず薬剤師に

ここまで本記事を読んでくださった方には「自分には『ロキソニンS』が合っているのか判断できない……」と心配されるかもしれません。一方で『ロキソニンS』はドラッグストアで購入する場合、薬剤師から説明を受けることが義務付けられている第1類医薬品に分類されます。

したがって、購入の際は「何を目的に使用するのか」「誰が使用するのか」「現在の健康状態」を中心に薬剤師に伝えてみましょう。きっと適切なアドバイスが受けられるでしょう。

逆に薬剤師の説明を聞き流してしまうと予期せぬトラブルに見舞われてしまうかもしれません。『ロキソニンS』に限らず、薬剤師からのアドバイスに加えて説明書もしっかり読んでから、適正な使用を心がけてください。

副作用を確認し、説明書は必ず保管を

『ロキソニンS』に限らず、薬は適正な使用をしていても副作用が起こってしまうことがあります。副作用の発生は服用する方の体質やその時の体調などにも左右されてしまうからです。

その一方で素早く薬の服用を中断したり、病院を受診することで副作用のダメージを抑えることは可能です。

したがって、薬剤師から購入時に説明を受けていても、薬を服用する前にはご自身で必ず説明書における副作用の欄に目を通してください。少なくとも、説明書は薬と一緒に保管しておきましょう。

くわえて未知の副作用を防ぐ意味でも、薬を服用している間はいつも以上に体調の変化に気を配ってください。実際、2016年には強い腹痛や吐気をともなう腸閉塞などが『ロキソニンS』の副作用に追加されています。

しかしながら、重篤な副作用は高頻度で起こるものではありません。そもそも、そのような薬は薬として認められ、販売することはできないからです。副作用に対しては過剰に心配するのではなく、どのような副作用があるのかを把握し、副作用が疑われるときはまず購入した薬局に問い合わせをしましょう。

『ロキソニンS』の価格・ネット通販での購入可否

最後に『ロキソニンS』の価格ですが、2017年3月現在、12錠入り『ロキソニンS』の希望小売価格は税抜きで648円です。1回の服用が1錠ですので、単純計算で1回分は54円(税抜き)となります。

ドラッグストアはもちろん、ネット通販で購入することも可能ですが、『ロキソニンS』が含まれる第1類医薬品をネット上から購入する場合、薬剤師とメールなどで相談ができるようホームページを構築することが義務付けられています。購入の際、疑問に思うことがありましたら対面販売と同じように必ず薬剤師に相談しましょう。
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