液状化しやすい場所1:自然堤防、後背低地、旧河道など
国土地理院ホームページ内にある自然災害と地形の関係についての一覧表
つまり、地形分類が分かっていれば液状化が起きる可能性があるかどうかが分かるわけで、それを調べるために役に立つのが国土地理院が作っている主題図のうち、土地条件図と言われるものだ。
土地条件図は昭和30年代から行われてきた土地条件調査の成果をもとに山地、丘陵、台地、低地、人工地形などといった地形分類を色分けして分かりやすく表した地図で、その土地の自然条件等に関する基礎資料とされる。防災対策にも有用で、この地図を見ればある土地が前述した液状化しやすい地形かどうかが分かるようになっている。
上の図は北区赤羽周辺。京浜東北線を境に画面左側のオレンジ色の部分は台地で、右側の斜めの破線は盛土地、埋立地を表す。隅田川、荒川が流れていることからも分かるようにこのエリアは低い土地で、埋立てなど作られてきたのである。そのところどころに見える黄色い部分が自然堤防である。さらによく見ると一部には濃い緑の旧河道らしいものも見えている。
つまり、京浜東北線を挟んで東、西では液状化の可能性は大きく異なっており、東側で家を建てる、買う場合には基礎のしっかりした住宅を選ぶ、必要に応じて地盤改良をするなどの注意が必要だということが分かる。
土地条件図は国土地理院のホームページから地理院地図→ページ上部の情報をクリック→主題図をクリック→土地条件図というやり方で誰でも無料で見ることができるので、これから建物、土地を購入するのであれば事前にチェックしておきたいところだ。
凡例が地図の下に配されているため、参照しながら見るのに便利(クリックで拡大)
液状化しやすい場所2:元水田
また、地形以外で危険が指摘されていたのが土地の来歴による違いである。熊本の場合にはかつて堀田と呼ばれる水田だった場所の被害が出ている。堀田とは湿地の土を掘って積み、造成された田圃のことで、掘った後の溝を水路として利用するというもの。昭和40年代には土地改良が進んだ結果、現在ではほとんど消滅しているが、元々が弱い土地にさらに盛土という、危険に危険を重ねた土地である。堀田でなくとも、水田自体危険といわれる。可能であればかつて水田だった場所を避けるようにしたいところ。それを知るためには今昔マップon the webを使うのが有効だ。これは現在の地図と過去の地図を横に並べて見られるというもので、古い地図に慣れていない人でも現在の地図との比較で見て行くことができるので、分かりやすい。古い地図を動かすと現在の地図が追随、さらにカーソルが同じ位置に表示される点も便利だ。
たとえば、上の図は東急東横線中目黒駅周辺。目黒川に沿って田圃が広がっていたことが分かる。加えて蛇崩川という川が目黒川に注いでいたことも分かる。ここは現在暗渠になり、緑道となっているが、川の周辺ということでそれほど強固な土地ではないと推察できる。場所によってはかってあった池などが埋め立てられていることもあるので、土地の来歴は必ず調べたいところだ。
このように土地条件図、今昔マップon the webを使えば、液状化の危険が高い地域の見当は付く。あとは過去の土地利用を●●区史などから調べるなどして類推情報を積み重ねていえば、かなりの割合で危険な土地を選ばなくても済むようになるはず。地元の自治体に歴史関連の博物館などがある場合にはそこの学芸員に聞くという手もある。地震国日本だけに万全の注意を期したいところだ。
*要約文画像出店/国土地理院、熊本市
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