貯蓄

個人型確定拠出年金に加入する前にやるべきこと

個人型確定拠出年金(愛称iDeCoイデコ)に、2017年1月から誰もが加入することができるようになりました。しかし、イデコを利用する前に優先すべきことがあります。あわてて加入する前に、もう一度、自分が利用できる制度を確認しておきましょう。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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運用に悩みそうなら、確実に貯められるものを優先

個人型確定拠出年金に加入できるのは、自営業者、企業型を導入していない会社の従業員、さらに、2017年1月からは、企業型を導入している会社の従業員であっても、勤務先が制度規約を改正すれば、個人型にも加入できるようになりました。そのほか、公務員、専業主婦も対象となり、現在は20歳以上であれば誰もが加入できるようになりました。

 
個人型確定拠出年金に加入する前にチェックしてほしいこと

個人型確定拠出年金に加入する前にチェックしてほしいこと


こうなると、加入しなくては!と思ってしまうかもしれませんが、老後資金を貯めるために、人によっては、ほかにやるべきことがあります。

会社員であれば、自社で財形貯蓄制度が導入されているか再度確認しましょう。導入されていれば、財形年金貯蓄制度を利用することを優先してもいいでしょう。55歳までに財形年金の積み立てをはじめ、満60歳以降に5年以上20年以内で受け取りをします。貯蓄残高550万円までは利子が非課税で、受け取りの際にも税金はかかりません。運用が苦手、万一にも元本が減るのは困る、という人は、まずは財形年金で確実な老後資金を準備すべきでしょう。ただし、若い世代にとっては、財形年金ではなく、財形住宅を優先する、というケースもありますので、そうした場合には、財形住宅+個人型確定拠出年金という考え方もアリでしょう。

また、自営業者であれば、国民年金の上乗せとして、国民年金基金への加入を検討してもいいでしょう。実際、個人型確定拠出年金の掛け金の上限は、月6万8000円ですが、これは国民年金の付加保険料を払っている場合、その保険料と、国民年金基金に加入している人は、その掛け金の合算が上限となります。

つまり、もしも、月6万8000円を毎月払えるのなら、自分で運用しなくてすむ国民年金基金だけでもいいわけです。そのうえで、少しでも自分で運用して増やしたい、ということであれば、月額の上限の範囲で、国民年金基金と個人型確定拠出年金の掛け金を案分すればいいでしょう。


 

60歳まで払い出しができないこと、運用することが前提

いろいろな選択肢をあげましたが、大事なのは、いずれも老後資金のためであるということです。年金財形も、国民年金基金も、個人型確定拠出年金も、原則、60歳までは払い出しができないことを覚えておいてください。

若い世代は、これから子どもの教育費を貯めたり、住宅購入の資金を貯めたりということがあります。自分の老後の前に、クリアすべき大きな出費があるのです。この準備と並行して、老後資金を貯めなければならないわけですが、60歳まで払い出しができないものに、全力をつぎ込んでしまうと、自由に使える貯蓄に回せるお金がなくなってしまいます。

まずは、5年先、10年先に確実に使うお金はいくら貯めなければならないのか、その積立額を算出し、貯蓄の目途を立てたうえで、紹介した老後資金のための制度を活用すればいいのではないでしょうか。

もちろん、早い段階から、少額で構わないので積み立てを始め、余力ができたときに増額する、という考え方もあります。老後資金の不安はあるかもしれませんが、貯蓄にも優先順位があります。その点は、十分考えてほしいものです。

もうひとつ、個人型確定拠出年金は自分で運用する商品を選び、掛け金の配分を決めます。商品には、元本確保型として、DC専用の定期預金を用意している金融機関も多くありますが、定期預金をまったくしていないという人は少ないのではないでしょうか。それであれば、個人型確定拠出年金でも、さらに定期預金を選択する必要もないでしょう(DC専用の定期預金であれば、利子が非課税なので、その点のメリットはあります)。そうなると、利用するメインの商品は投資信託ということになります。

投資信託をこれまで買ったことがない人にとっては、商品選択が難しく思えるかもしれません。また、定期的に運用状況をチェックし、配分の見直しが必要になってきます。個人型確定拠出年金は、自分で運用することが前提である、ということも覚えておいてほしいことです。日々の運用状況に一喜一憂してしまうタイプは向かないかもしれません。

今回は、慌てて個人型確定拠出年金に加入する前にチェックしてほしいことを説明しましたが、税制上のメリットが多いのは確かです。若ければ若いほど、税制メリットを長く享受することができます。ただ、30年以上の付き合いになるので、金融機関(=運用管理機関)選びは、じっくり検討してください。
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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