アドバイス1 2年程度は妻の言い分を受け入れてみる
相談文を拝見すると、ご夫婦で性格の違いがよくわかります。ご主人のまんもすさんは堅実で何事にも慎重。一方、奥様は楽観的なのでしょう。それでなくても、まんもすさんの資産状況を見れば、これまで頑張ってこられたことがよくわかります。相当支出を抑えないと、ここまでは貯まりません。それだけに、結婚したらからといって「さあ、今日から使いましょう」と、簡単に生活を切り替えることはできないはず。収入が不安定という現状もあり、家計支出を削減したい気持ちはよくわかります。
では、奥様はどうでしょう。今年結婚されたわけですから、いわば「楽しみが優先する時期」だといえます。もちろん、お金をかけなければ楽しくない、というわけではありません。しかし、節約、節約では息が詰まるのも確かです。
そこで、今年と来年くらいは、まんもすさんの方が奥様の言い分を受け入れてもいいかと思います。とはいえ、支出が家計を圧迫するほど増えれば、それは問題。一応、目安としては現状の生活費を上限にして、何かが増えればどこかを削るといったことで調整してみてください。また、その後は徐々に節約を意識していくわけですが、削減するにしても、たとえば外食費をいきなり半分に抑えるのではなく、3分の2程度から始めるなど、極端にならず、全体のバランスを見ながら、家計管理をしていくといいでしょう。
アドバイス2 金融資産を老後まで取り崩さない
働き方については、収入が安定するのが第一の目標となります。そのためにハローワークにも通われているとのことですので、今は継続して努力していくしかないと思います。ただ、収入の安定はそれがより長く続かなくては意味がありません。老後の生活や保障が不透明なこの時代、それに備える効果的な方法はより長く働くことです。具体的には65歳、できれば70歳までは働きたいところ。そのためには、健康を維持していくことが不可欠。普段から健康管理を意識し、そのための支出(健康診断等)は必要経費と考えてください。
老後について言えば、住宅がひとつポイントになるでしょう。将来、ご夫婦どちらかの実家に戻る場合、実家はどの程度リフォームする必要があるのか。予算はどの程度になりそうか。また、60歳以降の新たなローンは避けたいので、現金で支払うならどの程度までかもしっかり試算しておきたいところです。
ずっと賃貸であれば、そのコストも計上した上で、老後の生活費と公的年金の支給額との差額を割り出します。当然、年金だけは赤字になりますから、それを老後資金でどれだけカバーできるかということ。その意味で、現在の金融資産(貯蓄、投資商品、一時払いの保険商品)は老後に向けた大事なお金です。仮に収入が安定せず、これ以上増やせないとしても、これを老後まで取り崩さない。そのことが今後のライフプランにおいてとても重要になります。
アドバイス3 終身保険は前納してもいい
家計については、これまで十分貯められたマンモスさんですから、さほど問題はないのですが、保険だけは気になります。死亡保障3000万円の終身保険ですが、これほど保障は要りません。ただし、55歳で払込終了ですから、予定利率が高いようでしたら、残りを前納してもいいかと思います。資金的にもその程度の余裕はあります。あるいは、払済保険にしてしまってもいいでしょう。どちらにしても、その分の保険料は今後貯蓄に回していきます。
また、支払い保険料から考えて、3000万円全額が終身保障ではなく、定期部分を含めた額ではないかと思います。主契約の金額や解約返戻金などを見てもわかると思いますので、そこを確認してから、前納か払済保険にするかを判断する(どの程度増えるのか=予定利率)といいでしょう。
もうひとつ。ご夫婦とも、身体が不自由になったら有料老人ホームへの入居を検討するとのことですが、そこはあまり考えなくてもいいのでは。施設入居は、コスト的にまだまだ高いのが現状です。それにより、大きくマネープランが崩れる可能性もあります。先ほども触れましたが、元気に長く働くことが第一。そのためにどうすればいいか、お金の使い方も含めて、ご夫婦でいろいろ話し合われるといいでしょう。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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