ジェネリック医薬品(後発医薬品・後発薬)とは

医療費

ジェネリック医薬品に変えると自己負担の薬代は軽減される

処方箋を持参した薬局で、「お薬代が安くなりますしジェネリックに変えましょうか?」と勧められた経験、皆さんはありますか? テレビCMや新聞などでも紹介されるなど、以前以上に見聞きする機会が増えた「ジェネリック医薬品」。

一方で「薬局で説明を受けたけれど、メリットがよく理解できなかった」「薬代が安くなると言われたけれど、安い薬は副作用がありそうで不安」といった意見もしばしば聞かれます。

本記事ではそのような疑問に答えるべく、具体例を挙げながらジェネリック医薬品のメリット・デメリットについて、特に多くの方が気になる「お金」「質」にフォーカスして解説していきます。

ジェネリック医薬品の定義……有効成分は同等で安価な後発薬

薬

ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分が含まれている

そもそもジェネリック医薬品とは「先発医薬品の特許が切れた後に販売される、有効成分が同等で価格が先発医薬品よりも安価な薬」と定義されます。しばしばジェネリック医薬品は「後発医薬品」「後発薬」とも呼ばれます。

ここで早くも「先発医薬品」や「有効成分」、そして「特許」といったよくわからない言葉が出てきましたね。ここからはわかりやすくするために具体例に沿って説明をしたいと思います。

病院受診後、薬局でジェネリック医薬品を処方される流れ

薬剤師

ジェネリック医薬品に変更希望の場合は処方箋を渡す際に伝えると良いでしょう

それでは、病院受診後、薬局でジェネリック医薬品を処方されるまでの流れを具体的にみてみましょう。

例えば、数日前から頭痛と喉の痛みに加えて、微熱が続いているAさんがいるとします。Aさんは近くの医院を受診しました。お医者さんは一通りの診察を行い、肺炎やインフルエンザなどではなく風邪と診断。

Aさんは鎮痛作用と解熱作用を持つ「ロキソニン錠60mg」のみが記載された処方箋を受け取りました。

調剤薬局で処方箋を出すと、薬剤師さんから「お薬代が安くなりますしジェネリックに変えましょうか?」と聞かれます。Aさんは「よくわからないけれど、安くなるのなら……」と考え、「では、お願いします」と伝えます。

ほどなくして薬剤師さんが薬を調剤し終えて戻ってきました。服用方法の説明を受け、他に服用薬はないかなどの確認のやり取りを終えて帰宅。

帰宅後に、さてロキソニン錠を服用しようと薬を取り出し、Aさんは錠剤のパッケージに「ロキソプロフェンナトリウム錠60mg日医工」と書かれていることに気づきます。

「あれれ!? 名前が変わってる? なんで全く違う薬に変えられてしまったんだ……」 Aさんは不安になってしまいました。

Aさんのエピソードはここで一旦終わります。ここからは上記を具体例としてジェネリック医薬品の正体に迫って行きます。まず、結論ですがAさんのお薬は「変わっていますが、変わっていない」のです。

特許で守られている先発医薬品……独占的に販売できる新薬

開発

先発医薬品の開発には数百~数千億円の費用と十年単位の時間を要する

医薬品は工業製品などと同様に研究開発の末に生まれてくるものです。例えば上記の例で登場した「ロキソニン錠」は製薬会社の三共(現在は第一三共)が生み出し、1986年から販売を開始したものです。

「ロキソニン錠」は固有の製品名であり、この薬に含まれる有効成分の名前が「ロキソプロフェンナトリウム」なのです。有効成分の名前は「一般名」とも呼ばれます。

この場合、三共はロキソプロフェンナトリウムの特許を取得し、製造を行います。そして販売する際のブランド名を「ロキソニン」と名付けたわけです。

この時点で「他に先駆けて」特許を取得して販売にこぎつけた、ロキソプロフェンナトリウムを有効成分とする薬はロキソニンだけです。つまりロキソニンは「先発医薬品」となります。先発医薬品は「先発品」「新薬」とも呼ばれます。

広辞苑によれば特許とは「新規で有益な発明について特許法に基づいて独占権を付与すること」と定義されます。このケースにおいて「新規で有益な発明」とは鎮痛作用などを有するロキソプロフェンナトリウムのことを指しています。

特許に守られているため、他の製薬会社はロキソプロフェンナトリウムを有効成分とする医薬品は販売できません。つまり、ロキソプロフェンナトリウムをロキソニンのブランド名で世に出した三共は同薬を独占的に販売し、利益を上げることができるのです。

特許切れとジェネリック医薬品の登場

しかしながら、特許による保護期間は永遠ではありません。一定期間が過ぎると「特許切れ」になってしまうのです。上記の具体例で挙げたロキソプロフェンナトリウムの独占権もすでに失効しています。

