SNSの芸能人・アニメアイコン利用は違法か?
「なりすまし」は犯罪?
SNSに投稿することとアイコンに利用することは基本的に同じと考えられます。芸能人の写真を勝手に利用することは、「街で撮った芸能人の写真をSNSにアップするのは違法?」でお伝えしたとおり、肖像権やパブリシティ権などに抵触する可能性があります。法的には侵害とまではされないことが多いものの、不快に感じている人も多いため、このような行為は慎む方がいいでしょう。SNSでは芸能人の写真を利用したアイコンをよく見かける
アイコンに写真を無断利用するだけでなく、本人になりすますいわゆる「なりすまし」の場合はどうでしょう。実は、なりすましだけでは罪には当たりません。
しかし、なりすまし行為によって当人の社会的評判の低下を招いたり、芸能人ならイメージの悪化などで業務妨害となる場合は、名誉毀損罪や業務妨害罪に当たる可能性があります。なりすましをされていた女性がFacebookに情報開示を求めたところ、東京地裁がIPアドレスの開示を求める判決を下した例もあり、身元を特定されて罪に問われる可能性もあるので、決してしないようにしましょう。
アニメアイコンは著作権法違反
では、アニメなどのイラストを無断でアイコンに使用することは罪に当たるのでしょうか。すぐに思い当たるのは著作権法違反ですが、著作権法は親告罪です。つまり、著作権者が訴えなければ罪には問われないということであり、訴えられる可能性は低いのが現状です。ところがTPPの大筋合意を受けて、施行は未定ですが、将来的には著作権は原則非親告罪となります。つまり著作権者の訴えがなくても罪に問われるように変わるのです。
ただし、改正案では「著作権侵害の違法行為のうち、特に悪質な犯罪に限って非親告罪とする」となっています。
具体的には、
(1)不当な対価を得る目的、または著作権者を害する目的がある
(2)原作をそのまま譲渡・公衆送信・複製する侵害行為である
(3)著作権者が得るはずであった利益が不当に害される
という3つの要件すべてを満たす場合に限り、非親告罪の対象とされます。
コミケ(コミックマーケット)で漫画やアニメなどの二次創作同人誌を販売する行為などは非親告罪の対象から外されています。つまり、SNSのアイコンとして無断使用することも、例外として非親告罪の対象外となると思われます。
しかし、無断利用は著作権侵害行為には変わりありません。著作権者が通報すれば罪に問われるので、やはり勝手に利用しない方がいいでしょう。