カフェイン中毒で20代の死亡例も……

カフェイン

多くの人が日常的に愛飲しているコーヒーやエナジードリンク。日本でもカフェインの摂りすぎで20代男性が死亡する事故が起きています。何に気を付ければよいのでしょうか

昨年報じられた20代男性のカフェイン中毒による死亡事故。普段からコーヒーやエナジードリンクを愛飲している人たちにとっては、日常的な飲み物で死亡するケースがあるという点で、大変驚かれる報道だったのではないかと思います。特に夏は、冷たい清涼飲料水のお世話になることも多い季節です。心臓の健康の観点も含めて、正しく知っておくと安心でしょう。

以下は中毒死について伝える朝日新聞デジタル版の引用です。
カフェイン中毒で死亡 エナジードリンクや錠剤を多用
2015年12月21日22時48分

九州に住む20代男性が昨年、カフェインを過剰に摂取し、中毒死していたことが分かった。解剖した福岡大法医学教室の久保真一教授が21日、記者会見で明らかにした。カフェインを含む清涼飲料水などを短時間にたくさん飲んだとみられ、久保教授は過剰摂取に注意を呼びかけている。

久保教授によると、男性は深夜勤務のある仕事に従事し、夜勤明けに自宅で吐き、その後亡くなった。死因・身元調査法に基づき解剖したところ、血液1ミリリットル中のカフェイン含有量は致死量に達する182マイクログラムで、胃からは粉々になったカフェインを含む錠剤も検出された。男性が服用したとみられる。

男性に既往症はなかったが、亡くなる1年ほど前から眠気覚ましに、カフェインを含む「エナジードリンク」と呼ばれる飲料を飲むようになったと家族は教授に説明。3、4度吐いたことがあり、亡くなる1週間ほど前からは眠気で仕事に支障が出ていたとも話した。

久保教授は、こうした状況から、摂取した時期や量は分からないものの、男性がカフェインを含む飲料や錠剤を比較的短時間にたくさんとったことにより、急性カフェイン中毒で死亡したと結論づけた。10月に神戸市であった学会で発表したという。(後略)

そもそもカフェインの作用とは

まず始めに、身近なのに意外と知らないカフェインの作用について押さえておきましょう。カフェインには、「アデノシン」という物質を抑える作用があります。アデノシンには神経に信号を伝えにくくする働きがあります。ですのでカフェインを摂取すると神経がしゃきっとし、疲労感がやわらぎ、思考力や注意力が高まる感じがするのです。

しかしカフェインを取りすぎて一日250mgを超えると、焦燥感や興奮、睡眠障害、吐き気、頻尿、頻脈(脈が速くなる)などが起こることがあります。レギュラーコーヒー1杯のカフェイン量は100~150mgと言われているため、コーヒー約2~3杯で何らかの症状が出ることになります。もちろんこれはいわゆる中毒というレベルではありませんが。

日本でもこれまでコーヒーの飲み過ぎによる中毒や、コーヒーを止めたあとの離脱症状の報告はありました。しかし死亡例が報告されたのは今回のケースが初めてです。今のところ、コーヒーにはたばこやお酒などのような依存性はないと国際医学会などで言われていますので、過剰に心配しすぎる必要はないでしょう。

カフェイン中毒の症状

カフェイン中毒には、精神の症状と身体の症状があります。以下でそれぞれを解説します。

■カフェイン中毒による精神症状
精神症状としては、落ち着きがなくなったり、緊張したり、よくしゃべったり不安になる、あるいは気分が高ぶる、不眠症になるなどが挙げられます。重症のケースでえは、錯乱や妄想、幻聴、パニック、さらには自殺行為に及ぶこともあるようです。もともとうつ病や不安障害、パニック障害をお持ちの方は注意が必要です。

■カフェイン中毒による身体症状
身体症状としては胃痛、吐き気、嘔吐や心臓症状なども出ることがあります。心臓症状としては脈が速くなるか乱れる、動悸など。重症の場合はいのちにかかわる心室細動が起こることもあります。頻尿や手の震え、むずむず感なども起こることがあります。重症の場合、けいれんや歩行困難、頭痛なども起こります。

カフェインの致死量は5~10グラム程度と言われています。コーヒーを例にとるならば、少々がぶ飲みしてもいのちには支障ない量に見えるでしょうが、その方の体調や体力、状況によってはもっと少ない量でいのちを落とす恐れはあるでしょう。たとえば睡眠不足(これ自体が不整脈を増やします)で、もともと不整脈も出ていて、他に心臓病その他の病気を持っているなどの状況ではもっと少ないカフェイン量でも事故は起こり得ると思います。