つまり、特許が切れればロキソプロフェンナトリウムを有効成分とする薬を他社でも作ることができるようになるのです。

そして他社が「ロキソニンはよく売れたみたいだから需要は高そうだ」と判断すると、ロキソプロフェンナトリウムを有効成分とした医薬品が登場するのです。

特許

ジェネリック医薬品は先発医薬品の有効成分が特許切れになることで登場する

このように、先発品の有効成分の特許が切れた後に生み出される医薬品が「ジェネリック医薬品」なのです。ジェネリック医薬品といえども各社ごとに「ロキソニン」のような固有のブランド名が存在します。

しかしながら多くの場合、ブランド名は「有効成分の名前(一般名)+会社名」のように控えめな(?)名前に落ち着きます。

上記のAさんの例で登場した「ロキソプロフェンナトリウム錠60mg日医工」も日医工という製薬会社が販売しています。

したがって、具体例でAさんが受け取った薬は先発医薬品から後発医薬品、つまりジェネリック医薬品に変わっています。一方、ジェネリック医薬品になっても薬の有効成分は変っていないのです。

ちなみに「ジェネリック(generic)」とは「一般名の」「ノーブランドの」といった意味があります。

ジェネリック医薬品が安い理由

調剤薬局で受け取る保険が適用される医薬品の価格は国が定めています。これを「薬価」と呼びます。つまり、製薬会社は価格決定権を持っていないのです。

ジェネリック医薬品は販売されるにあたり先発品よりも必ず安い薬価が設定されます。
これはジェネリック医薬品の有効成分は既存のものであり、製造や販売にあまりお金がかからない点を考慮しているからです。

国会

保険適用される医薬品の価格は薬価という公定価格になっている

薬価が安いジェネリック医薬品が普及すれば、私たちが自己負担する、基本的に3割負担の薬代も安くなりますし、残りの国が負担する医療費も結果的に軽減されることになるのです。

財政状況が厳しい今日の日本において医療費の削減を避けて通れません。したがって、国はジェネリック医薬品の普及を強く後押しするのです。

一般的にあまり知られていませんが、国はジェネリック医薬品の普及率を上げるため、一定割合のジェネリック医薬品を使用した調剤薬局に対してインセンティブ(つまりはお金)を与える仕組みも導入しています。

ジェネリック医薬品の質……安全性・危険性はどうなのか

繰り返しになりますが、先発医薬品とジェネリック医薬品との間に有効成分の差はありません。したがって、薬学的に「ジェネリック医薬品は先発医薬品の劣化版」「副作用などの危険性がより高い」「成分が薄いから効果が弱い」といった陰謀論的な批判は的外れなものになります。

薬

ジェネリック医薬品は使用されている添加物などが先発医薬品と異なる

一方、先発医薬品とジェネリック医薬品とでは有効成分以外の添加物、形状、味、印字などが各社によって異なることもまた事実です。しかし、この点はデメリットに直結するものではありません。

ジェネリック医薬品が販売されるにあたり、しっかりと錠剤から有効成分が溶け出すかなどの基礎的なテストをパスしたもののみが承認されるからです。

ジェネリック医薬品が使えないケース

ジェネリック医薬品が使えないケースとしては、まだ先発医薬品の特許が有効な場合です。先発医薬品の有効成分が特許で守られている期間内はジェネリック医薬品の製造ができないからです。

調剤薬局においてジェネリック医薬品をお願いしても、一部の薬が先発医薬品のままなのは多くの場合「先発医薬品の特許がまだ有効」のケースに当たります。

ここから見えてくるのは、ジェネリック医薬品のデメリットを負うのは基本的に先発医薬品を販売している製薬会社のみという構図です。特許が切れればより安い薬価のライバルであるジェネリック医薬品が登場し、シェアを切り崩されてしまうからです。

崖

パテントクリフに転落するか回避するかは企業にとって死活問題となる

やや脱線してしまいますが、経済学用語で特許が切れることでライバル製品が登場し、収益が激減してしまうことを「パテントクリフ(特許の崖)」と呼びます。

企業はパテントクリフに転げ落ちずに生き残るために、継続的に新製品を開発しなければならないのです。

ジェネリック医薬品についてのまとめ

これまで解説を進めてきた通り、調剤薬局でジェネリック医薬品を勧められても過度な抵抗感を抱く必要はありません。

患者という立場からはジェネリック医薬品のデメリットはないからです。私もジェネリック医薬品を勧められれば変更をお願いしています。

国としても医療費の削減につながるので、今後もジェネリック医薬品拡大の機運はさらに高まっていくでしょう。本記事をご覧になって、少しでもジェネリック医薬品への不安感や偏見が取り除ければ幸いです。
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