注文住宅を建てているのはどんな人?
社団法人住宅生産団体連合会が毎年行っている注文住宅についての調査があります。今、どんな人が、どのような注文住宅を建てているのか、最新のデータを見ていきましょう。注文住宅を建てている世帯主の平均年齢は41.2歳。2013年度は42.3歳、2014年度は42.0歳と、最近は若返りの傾向です。
世帯年齢は平均すると40代になりますが、中心となる世代は、これまでと同じように30代で、30~34歳が最も多く、22.3%。全体では、20~39歳までで52.7%を占めています。つまり、半数以上の人が40代になる前に家を建てているというわけです。意外と若い人たちが決断しているように見えますが、子どもの誕生や就学などが家を持つきっかけとなることが多いからだといえるでしょう。
そのほかに目立っているのは、40~44歳の15.6%、60歳代の9.1%といったところ。子どもが小さいときに家を建てなかった人のうち、子どもが成人したり、独立するなど、子育てが一段落したところで、そのときの家族構成にふさわしい家を建てる人が一定数いるのかもしれません。
世帯人数は昨年よりさらに減り、2015年度は3.43人になりました。世帯人数の減少傾向は続いていることがわかります。国勢調査の結果でも、世帯人数は減っており、最も多いのは1人世帯です。注文住宅を建てる世帯の人数は、今後も少しずつ減って、限りなく3人に近い数字になるのではないでしょうか。
世帯年収の平均は、868万円。地域別にみると、大阪圏が一番高く919万円、東京圏915万円、地方圏849万円、名古屋圏746万円と続きます。大阪圏や東京圏の平均年収はかなり高いですね。
どんな注文住宅を建てているの?
建築費の平均は3370万円。坪単価を計算すると、84.2万円です。建築費の推移は、下の表のようになります。ここ数年、建築費も坪単価も上昇が続いていました。2015年度も建築費は60万円ほどアップしています。しかし、坪単価を比較すると、84.8万円 → 84.2万円と、昨年度より少しだけ下がりました。建築費の上昇は落ち着いてきたという見方ができると思います。
延床面積の平均は132.4平方メートル(40.0坪)。2014年度の129.2平方メートルに比べ、わずかに広くなりました。延床面積は2008年度から小さくなり続けていましたが、下げ止まりのようです。
借入金が大きく増え、年収倍率は4倍超
10年前の2005年度と、2015年度を比較したのは下のグラフです。年収はほとんど変わらない状況で、建築費が上昇していることがわかります。そして、目立っているのは借入金が2948万円 → 3695万円に、大きく増えていること。この10年間で700万円以上借り入れが増え、年収倍率も3.4倍 → 4.26倍と、大きくなったわけです。借入金が増えた分を自己資金で補いたいところですが、自己資金も減っています。贈与が増えていますが、不足分を補っているとは言えない程度です。
借入金が10年で大きく増えたのは、建築費や土地価格の高騰が一因だといえます。加えて、2005年度と2015年度では、住宅ローンの金利に差があります。住宅ローンにもいろいろな商品があるので一概に言えませんが、2015年度のほうが2005年度当時より1%以上が低い商品が見られます。20年、30年という長期間にわたる住宅ローンにおいて、1%の違いは大きなもの。低金利であれば、家を建てたときにできるだけ多く借りて、土地や建物のほかに外構や家具などの費用にあてる人が増えているということでしょうか。
日本の家の寿命は延びている!?
建て替え率は1.9ポイント下がり、2015年度は27.7%になりました。建て替えた場合、前の住宅の築年数はさらに伸びて、2015年度は38.3年に。全体的な割合を見ると、45.6%が築40年以上で、この割合は2014年度の37.7%よりも大きくなりました。築浅の家を建て替える人の割合が減ってきていることがわかります。
新築の注文住宅の約8割が長期優良住宅
長期優良住宅の割合は2014年度の71.9%から7.8ポイント増えて、79.7%になりました。つまり、新築された注文住宅のおよそ8割が長期優良住宅だという計算です。この調査は、東京や大阪、名古屋といった都市圏のサンプルを多く含むことや、大手の住宅メーカーを中心とした実例をもとにしています。しかし、このことを考慮しても、約8割というのは高い数値ですね。最近の住宅性能は高水準であるといえるでしょう。
今後も、長く暮らせる性能の高い家を建てる人が増えていけば、日本の家の寿命もさらに伸びるのではないでしょうか。