お金の悩みを解決!マネープランクリニック/早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談

47歳シェアハウス在住。貯金4000万。早期リタイヤ希望(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、数年後のリタイアを希望する40代の女性会社員です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 年金受給が始まるまでの生活費を備える

老後に必要な資金は、不確定要素が多いため、あくまで概算となりますが、基本的には老後にかかる生活費と公的年金の受給額から割り出します。

ご相談者が正社員時代にどの程度の収入だったかは不明ですが、厚生年金加入期間から類推して、老齢年金の受給額を11万円とします(ねんきん定期便等で実際の金額を確認してください)。年金生活となったときの実質の生活費が仮に現在と同じとするなら、社会保険料を考慮しても、公的年金で生活費はまかなえて、かつ多少貯蓄もできます。

もちろん、公的年金だけで足りるからと言って、安心ではありません。予期せぬ大きな支出も想定されますので、手元に貯蓄=老後資金は必要です。これも一概にいくらあれば安心とは言えませんが、終身で医療保険、がん保険にも加入されていますし、一人暮らしであれば1000万円程度あればさほど心配する必要はないでしょう。

問題は、年金受給が始まるまでの生活資金をどうするか。とくに早期リタイアということは「早期に無収入になる」ことを意味しますから、その間、貯蓄を含めた金融資産を取り崩しての生活となります。

50歳でリタイアすれば65歳まで15年間。生活費が今と同じなら1530万円。この間、これだけ使える資金が用意できていれば、50歳からリタイアしても生活費に関しては問題ないことになるわけです。
 

アドバイス2 実家をどうするかがリタイア生活のカギ

ただし、ご相談者の場合、リタイア生活に入る前に決めておくべきことがあります。実家をどうするかです。

相続の時期はまだわかりませんが、そこに住むのか、売却するのか。住むのであれば現在すでに築35年ですから、おっしゃるとおり建て替えかリフォームが必要になります。単にリフォームで済むなら1000万円程度を見ておけばいいでしょうが、建て替えとなると解体費用も発生しますし、家を新築するわけですから、一人暮らし用としてもトータルで2000万~2500万円程度は見ておく必要があるはず。

また、売却して地方都市の空き家に手を入れて住む場合も、それこそ家の程度、住む地域によって幅がありますが、少なくとも別途リフォーム費用が発生するのであれば、建て替えと同程度の予算は見ておいてもいてでしょう。

現在の金融資産が4050万円。20代、30代で頑張って貯めたのだと思いますが、これが今後のマネープランで大きなプラス材料です。さらに個人年金保険と養老保険の満期金で720万円があり50歳まであと3年働くとすれば、貯蓄の上積みが約300万円ありますから、50歳で合計5000万円超になります。

また、住宅取得後は家賃が発生しませんから、リタイア後の生活費も今より家賃に含まれている水道光熱費や通信費を加算しても抑えられるはず。つまり、2500万円程度残るよう、住宅資金を調整し、今と同じ生活水準を維持できるなら、50歳からのリタイアは計算上可能ということになります。
 

アドバイス3 貯蓄の取り崩しをいかに遅らせるか

ただし、住宅に関しての上記試算はあくまで一般的なコスト。ご自身で何を選択し、どのくらいの予算をかけるのか。それによってリタイアの可能な時期も、それに必要な資金も変わる可能性があります。それをここ数年で決めておく必要があるでしょう。

また、いろいろな可能性を考えて、よりリスクを回避するなら、相談文にもありますように「60歳くらいまで生活費のみを稼ぐ」ということは、ぜひしておきたいこと。収入は下がってもいいので、65歳まで働ければさらにいいでしょう。年金生活は、いかに貯蓄の取り崩しを遅らせるか。これがもっとも効果的な対策のひとつなのです。

もうひとつ気を付けたいのが、「海外移住」を選択した場合。海外生活の経験があるとのことですから、よく事情はご存知だと思いますが、たとえば物価が安い国でも医療費が高い、治安が不安定といったリスク要因を抱えています。それらの問題をクリアするには、今ある資産では不足するかもしれません。十分に検討してください。



教えてくれたのは…… 
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深野 康彦さん

業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ



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