まるで一服の絵画のように美しい紅葉を愛でに、兼六園へ
春は桜、夏は青々と茂る木々の緑が美しく、秋は紅葉、そして冬は雪吊りと四季折々に違った表情を見せる兼六園。秋が深まるにつれ、モミジ、桜、ケヤキ、ニシキギ、ドウダンツツジが赤や朱、オレンジ、黄色に色づいていく様子は豪華な錦絵を見ているかのよう。秋の柔らかな太陽の下はもちろん、夜の帳が下りた後にライトアップされた景観もまた格別で、1日を通して紅葉を楽しめるのも魅力です。そんな兼六園のおすすめの見所から見頃時期、混雑状況までまとめてご紹介していきます。
紅葉だけじゃない!たくさんの見所がある秋の兼六園
兼六園の紅葉は例年11月上旬から色づき始め、11月中旬~下旬に見頃を迎えますが、色づき始める時期や紅葉の進み具合はその時期の気温によって大きく左右されるため、はっきりと何時から何時までが見頃とは言えません。また、兼六園には多種多様な木々が植えられているので紅葉一色になることはなく、逆にそれこそが他では見られない兼六園ならではの魅力で、紅葉の見頃は11月であるものの、10月くらいから秋の装いを感じることができるのです。 それが徽軫灯籠(ことじとうろう)の傍にある木。徽軫灯籠の周囲だけ温度が低いのかわかりませんが、他はまだ濃い緑に覆われていてもここだけは鮮やかな赤や黄色に色づいているので、少しばかり時期尚早に兼六園を訪れてもプチ紅葉が楽しめます。
さらに10月に花を付けることから十月桜と呼ばれる桜がこの時期から4月にかけて長期間に渡って断続的に可憐な花を咲かせ、11月になって本格的に紅葉が始まれば紅葉と桜の両方が楽しめるという贅沢な体験も可能。 10月にはまた秋の七草でお馴染みの萩、すすき、桔梗、撫子、葛、藤袴、女郎花(おみなえし)がお目見えするので、紅葉とともに秋の風物詩である秋の七草を探しながら兼六園を散策するのもおすすめです。
兼六園の紅葉を満喫できるおすすめの紅葉スポット
日本三名園に数えられる兼六園は園内のどこを切り取っても絵になりますが、中でもおすすめのポイントは霞ヶ池。霞ヶ池の周囲には兼六園を象徴する徽軫灯籠や唐崎松があり、毎年11月1日に始まる雪吊り作業はこの唐崎松からスタートします。雪吊りはその名の通り、真っ白な雪が枝葉に降り積もってこそ最も美しく趣深いものですが、傘の骨のように放射状に広がった独特のデザインは例え雪が無くても風情があり、紅葉との組み合わせはまさに兼六園でしか見られない絶景。絶好の撮影ポイントです。 ちなみに唐崎松から始める雪吊りは、春になって外すときは最後。冬の訪れを告げる風物詩である唐崎松の雪吊りはまた春の訪れを告げる役目も担っているのです。雪吊りの作業は12月半ばまで行われているので、紅葉と共にこちらも注目してみてくださいね。
瓢池(ひさごいけ)の周囲を彩る紅葉も見逃せません。水面に映る紅葉はうっとりするほど美しく、特に霞ヶ池から流れ出て瓢池に注ぎ込む高さ6.6m、幅1.6mの翠滝(みどりたき)や日本最古の噴水と言われている噴水周辺は兼六園有数の優れた庭景です。 それから紅葉と言えば忘れてはいけないのが山崎山。兼六園で最も奥にあるのでついさらっと流してしまいがちですが、楓を始め、ケヤキ、橡などの落葉広葉樹が数多く植えられていて、別名「紅葉山」と呼ばれる、紅葉シーズンには絶対に訪れるべきスポットです。
兼六園の紅葉時期の混雑状況と空いている時間帯について
北陸新幹線開業以来、基本的にいつでも混んでいる兼六園ですが、平日は比較的空いています。特に開園時から観光客やツアーの団体客が増えてくる午前11時頃までがおすすめ。さらに奥の手として通常の開園時間より早く兼六園に入園できる早朝開園(6:00~7:45)を利用する手もありますが、紅葉時期は日の出が6時30分以降なので早朝はまだ薄暗く、空の様子と相談しながらお出かけくださいね。
期間中はライトアップも!しっとりとした秋の夜長を楽しんで
紅葉が本格的な見頃を迎える11月中旬~12月初旬は毎年ライトアップが行われ、仄かな照明に浮かび上がる情景は明るい昼間とはガラリと趣を変え、まるで別世界のよう。兼六園全体が幽玄で厳かな雰囲気に包まれます。しかもライトアップの時間帯(17:30~21:00)は入園料が無料。気軽に訪れて昼と夜の違いを見比べてみてくださいね。ただし、ライトアップ開始時から午後7時頃までは混雑しやすいのでご注意を!
■兼六園
住所:〒920-0936 金沢市兼六町1-4
TEL:076-234-3800
開園日:3月~10月15日 7:00~18:00 / 10月16日~2月 8:00~17:00
※早朝開園(無料):11月~2月 6:00~7:45
閉園日:無休
入園料:18歳以上310円 / 6歳~18歳未満100円
例年の見頃:11月中旬~下旬