ギリシャが犯した罪
引き続き、「運用のプロが教える草食系投資」を共著で書かれた、セゾン投信の中野さんに話を聞いています!
中野:ルールを破ってもいいじゃんって思ったギリシャは、当然国債を発行して放漫財政を始めてしまったんです。たとえば、公務員の給料を上げたり、贅沢し放題だったのでしょう。公務員の数すら把握できていなかったようですね。
ガイド:そもそも、なぜこんなことができたんですか?
中野:それは、ユーロ建で簡単に借金ができたからです。その背景には、ユーロの金利の安さ、加えて、ギリシャはユーロ圏の国として、安心マークがついていたということがあるでしょう。
ガイド:つまり、ギリシャはどんどん国債を発行→放漫財政加速→借金膨張という、とんでもないストーリーを描いてしまったわけですね?
中野:そうそう。でもね、こういった事態は何もギリシャだけの話ではないんです。「PIIGS」と呼ばれる、ポルトガル、イタリア、アイルランド、グリース(ギリシャ)、スペインの4カ国も同じように財政赤字を抱えています。
ギリシャが助かる方法は?
ガイド:ギリシャが助かる方法はあるんですか?
中野:あるにはあるのですが…。それは、ずばり、通貨の切り下げです。これはアジア通貨危機を振り返るとわかりやすいんですが、タイバーツが暴落したことから始まった通貨危機においては、IMF(国際通貨基金)が介入して穴埋めをしましたよね。そして財政に対しても厳しい条件を出しました。と同時に、通貨の切下げを行って、実はこれが韓国経済を回復させ、さらに強くする原動力となったのです。
ガイド:ん?なぜ通貨切下げで経済回復ができるんでしょう?
中野:通貨を切下げると、自分の国の通貨が安く(弱く)なります。仮に日本が通貨切下げをした場合、1ドル=100円が1ドル=150円になるようなものなので、輸出をしている企業にとってはとてもメリットがありますよね。この通貨切下げによって、韓国経済は回復し、その後成長曲線を描くようになりました。というわけなので、実は通貨切下げはとても有効な手段なんです。
ガイド:じゃ、ギリシャもやればいいじゃないですか。
中野:そう思うでしょ?でも、残念なことにギリシャは通貨の切下げができないんですよ。それはなぜかというと…。
話がおもしろくなってきたところなのですが、この理由は「ユーロ問題シリーズ」の第2回目に続きます!