お金の悩みを解決!マネープランクリニック/共働き夫婦・DINKS家庭のお金の悩み相談

48歳夫婦で実家に毎月26万円を仕送り。老後は大丈夫?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫の実家の生活支援によって今後が不安な40代の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 夫婦の年金が生活費に充てられれば老後は問題なし

このご相談については、いろいろ考慮すべき部分がありますが、まずはご相談者のMさんの質問にある「私だけの収入で夫婦の生活と老後の蓄えは可能か」について、考えてみます。

Mさんの手取り月収は40万円。一方、ご主人のご実家への支援を除けば、毎月の生活費は32万8000円。したがって、毎月7万2000円が貯蓄に回ります。

また、ボーナス150万円からは、どれだけ貯蓄に回せるか。仮に、旅行やレジャー費などがこれまでと同様にかかるとすれば、貯蓄できる額は60万円。したがって、定年は65歳とのことですから、それまで17年間でざっと2500万円、現在の貯蓄と合わせて3800万円が貯蓄として残ります。

退職金は不明ですが、収入等から推測して、少なくとも1000万円は受け取れるはず。したがって65歳の時点で4800万円が老後資金として用意できるという計算になるわけです。

この金額が老後資金として足りるかどうかですが、その場合、ポイントとなるのは、ご主人の年金も自分たちの生活費として使える(=資金援助に回らない)かどうか。使えるなら、年金額が年400万円とのことですから、税金や社会保険を引いて、手取額はざっと360万円、月30万円となります。

一方、生活費は65歳の時点で保険料はすべて払込が終わりますから、現在と同程度の生活レベルでも毎月28万円ほど。つまり、年金だけの生活でも毎月2万円貯蓄できる生活が可能となります。貯めた老後資金4800万円で、現役時代以上に旅行も楽しめるはずです。

もし、ご主人の年金が支援に回るとなると、毎月13万円の赤字ですから、90歳まで生きれば3900万円。4800万円の老後資金から差し引けば、残り900万円。老後資金としては、このくらい余裕があればほぼ安心ですが、ボーナスを使って行っていた旅行やレジャーは、かなり抑え気味にしなくてはなりません。
 

アドバイス2 できれば夫の収入+退職金だけで支援をカバーしたい

試算には不確定要素がいろいろと含まれているため、実際とはかい離するかもしれませんが、きびし目に見積もった額ですから、Mさんの収入だけでも、老後資金は用意できると考えていいでしょう。

ただし、リスクがないわけではありません。

まず、ご主人の収入だけで実家の支援がカバーできるかという点。ご主人が役職定年となった場合、ボーナスはどうなるのか。もしも、給与と同程度のカット率とすれば、約90万円ですから、手取り年収にして390万円。毎月26万円の実家支援は年間にして312万円ですから、80万円ほど余ります。つまりは、ご主人が定年となる60歳までの5年間で400万円プールできることになります。これに退職金を加えた額で、その後の支援が可能なら、ご主人の年金は全額自分たちの生活費に充てられることになるわけです。

実際には、ご主人60歳の時点で、ご両親は若くても80代半ばから後半。平均寿命から考えて、残りの支援が5年間程度とすれば、おそらく先の400万円+ご主人の退職金からその後の支援資金は捻出できるはず。ただし、長生きリスクや、その後、ご兄弟の生活支援は必要なのか。必要なら、月どの程度なのか。それによって、ご主人の年金を充てなくてはならないことは、可能性としてあります。

もうひとつのリスクは、Mさん自身です。先の老後資金の試算を「きびし目」と言いましたが、それでも、65歳まであと17年間、現在と変わらぬ収入を維持するというのが前提にあります。勤務先の事情で収入が減る、あるいは病気等で定年まで働けなくなる可能性もゼロではありません。ストレスや精神的疲労も蓄積するはずです。健康管理には十分留意しておく必要があります。
 

アドバイス3 公的支援の可能性を再度探ってみる

そう考えると、今できるリスク回避があれば、しておく方がいいということになります。

その対策として、まずは貯蓄率のアップです。毎月の家計で気になるのは、やはり保険。終身保険はこれだけ貯蓄があり、かつ扶養すべき家族がいないことを考えれば、必要性はさほどありません。払済保険にして、今まで支払った分に相当する保障だけを残しておけば十分です。浮いた保険料は貯蓄に回してください。

ボーナスからは旅行、レジャー費用で年間60万円ほど捻出しています。ボーナス全体からすれば十分に許容範囲の金額ですし、現状を考えれば、このくらい楽しまなければと、私もそう思います。ただし今後は、そこから多少なりとも貯蓄に回す意識はあってもいいかもしれません。

それと、支援額の考え方ですが、FPの立場から言えば、支援する側の収入が減った以上、支援額も減らすべきだと思います。すでに50代となり老後はすぐそこです。ご主人からすれば「今までどおり」という思いが強いかもしれませんが、優先すべきは自分たちの生活です。

逆に言えば、毎月26万円の生活支援を10年間も続けられたのは、それなりの収入があったからです。収入が減れば、それに合わせた支援にしていく。それでなければ、支援する側がつぶれてしまいます。ましてや、老後も賃貸住宅で過ごすとなると、その分、かかる生活費も高くなるため、老後資金は多いに越したことはありません。

最後に、本当に公的支援がまったく利用できないのかどうか。詳しい事情はわかりませんが、たとえ結果的に無駄だとしても、役所や生活支援などの信頼できる専門家に依頼して、再度十分調べてもらう価値はあると思います。
大変でしょうが、ぜひ頑張ってください。
 

相談者「M」さんから寄せられた感想

基本的には私の収入でもいけそうというご意見に、少々安心しました。少し気持ちが明るく、前向きになった感じです。もちろん、アドバイスをもとに再検討したいと思います。なお、定期預金はそのままでは目減りするので、増やす方法も考えたいと思っています。が、元本は減らしたくないので、大きく増えなくても、現在限りなくゼロに近い銀行の利率よりは多ければいいかなと思っています。NISAとかを少額から始めるのがよいのでしょうか?そんなことも考えています。ありがとうございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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