ママのスキンシップが多い子は脳まで違う!?

スキンシップは大切、それはなぜなのか?

スキンシップは大切、それはなぜなのか?

「子育てにおけるスキンシップの重要性」は以前から言われており、すでに数々の効用が知られています。最近のドイツの研究では、スキンシップと脳の働きの関係も明らかになってきました。では、なぜ「触れる」ことが、それほど大事なのか? 最新情報とともにまとめてみました。


枚挙にいとまがないスキンシップの効用 

現代の育児本で、赤ちゃんへのスキンシップの大切さを書いていないものはありません。それくらい、赤ちゃん、そして子供にとっても、触れ合うことは大事だとされています。一般的に言われているスキンシップの効用には、
  • 親子の絆を深める
  • 情緒を安定させる
  • 感情のコントロールが上手になる
  • 自立がスムーズになる
  • 他者への信頼感、親近感が高まる
  • 知能の発達を促進する
  • 成長ホルモン、愛情ホルモンの分泌が高まる
などがあります。これらを見れば歴然ですが、スキンシップには、子供の心身の成長を促す効果があるのですね。


母親のスキンシップが子供の脳に与える影響

スキンシップが子供にとって大事というのは、疑いようのない事実ですが、最近の研究で、スキンシップと脳の働きとの関連性も見出されました。それをご紹介しましょう(*)。

この実験は、ドイツにあるマックス・プランク研究所が行ったもので、43組の母子を対象に行われました(子どもの平均年齢5.5歳)。まず、母子でソファに座ってもらい、そこで遊ぶ自然な姿をビデオで撮影しました。その後、収録したビデオをもとに、遊んでいる最中の双方のスキンシップ(母→子、子→母)の様子を分析し、それぞれの子どもの脳の動き(安静時脳活動)と照らし合わせました。

すると、遊びの最中に母親が触れる頻度が多い子と少ない子の脳の動きに違いが見られたのです。とくに顕著だったのは、「社会脳」と呼ばれる部分の活動だったそうです。この「社会脳」とは、共感したり、相手の気持ちを察したりするときに活躍する領域で、スキンシップが豊富な子はこの部分の動きがより活発だったということでした。

この実験は、スキンシップが直接、脳の変化を起こしているということを突き止めているわけではありませんが、スキンシップが多い子と少ない子では、「社会性」を司る脳の動きが違うというのはまぎれもない事実。冒頭に挙げた数々の効用、とりわけ、「他者への信頼感や親近感の高まり」につながっているのかもしれません。


サルの赤ちゃんがしがみついたものとは?

ここまで、スキンシップが重要な理由を「その効用」を中心に見てきましたが、効果効能ばかりを追い求めてしまうと、いささか方向違いのような気がします。というのも、私たち親は、効果があるからスキンシップをしているわけではありません。親も我が子に触れたいし、何より、子供がその「ぬくもり」を求めているからです。

ここで、今から50年以上も前に行われた「ぬくもり」に関する心理学の有名な実験をご紹介しましょう。これは、ハーロウ博士の「代理母実験」というものです。当時は、赤ちゃんが母親を求めるのは、「最も基本的な欲求である食欲を満たしてくれる存在だから」という説が強かったのですが、ハーロウ博士がそれに疑問を持ちました。「赤ちゃんが母親を求めるのは、おっぱいだけが理由ではない」。これを証明するために次の実験を行ったのです。

実験では、「食欲か否か」を検証するため、新生児のサルに、「針金製の母親人形」と「布製の母親人形」を設置し、それぞれの胸にミルクを入れた哺乳瓶を取りつけました。前者はヒンヤリとして固く、後者はぬくもりがあり柔らかな触感でした。すると、その子ザルは、ほとんどの時間をフワフワな母ザル人形の方にしがみついて過ごしたのだそうです。そちらの哺乳瓶が空になったときでさえ、針金の母人形に飛び移ることなく、上半身だけを哺乳瓶へと伸ばし、足は布製の母親につかまったまま、ミルクを飲んだそうです。これにより、「柔らかなぬくもり」こそ、子供が母親に求めているものだとされるようになったのです。


子供の「ぬくもり欲求」を満たすのがスキンシップ

小さな子供にとって、「温かなぬくもり」は、生きる上で欠かせないものだということがよく分かります。こう見ると、「ぬくもりを求めている子供の気持ちを満たすこと」が、スキンシップをする一番の理由であり、それによって満たされた気持ちが冒頭に挙げたような多くの効用を引き起こしているようにも思えるのです。

以前は、「抱っこばかりしているのはよくない」「抱き癖がつく」などと言われましたが、子供の「ぬくもり欲求」を直球で満たしてあげた方が、確実にその子の心身の成長につながっていきます。「毎日、抱っこ、抱っこでまいっちゃう」とお疲れ気味のママも、その抱っこ1回1回がお子さんの気持ちを満たすことにつながっています。後になって「やってよかった」と思える日が必ず来るはずです。

スキンシップで、我が子のぬくもり欲求をチャージ! どんどん我が子に触れていきましょう。


*出典:学術誌 Cerebral Cortex (2016). 「Frequency of Maternal Touch Predicts Resting Activity and Connectivity of the Developing Social Brain」より



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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。