鬼門とは? 家に悪いことが起きる?
鬼門の玄関にはどんな意味がある?
鬼門とは北東の方角、裏鬼門とは南西の方角を意味しています。家相ではその方位に玄関や窓、トイレなどの水回りを作ると、家の中に悪いことが起きるとされています。しかしなぜ、北東と南西なのでしょうか? また鬼門が気になる場合は、どんな対策があるのでしょうか? 実はその起源は古代中国にさかのぼります。
<目次>
鬼門に玄関やトイレなどの水回りがあるとどうなる? 起源は中国にあり
鬼門の方角に玄関があるので増築のついでに向きを変えたい、裏鬼門に浴室やトイレがあるのでリフォームの時に少し移動させるよう間取りを変更したい、そんな依頼を受けることがあります。特に家相にこだわっているわけではないけれど、知ってしまうと何となく気になる、不安になるという方も多いことでしょう。しかしなぜ北東と南西の方角を、鬼門と裏鬼門と呼ぶのでしょう。そこにはどんな意味があるのでしょうか。その源となったのは、古代中国の情勢と地形です。当時の中国の都の北東と南西には強大な敵がいて、また南西からは強風が吹いてくるという状況にありました。
つまり鬼門は「外敵」と「強風」がやってくる方角であり、北東と南西の方角に開口部や水回りを作らないようにしたのは、住む人の安全と健康を考えた、古代中国の生活の知恵だったのです。
裏鬼門は南西の方角。当時の中国で南西に玄関や窓などの開口部を作れば、強い風と黄砂が家の中に入ってきてしまいます。
この考え方が日本に伝わり、当時日本で恐れられていた古の神道の 「丑寅(北東の意)の神」 と合わさって、日本でも北東と南西の方角が強く忌み嫌われるようになったのです。
日本列島に家を建てると、玄関や窓は自然と鬼門の方角を向く間取りに
ここで問題になるのが、日本列島の地形です。日本列島は北東から南西に傾いていて、その背骨に山脈があり、その山に直交して川が流れています。つまり山も川も日本列島と同じように傾いているので、水利を考えて川沿いに道や家を作れば、自然と家の配置も傾き、開口部は北東か南西、つまり鬼門や裏鬼門の方角を向くようになります。また最近の日本の住宅は、明るい南側にリビングや部屋を作る間取りが人気のため、水回りを北側にまとめるプランが多くあります。そうなれば、トイレかお風呂か洗面所か、水回りのどこかが鬼門である北東の方角にかかってしまうケースが少なくないのです。
日本列島の向きを考えると、川に沿って建てた家も日本列島と同じように傾くため、開口部は自然と鬼門か裏鬼門を向くようになります。
京都や東京、また大きな城下町は、当時の国家事業として風水を取り入れた造営をしていますので、道が正しく東西南北を向いていたり、鬼門に大きなお寺が作られたりしています。
しかし、小さな村や民間の造成地では、川に沿って道や家が作られることが多かったため、北東や南西の方角に開口部がある家が多いというわけです。
鬼門の意味とは? 鬼門の玄関・窓・水回りがあったときの対処法
歴史学的にいえば、日本の鬼門は古代中国の生活の知恵と、日本の古の神道が入り混じって生まれたものですから、鬼門に玄関や窓、トイレなどの水回りを作ったからといって、家の中に悪いことが起きるという根拠はどこにもありません。家相や風水にどこまでこだわるか? その答えを出すには、まずはそう言われる由来や意味を知った上で、それが本当に自分の家に必要なものなのかどうか、じっくり考える必要があります。日本の国土や住宅事情を考えれば、縁起かつぎ程度のスタンスでいるのがよさそうです。
鬼門は縁起かつぎ程度にとわかってはいても不安になることがあります。そんな時は鬼門への対策をしておくといいでしょう。
しかしそうは言っても、古の神道とは怨霊信仰が源になったものですから、特に理由はなくても何となく怖いという感覚を持つ人は多いことでしょう。もし鬼門に不安を感じる、気になってしまうという場合は、鬼門対策をしておくといいでしょう。
不安になった時の鬼門対策法は? 古くから日本で行われてきた鬼門除け
日本では古くから鬼門の対策が行われてきました。鬼門をなぜ鬼の門と呼ぶかといえば、名前の通り鬼の出てくる門とされていたからです。そして本来は敷地の北東の角を指して鬼門と呼んでいました。そこで「鬼門除け」と呼ばれる、鬼を避けるための術式のようなもので、鬼がその角から入ってこないように対策したのです。有名なところでは京都の都を鬼門から守るために比叡山に延暦寺が建てられました。
町だけでなく個人でも鬼門対策は行われてきました。実は現在でも京都などの街並みの中で「鬼門除け」をしている家をあちこちに見ることができます。その方法は、北東の方角にある敷地の角の部分を切り取って祠を立てたり、鬼門除けのお札を張ったり、砂利を敷いて聖域のようにしていたりと様々で、とにかくその方向から鬼が入ってこないよう清めて祓うことを基本としています。
敷地の北東の角に鬼門除けをしている様子。京都の街並みではあちこちで見ることができます。(撮影:一級建築士事務所 OfficeYuu)
家の中の鬼門の方角に水回りがある場合は、神社からお札を授かってきて鬼門方向に張っておくことで「鬼門除け」としていました。特に鬼門に台所がある場合は、火の用心と鬼門対策を兼ねて、火伏の神様である荒神様のお札を貼ることも多かったそうです。
使われるお札の種類は様々で、大事なことは神様を祀ることで鬼を避けることにあります。神社では鬼門除けのお札もありますので、それを貼るのもいいでしょう。ただしお札を貼って神様を祀るのですから、いつも丁寧に掃除をして清浄に保つことが大切です。鬼門に玄関や窓がある場合は、盛り塩などで清めることでも対策できます。
鬼門は気にしすぎるほどのものではありませんが、不安を取り除きたい場合には、昔から日本で行われてきた、このような鬼門対策をしておくといいでしょう。
家相と風水の違いは? 手軽に取り入れられる風水の工夫
さて今回は、家相の鬼門についてご紹介しました。家相も風水も古代中国の学問から生まれたもので親子のような関係にありますが、それぞれ異なるものです。風水の根底に流れているのは五行思想で、世界のすべては「木・火・土・金・水」の5つで成り立っていて、それがバランスよくあることが良いとされています。下記では風水の基本と、2021年をハッピーに過ごすための風水バランスの取り方、リフォームへの取り入れ方をご紹介していますので、ご覧になってみてください。
家相監修:村上瑞祥/一級建築士事務所 OfficeYuu
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