死亡するほどのカフェイン中毒の例はどれくらいあるのか

日本では昨年のケースが一例目と言われていますが、アメリカでは10数例の報告があります。

成人の85%が毎日カフェインを摂取しているアメリカでこの数字ですので、死亡するほどの重症中毒は注意すれば防げるはずです。

カフェイン中毒の治療法

カフェインを抑えるくすりはありません。ですので重症の場合は入院し集中治療室などで前述の症状を抑え、全身を守りながらカフェインが体から抜けるのを待つことが大切です。

とんでもない多量を摂取している場合は、全身のけいれんや悪性の不整脈なども起こるためこれに対処する必要があります。横隔膜のけいれんがあると呼吸ができなくなるためこれをお薬や酸素で対処します。心臓が興奮して危険な不整脈が出るようなら、心電図をモニターし、心室細動に備えます。興奮や不安を取り除くことも役立ちます。カフェインが体から抜けて、落ち着けば、その後の経過は通常良好です。

前述のお亡くなりになった九州の若者も、もし早めに入院し適切な治療を受けておられれば、命を落とすことはなかったのかも知れません。

カフェイン中毒を予防する方法

コーヒーやお茶、カフェインを含むドリンク類がお好きな方の場合は、一日に摂取するカフェイン量を意識して飲むことが大切です。摂取量には錠剤その他のカフェインも含まれるこもお忘れなく。

それでは飲み物のカフェイン含有量はどのくらい?

一杯あたりのカフェイン量の目安を記載します。
  • 玉露150mlで150mg
  • エスプレッソコーヒー50mlで140mg
  • ドリップコーヒー150mlで135mg
が含まれます。やや少ないところでは
  • 栄養ドリンク100ml、またはコーラ500mlに同50mg
  • ココア150mlに45mg
  • 紅茶、ほうじ茶、ウーロン茶、緑茶いずれも150mlに各30mg
  • 玄米茶150mlで同15mg
です。

話題になったエナジードリンクではどうでしょうか。
商品にもよりますが、一番ヘビーなものでは375mgのカフェインが含まれていました。140~190mgのタイプも多く、80mgのタイプも多数あります。少ないタイプではカフェイン0mgのエナジードリンクというものも多種類あるようです。今回死亡した男性が飲んでいた飲料には、1本あたり150mg程度のカフェインが含まれていたようです。

エナジードリンクといってもさまざまですので、ラベルを確認し、ご自分に合ったものを体調とも相談しながら選ばれるのが良いでしょう。

栄養ドリンクやエナジードリンクの正しい使い方とは

栄養ドリンクは医薬部外品、エナジードリンクは清涼飲料水です。

栄養ドリンクにはビタミンB1やフルスルチアミンなどが含有されているものもあるので、夏バテ対策の一助にも有効といえるでしょう。ただし健康食や健康管理がまず大切です。

栄養ドリンクもエナジードリンクも一日一本が目安のようです。前述のように、ものによってはカフェインが多量に含まれるタイプもありますので、自分で確認しながら飲むようにしましょう。

そしてまず考えていただきたいことは……

コーヒーもエナジードリンクも、眠気対策や仕事や勉強で集中しなくてはならないという理由で飲む方が多いと思います。もし眠気を感じる原因がそもそも睡眠不足にあるのでしたら、本質的な対応策はやはり睡眠時間を増やす、あるいは睡眠の質を高めることではないかと思います。

もちろん十分な睡眠時間を確保できないからカフェインを取って頑張っているのだというご意見は多いでしょう。しかし、根本的に正しい方法とは言えず、体に負担を強いていることは事実です。できるところからなるべく本来の対応に持って行くこと。これが結局心身への負担が少なく、長期的に見ても正しい方法だと思います。

この意味で、コーヒーを飲んでから短時間だけ眠る方法、コーヒーが効き始めるころに目を覚ますという方法には、少しでも睡眠を確保できるというメリットがあるので、試みる価値があると思います。

最後に、カフェインには利尿作用があります。暑い季節には普通以上に脱水になりやすいため、カフェイン飲料を飲まれるときには水分をしっかり摂るように心がけて下さい。

参考サイト:心臓外科手術情報WEBの症状さくいんのページ
不整脈を含めた心臓病の症状や対応の方法を記載しています
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