2017年話題の年賀状は「卵」
2015年・2016年と、「12年かけてマフラーを編み上げたヒツジ」や「12年後に小ザルが家族に加わる」など、郵便局の年賀状に12年越しのメッセージをこめて話題となったのは、切手デザイナーの星山理佳(ほしやまあやか)さんの年賀状でした。そんな注目の星山さんの2017年の年賀状は「おめでたい卵」です。巷では「ニワトリが先か卵が先か」と噂されているようですが、12年前の星山さんの年賀状と比較してみると、1つの共通点が浮かび上がります。それは年賀状全体で1つのストーリーをなしている点です。2005年は「お年玉」の抽選部分にある「初日の出」とともに目覚まし時計が鳴り、ニワトリがコケコッコー!となっています。2017年も同じように、親のニワトリが卵を産み、「お年玉」の部分でめでたく親子になるという脈絡が読みとれるのではないでしょうか。
2017年の星山さんの年賀状には、さらにもう1つの遊びが隠されています。よく見ると卵の表面の質感を「あけましておめでとうございます」のマイクロ文字で表現しているのです。このあたりの細部へのこだわりはさすがと言うほかありません。
富士山に隠された秘密とは
もう1つ2017年の年賀状で話題となっているのが、「富士山づくし2017」です。担当したのは新進気鋭の切手デザイナー山田泰子さんです。楽しいユーモアに満ちた年賀状となっていて、2017年だけに年賀状には17個の富士山が描かれています。実はこの富士山には、さらにアッと驚く秘密が隠されています。富士山のてっぺんの右上のほうに小さなカスレのようなものがあるのに気がつきませんか?肉眼では分かりにくいのですが、ルーペで拡大すると、マイクロ文字で「NENGA」(年賀)と書かれているのが観察できます。デザイナーによるこんなちょっとした遊びが隠されているので、ぜひ実物でチェックしてみてください。
専門家は組番号に注目!
一般的にはお年玉の抽選番号が注目されるところですが、切手収集の専門家は組番号にも注目しています。こちらは一般的にはあまり見ることのない「A0001組」と、それに続く「A0002組」の年賀はがき(いずれも「おめでたい卵」)です。
もっとも若い組番号の年賀状が全国の郵便局のどこに割り当てられるのかは完全に未知数なのですが、2017年の「A0001組」は小郡郵便局(山口県)管轄の郵便局で出現しました。地元に住む郵趣家の椙山哲太郎さん(HYPER Philatelist主宰)がたまたま陶簡易郵便局で「A0001組」が販売されているのを見つけて、ようやく判明したのです。なお、小郡郵便局では「A0002組」も販売していたようで、それに続く「A0003組」は瀬戸内海の対岸にある松山西郵便局(愛媛県)で出現しています。
幻の組番号?!
組番号で言えば、筆者が個人的に探しているものがあります。昭和45年用年賀はがきの「B1601組」で、関屋郵便局(新潟県)の火災で損傷した7万枚の代わりに再調製した分です。もう1つが昭和46年用年賀はがきの「A1681組」と「B1682組」で、こちらは日高郵便局(高知県)で台風10号に被災した19,600枚と6,600枚の再調製分となっています。もしあればちょっとした珍品ですので、ご自宅の古い年賀状の中から見つけられた方は、ぜひオールアバウト編集部までご一報をお願いします。海外グリーティング切手にも隠された干支
年賀切手に関して言えば、海外グリーティングの18円切手をご存じでしょうか。国内宛てのはがき料金が52円で、外国宛が70円ですので、その差額分となる18円切手が今年も発売されました。18円切手の発売は3回目の発行で、担当したのは前作と同じく星山理佳さんです。日本郵便のプレスリリースを読むと、「国内・国外の人々が日本を想起しやすい食べ物」として親子丼を題材にしたと説明していますが、卵と鶏肉を材料にした料理ですから、やっぱり2017年の干支を意識していたのではないかと思われます。いろいろとお伝えしましたが、やはり年賀状を手に取ったら、お世話になっている方や懐かしい方との思い出話に花を咲かせながらも、ぜひ年賀状の制作者の心意気にも思いを馳せていただきたいと思います。なお、気になるお年玉の抽選会は2017年1月15日の13時からJPタワー名古屋 ホール&カンファレンス ホール1・2(KITTE名古屋3階)で開催されます。入場は無料となっていて、ゲストとしてタレントの岡田結実さん、ブラックマヨネーズさん(お笑い)、女子レスリングの登坂絵莉さんが抽選に立ち会います。