海外産のミネラルウォーターは硬水ばかり?軟水もあるの?
海外産のミネラルウォーターとひとことで言っても、日本で市販されているものだけでも硬度が2.4から5169のものまであり、実はいろんなタイプの水があります。硬度は地層や地質による違いによって生じるので、もちろん国の成り立ちなどによって、日本のように軟水の地域が多い国もありますし、ドイツのようにドイツ国内の水はほとんど硬水というような地域もあります。また同じ国でも、ボルヴィックやエビアン、コントレックス(*)で知られるフランスのように、様々な硬度の水が採水できる国もあります。
*硬度はそれぞれボルヴィック(62)、エビアン(306.6)、コントレックス(1475.5)。カルシウム×2.5+マグネシウム×4.1(mg/L)で算出した場合
日本のミネラルウォーターも最近はいろんな種類のものが出ていますが、それでも硬度100以下のものがほとんどです。よく飲まれている「サントリーの天然水」が硬度20~80ですし(採水地によって異なります)、「いろはす」も27.7~40.3です。一般的に、日本人は硬度が100~150ぐらいまでは抵抗なく飲める方が多いようです。
また硬度だけではなく、ナトリウムやカリウムなどの含有量もそれぞれ異なります。気になる方は、いくつか並んでいる商品のラベルを見比べて購入されるとよいでしょう。日本の軟水でも海洋深層水などには多めに含まれる場合があります。また、硬度とナトリウム、カリウムの量には相関関係がないので、硬水でもナトリウムをあまり含まないものもあります。
例として、サントリーの天然水(白州)はナトリウムを4~10mg/L、いろはす(白州)は12mg/L、エビアンは7.0mg/L、コントレックスは9.4mg/L含まれています。
硬水は日本人には合わないの?
よく、「日本人には軟水が合う」という人がいます。実際に日本の水道水は軟水ですので、軟水に飲み慣れている方が多いでしょう。中には硬水でお腹をこわしてしまう人もいます。とはいえ、ヨーロッパの硬水地域に住んでいる人の中にも超硬水を飲むとお腹をこわす人もいますので、こればかりは個々の体質に依るのではないかと思います。いきなり硬度が1000以上の硬水を飲むのではなく、軟水よりもちょっと高めという程度のものから、少しずつ飲んでみるとよいでしょう。海外産ミネラルウォーターの安全基準は?
ミネラルウォーターはもともとの水に含まれる成分が違うだけでなく、殺菌などに関する考え方も国によって異なります。例えばヨーロッパでは、「自然のままの水がいい」という考え方に基づき、加熱殺菌や目の細かいフィルターなどでの除菌等は行わずに、採水した水をそのままボトリングして「ナチュラルミネラルウォーター」として販売しています。生の野菜などと同様に、水も「なまもの」として扱われているわけです。当然、品質を守るために周辺に農場、ゴルフ場はもちろんですが、いかなる建造物も建ててはいけない、などといった環境保全の基準は厳しく法律で決められています。
一方でアメリカや日本では、ミネラルウォーターは「なまもの」というよりは「加工食品」に近い扱いをされています。特に大手のメーカーではミネラルウォーターを殺菌する際には清浄度の非常に高いクリーンルームで処理されており、加熱殺菌や非常に目の細かいフィルターを使ったフィルター除菌、オゾン殺菌、紫外線殺菌などで徹底的に菌を除くようにして作られています。
とはいえ、最近では日本でも例外的に「新水いぶき(北海道良水株式会社)」という水が無殺菌・無除菌で製造されていたりもします。
ヨーロッパのミネラルウォーターは何がいいの?
「なまもの」の水の利点としては、加熱されていないので、酸素や二酸化炭素が沢山含まれていることです。山で自然のままに飲む水は美味しいのに、同じ場所で採水されたミネラルウォーターは美味しくないと言われる一因はここにあります。加熱で殺菌される段階で、酸素や二酸化炭素などが失われてしまうからです。もちろん気温と水温の差の違いなども美味しさに関係しているとは思います。そして「なまもの」の水ですから、菌が沢山残っています。これはもちろん病原菌(バクテリアやウィルス)などとは違う菌です。水以外の栄養が全くないところでも生息できるような菌であり、人体に危害を及ぼすということはありません。なんでもかんでも殺菌という考え方に賛同しない方にはおススメですが、「とにかく無菌がいい」という方には日本の大手メーカーが製造されているミネラルウォーターが間違いないでしょう。当然そうは言っても、輸入の際に一般生菌の量の基準は決められていますので、それをクリアしたものだけが輸入されています。
いずれにしてもヨーロッパの大自然の水を日本にいながらにして飲めるというのは、とても大きな魅力・メリットではないかと思います。また、ボトルのデザインがオシャレなものも多いので、持ち歩き時や食卓を華やかにしてくれるでしょう。
海外産のミネラルウォーターのデメリット
逆に、輸入ミネラルウォーターのデメリットは?というと、やはり国産のものに比べて価格が高いということでしょう。これは、環境を保全するためのコストや船で運ぶ運搬費用がかかっているからです。また、炭酸が含まれるものは運搬中に抜けてしまうということもあります。海外のミネラルウォーターでも正規代理店を通さずに並行輸入されているものは値段が安い場合がありますが、正規のものに比べて、品質がよくない場合があります。また近年は、安い国産のミネラルウォーターに押されて、輸入ミネラルウォーターの売り上げが伸びず、販売されている種類がどんどん減ってきています。このままだと誰もが知る海外産のミネラルウォーターが飲めなくなる日が来るかもしれません。
海外産のミネラルウォーターの楽しみ方
日本人が日本酒だけでなく、ビールやワイン、ウィスキー等も飲むようになったように、水も国産の軟水だけと決めてしまうのは、もったいないように思います。軟水、硬水という硬度の違いだけではなく、味にバラエティが富んでいるのが海外産のミネラルウォーターです。画一的ではないさまざまな味を楽しめる面白さがあります。ワインの味が土壌、つまりテロワールによって異なるように水もテロワールによって成分や味わいも異なります。その違いを是非楽しんでいただけたらと思います。
塩気を少し感じる炭酸水には、オレンジやレモンを入れると健康的な炭酸飲料になりますし、ブルーチーズやフォアグラなどと合わせると、さらに美味しさが引き立ちます。また、硬度が高いコクのある炭酸水は、スナックやジャンクフードと合わせると、胃がもたれずスッキリします。さまざまな硬水と軟水をブレンドして、ご自身の好きなドリンクを作ることもできます。
食事も日本食だけを食する時代ではなくなったのですから、たとえばパスタを食べるときにはイタリアの水、フレンチのフルコースを食べる時にはフランスの水を飲む方が、ペアリングといった観点から言っても味や雰囲気にも合うのではないかと思います。
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