お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

40歳子ども2人。家賃収入が15万あるのに貯蓄できない(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、貯蓄が思うようにできず、教育資金と老後資金に悩む40代の会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現状では教育費で貯蓄がなくなる

まず教育資金が用意できるかどうかを見ていきます。親としては大学までオール国公立を希望されていますが、高校から私立という可能性もあるとのこと。

私立高校に通う学生の年間平均学習費(学校外費用も含む)は約100万円ほどですから、3年間で300万円。また、大学については、進路を私立文系とすると4年間でかかる費用は平均390万円、理系だと520万円。したがって少なくとも2人合わせて1400万~1600万円、教育費として見ておく必要があります。

学資保険は上のお子さん名義で2本加入されていて、受け取る満期金、祝金の合計は506万円。学資保険代わりに加入している終身保険の解約返戻金150万円をそれに加えると、保険によって656万円が用意できます。

貯蓄は毎月の家計支出の変動が大きいようなので、毎年ボーナスから確実に貯蓄できている10万円のみを上乗せすると、下の子が大学入学となる8年後までに80万円が貯蓄増となりますから、貯蓄総額は980万円。大学までの費用がもっとも高くなるであろう進路を想定しても、何とか足ります。逆に言えば、このままの家計管理が続くと、お子さんの教育費だけで貯蓄が底をつく可能性があるということです。
 

アドバイス2 イベントは予算管理、貯蓄は先取りで

教育費が発生しなくなってから、老後資金を用意することもできます。ただし、下のお子さんが大学を卒業するとき、ご主人は55歳、奥様は52歳。ご夫婦揃ってまとまった退職金を手にできればいいですが、そうでなければそこから老後資金を用意することは、きびしいものがあります。そうなると、ご相談にあるように、もっと貯蓄ペースを上げていくことが、結果的に老後対策につながります。

貯蓄ができない要因は、ひとことで言えば「それだけ使っている」からです。あるいは「世帯収入が多いので、支出も多い」とも言えるでしょう。

年間で貯蓄にまわったのが、昨年は60万円とのこと。つまりは、昨年の世帯収入が手取りで約690万円ですから、支出は630万円ということになります。月割りにすると52万5000円。まず、毎月このくらいを支出していることを認識しなくてはなりません。

その上で、何が大事で何であれば削れるのか。支出に優先順位を付けるのは難しいかもしれません。しかし、貯蓄するには避けて通れない作業です。おそらく、貯蓄ができない要因としてピックアップされた家族のイベントを見直すことになるでしょう。お金をかけない工夫と同時に「我慢」も必要になります。

確実に貯蓄をしていくには、目標額を設定して、先取り貯蓄していくことが効果的です。そのためには、旅行等の不定期支出は予算を組み、その範囲でやりくりしなくてはいけません。できれば毎月3万円、ボーナスからは支給額の半分程度を貯めることができれば、年間100万円。ひとつの目安にしてみてください。
 

アドバイス3 「親の介護は親のお金で」が原則

ご心配されているお母さんの介護ですが、かかる資金を負担したい気持ちはわかります。しかし、マネープラン的な考え方は「親の介護は親のお金で」が原則です。介護のために時間を使うことはあっても、よほどの事情がない限り、自分たちの資金まで使うべきではありません。親の資産(年金や貯蓄)と公的介護保険で行うべきなのです。

理由は、往々にして、子どもの資金を親が頼ってしまうということ。そして、一般的に、親より自分(子)の方が長生きするからです。また、もしお母さんが要介護になった場合、自分たちの老後資金を集中的に貯める時期と重なる可能性もあり、そうなると大きくマネープランが異なってしまいます。

もうひとつ、実弟の方の経済的支援については、障害があるとのことですから、確かに難しい問題です。しかし、親御さんの介護といい、何から何まで自分で背負うのはあまりにリスキーです。他にご兄弟の方がいれば、こういった家族の世話は分担すべきです。障害年金が受給できれば、それを利用することもできるはず。自治体の支援制度等も調べてみてください。
 

相談者「ちったい」さんから寄せられた感想

深野先生のおっしゃるとおり、やはり「それだけ使っている」ということですね(汗)。夫と私の収入が高かった時の癖が抜けきっておらず……かつ家賃収入があり、どこかで気を引き締めて生活していく気持ちが欠けていたようです。毎年、旅行やレジャーなどはこれくらいの予算と決めてもつい「せっかく行くから」と予算オーバーもしばしば。今まで、それでも何とかなると思ってましたが、このままでは教育費で貯金が底をつくという言葉にはっとしました。自分たちの老後費も余裕があるわけではないのに、実家を手助けしなきゃいけない。と一人で悩んでましたが、不安になる前に行政支援や介護保険などを調べること、自分の貯金をつぎ込まないことなど改めて考えなおすことができました。まずは、いただいたアドバイスを忘れずに月に3万ずつ年間で100万ためることを着実に積み重ねていくことを肝に銘じていきます。


教えてくれたのは…… 

深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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